東京エレクトロンの強み|半導体製造装置で、なぜAI時代に強さを発揮できるのか|企業研究 #016

東京エレクトロンの強み|半導体製造装置で、なぜAI時代に強さを発揮できるのか|企業研究 #016
おじー🦥
おじー🦥

東京エレクトロンという名前はよく聞きますが、実は半導体そのものを作っている会社ではありません。東京エレクトロンの強みは、半導体を作るために欠かせない「半導体製造装置」にあります。
AI時代に高性能な半導体が求められるほど、なぜ東京エレクトロンの存在感が高まるのか。一緒に見ていきましょう。

この記事で分かること
  • 東京エレクトロンは何の会社なのか
  • 東京エレクトロンの強みはどこにあるのか
  • 半導体製造工程のどこで東京エレクトロンの装置が使われているのか
  • なぜAI時代に半導体製造装置の重要性が高まるのか
  • 東京エレクトロンの世界シェアや競争力はどこから生まれているのか
  • AI・HBM・先端パッケージは東京エレクトロンの将来性にどう関わるのか
  • 日本の半導体政策や宮城への設備投資は追い風になるのか
  • 東京エレクトロンの業績・配当・株主還元はどうなっているのか
  • 半導体サイクルや米中対立など、どんなリスクがあるのか
  • 東京エレクトロンの株価を長期投資ではどう見ればいいのか
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東京エレクトロンは、何を目指す会社なのか

東京エレクトロンは、何を目指す会社なのか

東京エレクトロンについて調べ始める前に、まず見てほしいCMがあります。

出番だ、東京エレクトロン。

テレビやYouTubeなどで、この言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。

30秒ほどのCMですが、見終わったあとに一つ疑問が残ります。

何の「出番」なのでしょうか。

東京エレクトロンという名前を聞くと、今では「半導体製造装置」「AI」「世界シェア」といった言葉を思い浮かべる人が多いと思います。私も調べる前は、最先端の半導体工場で使われる装置を作っている、日本を代表する技術力の高いメーカーという印象を持っていました。

ただ、会社の歴史を1963年まで遡ってみると、東京エレクトロンは最初から世界的な半導体製造装置メーカーだったわけではありません。当時はまだスマートフォンもAIもデータセンターもなく、日本の半導体産業もこれから本格的に成長していく時代です。そんななか、創業者たちは半導体がこれから産業を変えていくと考え、海外の先端技術や装置を日本へ持ち込む技術商社として事業を始めました。

私はここに、現在の東京エレクトロンにもつながる会社の原点があるように感じます。1963年に半導体へ目を向け、海外の技術を日本へ持ってきた。その後は装置を自分たちで作る会社へ進化し、やがて日本で作った装置を世界へ販売するようになりました。そして現在は、AIによってさらに高度になる半導体を作るため、次世代の製造技術へ巨額の研究開発投資を続けています。

時代によって扱う技術や会社の規模は大きく変わりました。それでも、「これから必要になる技術は何か」を考え、その技術が必要になる場所へ先に入っていくという姿勢には、創業から現在まで一本の線が通っているように見えます。

現在、東京エレクトロンが掲げている基本理念は、

最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します

です。

「夢のある社会」と聞くだけでは少し抽象的ですが、創業の歴史と現在の事業を一緒に見ると、その意味も少しずつ見えてきます。東京エレクトロンが直接作っているのは、AIサービスでもスマートフォンでも自動車でもありません。その中に入る半導体そのものを作っているわけでもなく、東京エレクトロンが作っているのは、その半導体を製造するための半導体製造装置です。

しかし、その装置で作られた半導体は、AI、通信、自動車、データセンター、医療、ロボットなど、私たちの生活や産業を支えるさまざまな場所で使われています。そう考えると、東京エレクトロンが支えているものは装置だけではなく、その先にある社会そのものだとも考えられます。

では、なぜ東京エレクトロンは1963年という早い時代に半導体へ目を向けたのでしょうか。そして海外の技術を日本へ紹介していた技術商社は、どうやって世界の半導体産業を支える製造装置メーカーへ変わっていったのでしょうか。

まずは、東京エレクトロンという会社が生まれた理由から見ていきます。

東京エレクトロンは、なぜ1963年に生まれたのか

東京エレクトロンは、なぜ1963年に生まれたのか

東京エレクトロンが設立されたのは1963年11月11日です。

当時の社名は「東京エレクトロン研究所」。資本金500万円で、東京・赤坂に東京放送の関連会社として誕生しました。創業した久保徳雄氏、小高敏夫氏らは、それ以前に商社で働きながら、米国でエレクトロニクス産業が急速に成長していく姿を見ていました。東京エレクトロンの公式資料でも、半導体がこれから産業を変えていくと確信した若い起業家たちによって会社が設立されたと説明されています。

今振り返れば「半導体に注目した」という話は当たり前に聞こえるかもしれません。しかし1963年は、半導体が現在のように社会のあらゆる場所へ入っている時代ではありませんでした。だから東京エレクトロンの創業で面白いのは、すでに巨大になっていた市場へ後から参入したのではなく、「これから大きくなる技術」を見つけ、その成長に賭けたことだと思います。

そして創業したばかりの東京エレクトロンが選んだのは、自分たちですべての装置をゼロから作ることではありませんでした。当時、半導体技術で先行していた米国から最先端の装置や技術を日本へ持ってくる技術商社という形です。

1964年には米Thermco Productsの拡散炉の輸入・販売権を取得し、1965年には米Fairchild Semiconductorと代理店契約を結んでICテスターを日本で販売しています。拡散炉とは、シリコンウエハーを高温で処理し、半導体を作るために必要な工程を行う装置です。つまり創業して間もない東京エレクトロンは、半導体技術で先を走っていた米国と、これから半導体産業を育てようとしていた日本をつなぐ役割を担っていました。

この歴史を見ると、東京エレクトロンの原点は「装置を作ること」だけではなかったことが分かります。

世界では、どんな新しい技術が生まれているのか。
その中で、これから日本に必要になる技術は何なのか。

それを見つけ、顧客へ届けることが最初の仕事でした。

現在の東京エレクトロンは、世界中の半導体メーカーと次世代の製造技術を開発する側へ変わっています。それでも、次に必要になる技術を早く見つけるという姿勢は、1963年の創業時から現在の研究開発までつながっているように感じます。

技術商社は、どうやって世界的な装置メーカーになったのか

技術商社は、どうやって世界的な装置メーカーになったのか

東京エレクトロンは、海外の半導体製造装置を日本へ販売するところから始まりました。

しかし、それだけで現在の東京エレクトロンになったわけではありません。会社の歴史を追っていくと、「海外の技術を売る会社」から「自分たちで技術を生み出す会社」へ少しずつ変わっていったことが分かります。

大きな転換点の一つが1968年です。東京エレクトロンは米Thermco Productsとの合弁会社TEL-Thermco Engineeringを設立し、それまで輸入販売していた拡散炉の国内生産を始めました。1970年には拡散炉の完全な国内生産が可能になり、1976年には世界初となる高圧酸化炉を開発しています。海外製品を日本で販売していた会社が、創業から十数年で自ら新しい半導体製造装置を開発するところまで進んだことになります。

その後も東京エレクトロンは製造と研究開発の機能を強化し、1982年には山梨事業所に中央研究所を設立。同じ年には、現在の東京エレクトロンを代表する塗布・現像装置「CLEAN TRACK」につながる装置開発も始まりました。1986年には半導体製造装置の輸出を開始し、日本へ海外技術を持ってきていた会社が、今度は自分たちの装置を海外へ届ける会社へ変わっていきます。さらに1989年には半導体製造装置メーカーの売上高で世界トップとなり、1991年には3年連続でトップとなりました。

東京エレクトロンの成長を整理すると、次のような流れになります。

海外の先端技術を見つける

日本で販売する

日本で作る

自分たちで開発する

世界へ販売する

私は、この成長過程が現在の東京エレクトロンの強みを考えるうえでも重要だと思います。最初から自社技術だけに閉じこもったメーカーではなく、世界の先端技術を探し、海外企業と組み、日本の顧客の近くで装置を使ってもらいながら知識を蓄積し、その経験を研究開発へ戻して、自分たちの製品へ変えてきました。

現在では成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄、検査、先端パッケージなど、半導体製造のさまざまな工程へ事業を広げています。その土台には、長い時間をかけて積み上げてきた技術と、顧客の近くで半導体産業の変化を見続けてきた経験があります。

東京エレクトロンの強みというと、どうしても現在の世界シェアへ目が向きます。ただ、そのシェアだけを見ると「今強い会社」で終わってしまいます。なぜそこまで強くなれたのか。 歴史まで遡ると、外から技術を取り込み、自分たちの技術として蓄積し、それをさらに世界へ広げるという循環を60年以上続けてきたことが、現在の競争力の土台になっているように見えます。

「夢のある社会」と半導体製造装置はどうつながる?

「夢のある社会」と半導体製造装置はどうつながる?

現在の東京エレクトロンが掲げている基本理念は、

最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します

です。

最初にこの理念を読んだとき、私は「夢のある社会」という言葉を少し抽象的に感じました。東京エレクトロンは、テーマパークを作っている会社でも、医療サービスを直接提供している会社でもありません。工場の中に置かれる巨大で複雑な半導体製造装置を作っている会社です。それが、どう「夢のある社会」につながるのでしょうか。

その答えは、東京エレクトロンが作った装置の先を見ると分かりやすくなります。東京エレクトロンの装置を使って半導体メーカーが半導体を作り、その半導体がAI向けのデータセンターへ入り、スマートフォンへ入り、自動車へ入り、通信設備や医療機器、工場のロボットへ入っていきます。

半導体製造装置

半導体

AI・通信・自動車・医療・データセンター・ロボット

社会や暮らしの進化

東京エレクトロンが「半導体を作るための技術」を支える会社だとすれば、その半導体を使ってAIや通信、社会インフラを実際のサービスへつなげる企業もあります。例えば、AI・通信・防衛など幅広い領域で半導体を活用するNECの強みを見ると、東京エレクトロンの装置から生まれた半導体が、その先の社会でどう使われていくのかもイメージしやすくなります。

東京エレクトロン自身も、基本理念を実現するための経営方針として、技術革新へ絶えず挑戦し、エレクトロニクスを中心とした最先端技術分野で高品質な製品を提供して市場をリードすることを掲げています。つまり「夢のある社会」は事業と離れたきれいな言葉ではなく、最先端の半導体製造技術を提供するという会社の役割そのものにつながっていると考えられます。

そして、ここまで会社の歴史を見てから改めてこの理念を読むと、東京エレクトロンという会社の軸が60年以上にわたってそれほど変わっていないことが面白いと感じます。1963年には、これから半導体が産業を変えると考えて米国の先端技術を日本へ持ち込み、その後は自分たちで装置を作れるようになり、日本から世界へ技術を届ける会社へ変わりました。そして現在は、AIによってさらに高性能な半導体が必要になるなか、次の世代の半導体を作るための技術を開発しています。

作っている装置も、求められる性能も、会社の規模も大きく変わりました。それでも、

これから社会を変える技術を見つけ、その実現を支える

という役割は、1963年から現在までつながっているように感じます。

CMでは、

出番だ、東京エレクトロン。

という言葉が使われています。

まだこの時点では、「何の出番なのか」は完全には見えていません。ただ、創業の歴史まで調べてみると、東京エレクトロンは半導体が大きく変わるたびに、新しい技術を見つけ、自分たちの役割を広げてきた会社だということは分かってきました。

では現在の半導体製造では、実際に東京エレクトロンの装置はどこで使われているのでしょうか。半導体ができるまでの工程を追っていくと、東京エレクトロンの強みがさらに具体的に見えてきます。

おじー🦥
おじー🦥

最初から世界的な装置メーカーだったのではなく、これから必要になる技術を追い続けて今の東京エレクトロンになったのですね。半導体の先にある社会まで見ると、「夢のある社会」という理念も少し身近に感じられます。

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東京エレクトロンは何をしている?半導体を作る「装置」の会社

東京エレクトロンは何をしている?半導体を作る「装置」の会社

ここまで東京エレクトロンの歴史を見てきましたが、ここからは現在の事業をもう少し具体的に見ていきます。

東京エレクトロンという名前を初めて知った人にとって、一番分かりにくいのは「結局、何を作っている会社なの?」という部分かもしれません。

まず最初に整理しておきたいのは、東京エレクトロンは半導体そのものを作っている会社ではないということです。

NVIDIAはGPUなどの半導体を設計し、TSMCはその半導体を実際に製造します。一方、東京エレクトロンが作っているのは、TSMCをはじめとする半導体メーカーが工場の中で半導体を作るために使う半導体製造装置です。東京エレクトロン自身も、現在の事業を「半導体を製造する装置を作る会社」と説明しており、成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄、検査、接合など、半導体ができるまでの複数の工程に装置を提供しています。 

私は半導体産業を調べ始めた頃、「半導体製造装置」という一つの機械があり、その中へシリコンウエハーを入れれば半導体が完成するようなイメージを持っていました。しかし実際にはまったく違います。半導体は、薄い膜を作り、回路の形を描き、不要な部分を削り、汚れを落とすといった工程を何度も繰り返しながら作られます。最先端の半導体ほど構造は細かく複雑になり、その一つ一つの工程で非常に高い精度が求められます。

ここが、東京エレクトロンを理解するうえで重要なポイントです。

東京エレクトロンは「半導体製造装置を一種類だけ作る会社」ではありません。半導体を作る複数の重要工程に入り込み、それぞれに必要な装置を持っている会社です。公式サイトでも、半導体の微細化や構造の複雑化が進むなか、成膜・リソグラフィ関連・エッチング・洗浄という連続する重要工程へシステムソリューションを提供できることを特徴として挙げています。 

では、半導体ができるまでの長い工程の中で、東京エレクトロンの装置は具体的にどこで使われているのでしょうか。

半導体ができるまでの、どこに東京エレクトロンがいる?

半導体ができるまでの、どこに東京エレクトロンがいる?

半導体は、大きく見るとシリコンウエハーの上に何層もの回路を作り込み、それを一つ一つのチップへ分け、最後にパッケージへ収めることで完成します。

ただ、実際の製造工程は非常に複雑です。

初心者向けに大きく整理すると、次のような流れになります。

設計

シリコンウエハー

成膜

塗布

露光

現像

エッチング

洗浄

検査

切断・研削・研磨

パッケージ

最終検査

実際には、この中の成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄などを何度も繰り返しながら、シリコンウエハーの上へ細かな回路を作り込んでいきます。

この流れの中で東京エレクトロンが関わっている主な場所を重ねると、

  • 成膜
  • 塗布・現像
  • エッチング
  • 洗浄
  • 検査
  • 接合・先端パッケージ

と、かなり多くの工程に装置を持っていることが分かります。

特に面白いのは、東京エレクトロンが半導体製造工程の「ここだけ」を担当しているわけではないことです。薄い膜を作る装置もあれば、回路を描く準備をする装置もあり、不要な部分を削る装置も、汚れを落とす装置もあります。さらに前工程だけではなく、検査や複数の半導体を組み合わせる先端パッケージの領域まで事業を広げています。

一方で、すべての工程を東京エレクトロンが担当しているわけではありません。例えば、回路パターンを光でウエハーへ転写する露光装置ではASMLが世界的に強く、ウエハーを切断・研削する工程ではディスコなどが存在します。

つまり半導体産業は、一社だけですべてを作る世界ではありません。それぞれの工程に強い企業が集まり、一つの半導体を作っています。その中で東京エレクトロンは、複数の重要工程を横断して装置を持っている会社だと考えると分かりやすいと思います。

半導体製造装置をもう少し深く知りたい人へ
東京エレクトロンを調べていて、半導体製造装置そのものをもう少し詳しく理解したい人には、図解入門 よくわかる最新半導体製造装置の基本と仕組みが参考になります。成膜・エッチング・洗浄など、この記事で登場する装置を工程と一緒に理解しやすい一冊です。

成膜・塗布現像・エッチング・洗浄とは?

成膜・塗布現像・エッチング・洗浄とは?

ここから少し専門用語が増えますが、この4つを理解すると、東京エレクトロンが何をしている会社なのかが一気に見えやすくなります。

半導体の回路は、紙にペンで一度描けば完成するようなものではありません。シリコンウエハーの上に非常に薄い膜を作り、その上へ回路の形を写し、必要のない部分を削り、表面をきれいにする。この作業を何度も繰り返しながら、何層にも重なった複雑な構造を作っていきます。

ざっくり整理すると、

膜を作る

回路を描く準備をする

不要な部分を削る

きれいにする

という流れです。

東京エレクトロンは、この一連の流れの複数箇所に装置を持っています。

成膜とは?

成膜とは?

成膜とは、シリコンウエハーの表面に非常に薄い膜を作る工程です。

半導体の中には、電気を流す部分、電気を通さない部分、回路同士をつなぐ部分など、役割の異なる層が何層も重なっています。その土台となる薄い膜を作るのが成膜です。

イメージとしては、平らな板へペンキを厚く塗るのではなく、目ではほとんど分からないほど薄い膜を、広いウエハー全体へ均一につけるようなものです。しかし最先端の半導体では、ただ薄くすればいいわけではありません。半導体が微細化・3D化するほど構造は複雑になり、細かな溝や穴の奥まで狙った厚さで膜を形成する必要があります。

つまり成膜は、半導体を作るための「極薄の層」を正確に積み重ねる工程です。

AI向けの高性能半導体では、構造そのものが複雑になっていくため、どこへ、どの材料を、どれくらいの厚さで膜にするのかという技術の重要性も高まります。東京エレクトロンがAI時代に注目される理由を考えるうえでも、成膜は重要な工程の一つです。

コータ/デベロッパとは?

コータ/デベロッパとは?

東京エレクトロンの記事で何度も登場するのが、コータ/デベロッパです。

日本語にすると塗布・現像装置で、半導体へ回路パターンを作るための重要な装置です。

まずウエハーの表面に「フォトレジスト」と呼ばれる光に反応する材料を薄く均一に塗ります。これが塗布(コート)です。その後、露光装置を使って光を当て、回路パターンを転写します。そして光が当たった部分などを薬液によって変化させ、必要な形を残すのが現像(デベロップ)です。

身近なイメージに置き換えるなら、

感光材料を塗る

光で回路の形を写す

必要な模様を浮かび上がらせる

という流れです。

ここで重要なのは、東京エレクトロンが露光装置そのものを作っているわけではないことです。露光工程ではASMLなどが大きな役割を担いますが、その前後にあるレジストの塗布と現像を東京エレクトロンが支えています。

最先端半導体では回路が非常に細かいため、レジストを均一に塗れない、異物が混ざる、現像にばらつきが出ると、それだけで半導体の不良につながります。

つまりコータ/デベロッパは、「回路を描くための下準備と仕上げ」を極めて高い精度で行う装です。

エッチングとは?

エッチングとは?

エッチングとは、ウエハーの表面から不要な部分を取り除く工程です。

塗布・露光・現像によって回路の模様ができた後、その模様を「型」として使い、必要のない膜を削っていきます。ただし、「削る」といってもドリルや刃物で物理的に削るわけではありません。プラズマなどを利用して、必要な場所だけを非常に細かく取り除いていきます。

例えば、髪の毛よりはるかに小さな溝を何本も同じ深さで作り、そのすぐ隣の部分には傷をつけない。そんな非常に精密な加工が求められます。

さらに現在の半導体では、平面的に細かくするだけではなく、構造を縦方向へ積み上げる3D化も進んでいます。NANDメモリなどでは層数が増え、非常に細く深い穴を正確に作る必要があるため、エッチング技術の難易度も高まります。

東京エレクトロン宮城が開発・製造の中心を担っているのも、このプラズマエッチング装置です。

半導体が複雑になるほど、「どこを、どれだけ、どんな形で削るか」の難しさは増していきます。私は、東京エレクトロンの将来性を見るうえでも、エッチングは特に重要な技術の一つだと思います。

洗浄とは?

洗浄とは?

最後が洗浄です。

「半導体を洗うだけなら、それほど難しくなさそう」と思うかもしれません。しかし半導体の世界では、私たちには見えないほど小さなゴミや薬液の残りでも不良の原因になります。そのため洗浄は、各工程の間をつなぐ重要な工程です。

半導体は、成膜したら終わり、エッチングしたら終わりという製品ではありません。

成膜する

加工する

洗う

また膜を作る

また加工する

また洗う

という作業を何度も繰り返します。

しかも半導体が微細化するほど、これまで問題にならなかった小さな異物まで製品の品質へ影響するようになります。

ここで覚えておきたいのが「歩留まり」という言葉です。歩留まりとは、作った半導体のうち良品として出荷できる割合のことです。例えば100個作って90個が正常なら、歩留まりは90%というイメージです。

巨大な半導体工場では、わずかな歩留まりの違いでも利益に大きな差が生まれます。だから洗浄装置も「ただ汚れを落とす機械」ではありません。必要な部分にはダメージを与えず、不要なものだけを取り除き、次の工程へきれいな状態で渡すことが求められます。

半導体が小さく、複雑になるほど、「きれいにする技術」そのものの価値も高まるということです。

前工程だけじゃない。検査・先端パッケージにも広がる

前工程だけじゃない。検査・先端パッケージにも広がる

ここまで見ると、東京エレクトロンは主に半導体の前工程で活躍する会社だと感じると思います。

前工程とは、シリコンウエハーの上へ回路を作り込んでいく工程のことです。

ただ、現在の東京エレクトロンの事業はそこだけではありません。

代表的なのがウェーハプローバです。これは、ウエハー上に作られた半導体チップへ電気的に接触し、正常に動くかを確認する検査工程で使われる装置です。東京エレクトロンの推計では、このプローバでも世界トップクラスのシェアを持っています。

さらに東京エレクトロンが力を入れているのが、3D Integration(3D実装)や先端パッケージの領域です。

従来は半導体をどんどん小さくする「微細化」が性能向上の中心でした。しかしAI時代には、それだけではなく、複数の半導体を高密度につないだり、縦方向へ積み重ねたりして、一つの高性能なシステムとして働かせる技術が重要になっています。

そこで使われるのが、ウエハー同士を接合したり、加工後に剥がしたりするンディング/デボンディング装置です。東京エレクトロンは、これまで成膜・塗布・洗浄などで培ってきた技術を組み合わせながら、ウェーハ接合・剥離やエッジ加工などへ製品領域を広げています。

私はここが、現在の東京エレクトロンを見るうえでかなり重要だと思います。

微細化だけを支える会社ではなく、半導体の作り方そのものが変わる場所へ製品を広げている。

これは1963年の創業時に「これから必要になる技術」を探していた会社の姿とも重なります。現在はAI向け半導体やHBMの需要が拡大していますが、その性能を引き出すためには先端パッケージも欠かせません。この部分については、東京エレクトロンの将来性を見るところでもう一度詳しく取り上げます。

ここまで半導体ができる工程を追ってみると、東京エレクトロンが単に「大きな機械を売っている会社」ではないことが見えてきました。複数の重要工程に装置を持ち、半導体メーカーが次の世代の半導体を作るための技術そのものを支えている会社です。

では、その装置を販売することで東京エレクトロンはどのように利益を生み出しているのでしょうか。

次は、「装置を売ったら終わり」ではない東京エレクトロンのビジネスモデルを見ていきます。

おじー🦥
おじー🦥

東京エレクトロンは、一つの装置だけを作っている会社ではないのですね。
半導体が作られるさまざまな工程を知ると、なぜ製造技術そのものが強みになるのかも少し見えてきました。

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東京エレクトロンは何で稼いでいる?製造装置メーカーのビジネスモデル

東京エレクトロンは何で稼いでいる?製造装置メーカーのビジネスモデル

ここまで東京エレクトロンが、半導体を作るためのさまざまな製造装置を持っていることを見てきました。

では、その装置を使って東京エレクトロンはどのように利益を生み出しているのでしょうか。

最初に持っていたイメージでは、「半導体製造装置を作って、半導体メーカーへ販売する会社」なので、装置が売れれば儲かり、売れなければ儲からないという単純なビジネスに見えました。もちろん新しい装置の販売は大きな収益源ですが、実際に調べてみると、それだけではありません。

東京エレクトロンの顧客である半導体メーカーは、AIやスマートフォン、自動車、データセンターなどで半導体需要が増えると、新しい工場を建てたり、既存工場へ設備を追加したり、より高度な半導体を作るために製造ラインを更新したりします。そこで必要になるのが、東京エレクトロンの半導体製造装置です。

さらに、一度納入した装置は長い期間にわたって半導体工場で使われます。その間には、部品交換、修理、定期メンテナンス、装置の改造、生産性向上のためのアップグレードなどが必要になります。東京エレクトロンは、こうした装置納入後のサービスもField Solutions(フィールドソリューション)として事業にしています。 

つまり東京エレクトロンのビジネスは、

新しい装置を売る

世界中に設置された装置を長く支える

という二つの収益機会を持っています。

私はここが、東京エレクトロンのビジネスモデルを見るうえでかなり重要だと思います。AIによって半導体工場への設備投資が増えれば新しい装置の販売機会が増え、その装置が世界中に積み上がれば、今度は保守・部品・改造などのサービス対象も増えていきます。

ただし、良いことばかりではありません。半導体メーカーの設備投資は毎年同じペースで増えるわけではなく、需要が強い時期には一気に投資が増え、供給過剰になると設備投資が止まることがあります。

成長する半導体市場の中にいながら、業績は大きく上下する。

この特徴まで理解すると、東京エレクトロンの決算や株価がなぜ大きく動くのかも見えやすくなってきます。

半導体メーカーの設備投資が東京エレクトロンの売上につながる

半導体メーカーの設備投資が東京エレクトロンの売上につながる

まず東京エレクトロンの売上を考えるうえで理解しておきたいのが、半導体メーカーの設備投資との関係です。

東京エレクトロンが一般の消費者へ直接装置を販売することはありません。顧客になるのは、世界各地で半導体を生産するメーカーです。そのため、私たちがAI用のサービスをたくさん使ったからといって、その瞬間に東京エレクトロンの売上が増えるわけではありません。

間には、いくつかの段階があります。

AI・データセンターなどの需要が増える

高性能な半導体が必要になる

半導体メーカーが生産能力を増やす

新工場・既存工場へ設備投資する

半導体製造装置を購入する

東京エレクトロンの売上機会が増える

例えば、AIサーバー向け半導体の需要が大きく増えれば、半導体メーカーはGPUだけではなく、HBMなどのメモリや関連する半導体の生産能力を増やそうとします。そのためには、新しい工場だけでなく、成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄などの製造装置も必要になります。

実際、東京エレクトロンは2026年3月期の半導体製造装置売上高が2兆4,435億円となり、世界4位の規模だったとしています。また2026年3月期には、AIサーバー向け需要を背景に、生成AI向け半導体への設備投資が大きく増えたと説明しています。 

ただし、ここで大事なのは「半導体需要が増えた数だけ装置が売れる」わけではないことです。

同じ工場でも、生産能力を増やせる余裕があれば新しい装置を買わずに対応することがありますし、製造技術が変われば同じ生産量でも必要になる工程数や装置の種類が増えることがあります。

特にAI向け半導体では、微細化、3D化、HBM、先端パッケージなどによって製造が複雑になっています。東京エレクトロンにとって重要なのは、単純に「半導体の数が増えること」だけではなく、一つの半導体を作るために必要な製造工程が高度になっていくことです。

この考え方は、この後に見る東京エレクトロンの強みや将来性にもつながってきます。

装置を売った後にも利益を生み出せる

装置を売った後にも利益を生み出せる

東京エレクトロンのビジネスモデルで、もう一つ重要なのが装置を売った後です。

半導体製造装置は、工場へ納入して終わりではありません。半導体工場では24時間に近い形で長時間稼働する装置も多く、少しの停止でも生産へ大きな影響が出ます。そのため、装置を正常に動かし続けるための部品交換や修理、メンテナンスが欠かせません。

東京エレクトロンでは、装置の納入前後に提供する技術サービスやサポートをField Solutionsと呼んでいます。具体的には、装置の立ち上げや調整だけでなく、部品・修理、保守サービス、装置の改造、中古装置など、納入済み装置を長く使うためのさまざまなサービスがあります。 

整理すると、装置を販売した後にも次のような収益機会があります。

収益機会何をするのか顧客にとっての価値
部品・修理消耗部品の交換や故障対応装置を止めない
保守サービス点検・メンテナンス安定して生産する
改造・アップグレード既存装置の性能を高める生産性・歩留まりを改善
立ち上げ・調整工場で装置を稼働させる早く生産を始める
中古装置中古装置を整備・再提供投資コストを抑える

東京エレクトロンのビジネスは、「装置を売ったら終わり」ではありません。

ここで効いてくるのが、世界中にすでに設置されている装置の数です。

東京エレクトロンによると、2025年3月末時点で世界の累計設置台数は9万6,000台超。さらに毎年およそ4,000〜6,000台ずつ増えているとしています。つまり、新しい装置を販売するたびに売上が立つだけではなく、その後何年にもわたって保守や部品、改造を提供できる対象も積み上がっていきます。 

これは個人的に、東京エレクトロンのビジネスを調べていてかなり面白いと感じた部分です。

例えば今年5,000台の装置を販売したとして、その5,000台が翌年にすべて消えてなくなるわけではありません。過去に販売した装置に、新しく販売した装置が加わり、世界中で稼働する東京エレクトロンの装置が少しずつ積み上がっていきます。

装置販売が、将来のサービス市場まで作っている。

この仕組みがあることで、新規装置の販売とは違う収益源を持つことができます。

さらに今後は、AIやデジタル技術を使って故障を予測したり、装置の稼働率や歩留まりを改善したりするサービスも広がろうとしています。2026年にはNVIDIAとの協業拡大も発表し、AIによるトラブル解析やロボットを使ったメンテナンス、デジタルツインなどをField Solutionsへ活用する取り組みを進めています。 

つまりAIは、東京エレクトロンにとって「半導体需要を増やすもの」であるだけではありません。すでに販売した装置から生み出せる価値を高める技術にもなり始めています。

半導体サイクルが業績を大きく動かす

半導体サイクルが業績を大きく動かす

ここまでを見ると、「半導体市場は成長していて、販売した装置も積み上がるなら、東京エレクトロンの業績はずっと右肩上がりになるのでは?」と思うかもしれません。

しかし、半導体製造装置会社を見るときには、半導体サイクルを避けて通れません。

半導体は需要が強くなると、メーカー各社が一斉に生産能力を増やそうとします。工場を建て、製造装置を大量に購入し、生産量を増やします。ただし、工場を増やした後に需要が想定ほど伸びなかったり、在庫が積み上がったりすると、今度は設備投資を抑えるようになります。

大きく整理すると、次のような循環です。

半導体市場半導体メーカーの動き東京エレクトロンへの影響
需要拡大生産能力を増やす装置需要が増える
設備投資拡大工場・装置を増設売上が伸びやすい
供給能力増加半導体生産が増える供給過剰になることも
在庫調整新規投資を抑える装置需要が減少
需要回復再び設備投資次の成長局面へ

つまり、

半導体が足りない

装置をたくさん買う

半導体をたくさん作れるようになる

今度は半導体が余る

装置を買うのを控える

需要が戻れば再び投資する

という波が起こります。

東京エレクトロン自身も、半導体製造装置事業のリスクとして、市場需要の変動や顧客の設備投資の変化を挙げています。2026年3月期にはAIサーバー向け半導体への投資が拡大した一方、中国向け設備投資には落ち着きも見られました。 

ここで長期投資を考えるときに気をつけたいのは、「半導体市場が10年間成長する」と「東京エレクトロンの利益が毎年増える」は同じ意味ではないということです。

私はむしろ、東京エレクトロンのような半導体製造装置会社を見るときには、単年度の売上が増えたか減ったかだけではなく、その裏側で何が起きているのかを見る方が重要だと思います。

AI向け半導体への投資は続いているのか。
HBMや先端ロジックへの設備投資は増えているのか。
メモリメーカーの在庫はどうなっているのか。
半導体メーカーは次の工場へ投資しようとしているのか。

こうした動きを追うことで、東京エレクトロンの数字がなぜ動いているのかを理解しやすくなります。

一方で、世界中に積み上がった装置を支えるField Solutionsがあることは、新規設備投資だけに依存しない収益機会につながります。半導体サイクルそのものをなくせるわけではありませんが、「新しい装置を売る収益」と「すでにある装置を支える収益」の両方を持っていることは、東京エレクトロンを見るうえで覚えておきたいポイントです。

ここまでビジネスモデルを見てくると、東京エレクトロンが大きな利益を生み出せる仕組みは分かってきました。

では、世界にはApplied Materials、Lam Research、ASMLなど多くの半導体製造装置メーカーがいるなかで、なぜ東京エレクトロンはこれほど大きな存在になれたのでしょうか。

次は、いよいよこの記事の中心となる「東京エレクトロンの強み」を掘り下げていきます。

おじー🦥
おじー🦥

装置を売って終わりではなく、世界中に増えた装置を長く支えることも大切な事業なのですね。
半導体市場は波がありますが、新しい装置と既存装置の両方から利益を生み出せる仕組みは覚えておきたいです。

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東京エレクトロンの強み|なぜ世界で必要とされるのか

東京エレクトロンの強み|なぜ世界で必要とされるのか

ここまで東京エレクトロンの事業内容やビジネスモデルを見てきましたが、改めて考えると一つ疑問が出てきます。

半導体製造装置を作っている企業は、東京エレクトロンだけではありません。米国にはApplied MaterialsやLam Research、KLAがあり、オランダには露光装置で圧倒的な存在感を持つASMLがあります。それでも東京エレクトロンは、2026年3月期の半導体製造装置売上高で2兆4,435億円、世界4位の規模を持ち、複数の装置分野で世界トップクラスのシェアを獲得しています。 

では、東京エレクトロンの強みはどこにあるのでしょうか。

調べる前は、「日本の高い技術力」や「半導体需要が伸びているから」といった答えを想像していました。しかしここまで見てくると、それだけでは説明できないように感じます。

東京エレクトロンは、成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄という半導体製造の重要工程を複数カバーし、さらに検査や先端パッケージへ事業領域を広げています。世界中に設置された装置を支えるサービス網を持ち、半導体メーカーと何世代も先の技術を一緒に研究し、その利益を再び研究開発へ戻しています。

私は、東京エレクトロンの強みを次の7つに整理しました。

  • 複数の重要工程をカバーできる幅広い製品群
  • 複数分野で世界トップクラスのシェアを持つ技術力
  • 顧客と次世代の製造技術を一緒に開発できる関係
  • 世界中の半導体工場を支えるサービス網
  • 約9万6,000台超の設置済み装置という顧客基盤
  • 巨額の研究開発を続けられる収益力
  • 微細化・3D化・先端パッケージまで追い続けられる技術領域

ただし、この7つを別々に見るだけでは、東京エレクトロンの本当の強さは分かりにくいと思います。

幅広い装置を持っているから、顧客の製造工程を広く理解できる。顧客の近くにいるから、次世代半導体で必要になる技術を早く知ることができる。その情報を研究開発へ戻し、新しい装置が採用されれば世界中の設置台数が増え、そこからサービス収益も生まれる。そして利益が増えれば、さらに研究開発へ投資できます。

強みが、それぞれ独立しているのではなく、次の強みを生み出している。

私は、ここが東京エレクトロンの競争力を見るうえで一番重要なポイントだと思います。

一つの装置だけではない「幅広さ」はなぜ強い?

一つの装置だけではない「幅広さ」はなぜ強い?

東京エレクトロンの強みとして、まず分かりやすいのが製品ラインアップの幅広さです。

公式サイトでは、半導体製造で繰り返し使われる重要な4工程として、成膜・塗布現像・エッチング・洗浄すべてに装置を持っていることを強みとして挙げています。さらに拡散炉、検査用のプローバ、ウェーハ接合・剥離装置などまで含めると、東京エレクトロンは半導体が作られる複数の場所に関わっています。 

2026年8月時点で東京エレクトロンが公式に示している世界シェア順位を見ると、その幅広さがよく分かります。

装置分野世界シェア順位※
コータ/デベロッパ1位
プラズマエッチング2位
ガスケミカルエッチング1位
拡散炉1位
バッチ成膜1位
メタル成膜1位
プローバ1位
ボンダー2位

※東京エレクトロン推計。2026年8月時点の公式Corporate Summary掲載情報。 

ここで重要なのは、単純に「1位の製品がたくさんあるから強い」という話だけではありません。

前に見たように、半導体は成膜した後に塗布・現像し、エッチングし、洗浄し、また成膜するといった工程を何度も繰り返して作られます。一つの工程を変更すると、その前後の工程にも影響が出るため、最先端半導体では「一台の装置だけ性能を上げれば解決」というケースが少なくなっています。

例えばエッチングでより深い穴を作れるようになったとしても、その穴の内部へ均一に膜を作れなければ半導体は完成しません。成膜を変えればエッチング条件も変わり、洗浄方法にも影響する可能性があります。

つまり、

成膜だけを見る
ではなく、

成膜 → 塗布現像 → エッチング → 洗浄

まで含めて製造工程を考えられることに、製品を幅広く持つ意味があります。

東京エレクトロン自身も、AI時代には微細化だけでなく先端パッケージまで含め、幅広い製品と技術を組み合わせたソリューションを提供する方針を示しています。 

私はここが、東京エレクトロンの「幅広さ」を理解するときに大切だと思います。

装置の種類が多いから売上の入り口が多いだけではありません。半導体メーカーが抱える課題を、一つの工程だけではなく製造プロセス全体に近い視点で考えられる。 その経験が次の装置開発にもつながっていると考えると、幅広い製品群そのものが技術力を蓄積する仕組みにもなっているように見えます。

半導体が難しくなるほど、製造装置会社の価値は高まる?

半導体が難しくなるほど、製造装置会社の価値は高まる?

東京エレクトロンの強みを考えるうえで、もう一つ重要なのが半導体そのものがどんどん作りにくくなっていることです。

昔の半導体は、基本的には回路を平面的に細かくしていくことで性能を高めてきました。しかし現在は、微細化だけでは性能向上が難しくなり、トランジスタの構造を立体化したり、NANDメモリを何層にも積み上げたり、HBMのように複数の半導体を縦につないだり、先端パッケージで異なるチップを一つに組み合わせたりする方向へ進んでいます。

つまり、半導体の進化は、

小さくする
だけではなく、

細かくする × 立体化する × 積み重ねる × つなぐ

へ変わってきています。

すると、製造装置に求められることも難しくなります。数ナノメートル単位で均一な膜を作り、細く深い穴を正確に削り、複雑な構造を傷つけずに洗浄し、最後には複数のウエハーやチップを高い精度で接合する必要があります。

東京エレクトロン自身も、最新半導体の回路線幅は数十個の原子ほどまで小さくなり、微細化や構造の複雑化によって製造プロセスの技術革新がますます重要になっていると説明しています。 

私は、ここに半導体製造装置会社を見るときの重要な考え方があると思います。

半導体市場が成長したとき、東京エレクトロンにとってのチャンスは「半導体がたくさん作られること」だけではありません。

一つの半導体を作る難易度が上がる。

必要な工程が増える。

一つ一つの工程に要求される精度が上がる。

より高度な製造装置が必要になる。

つまり、半導体の「数量」だけでなく、「一個を作る難しさ」も製造装置市場を大きくする要因になります。

そして、この技術競争で生き残るためには研究開発を止められません。

東京エレクトロンはFY2025〜FY2029の5年間で、1.5兆円以上の研究開発投資、7,000億円以上の設備投資、世界で1万人の採用を計画しています。また2025年3月末時点で約2万5,000件の特許を保有しています。 

1.5兆円という金額を見ると、「研究開発費が多い会社」で終わりそうですが、私はむしろそれだけ投資し続けなければ現在のシェアを守れない世界にいると考えた方がいいと思います。

さらに東京エレクトロンは、顧客である半導体メーカーと4世代以上先の技術まで同時に評価し、将来の技術ロードマップを共同で作る取り組みを進めています。ベルギーの研究機関imecとも1995年から協力し、2025年には2nmより先の次世代半導体に向けた共同研究をさらに5年間延長しました。 

これはかなり重要です。

次世代半導体が量産されてから装置を開発していては遅いため、

数世代先の半導体を顧客と研究する

必要になる製造技術を早く知る

装置を先に開発する

顧客の製造工程へ採用される

量産が始まれば装置需要につながる

という流れを作る必要があります。

前に創業の歴史で見た「これから必要になる技術を早く見つける」という姿勢が、現在では顧客と数世代先の半導体を一緒に作るという形へ進化しているようにも見えます。

世界の半導体製造装置メーカーと何が違う?

世界の半導体製造装置メーカーと何が違う?

東京エレクトロンが世界4位の半導体製造装置メーカーだと聞くと、「では1位の会社より技術力が低いの?」と思うかもしれません。

ただ、半導体製造装置業界は、売上高だけで単純に強さを比べるのが難しい業界です。なぜなら、それぞれの企業が得意としている工程が違うからです。

大きく整理すると、次のようになります。

企業主に強い領域特徴
東京エレクトロン成膜、塗布現像、エッチング、洗浄、検査、接合複数の重要工程を幅広くカバー
Applied Materials成膜、材料加工、エッチングなど材料工学を軸に非常に幅広い製品群
Lam Researchエッチング、成膜、洗浄特にエッチング・成膜で高い存在感
ASML露光EUV・DUV露光装置が中心
KLA検査・計測欠陥検査・計測・プロセス管理に強い

Applied Materialsは、自社で「業界で最も幅広い相互接続された半導体製造製品群」を持つと説明し、成膜、材料除去・加工、分析などを広く展開しています。Lam Researchは成膜、プラズマエッチング、洗浄などを主要工程とし、ASMLは最先端半導体で不可欠なEUV露光装置を独自に提供しています。KLAは欠陥検査や計測、プロセス管理を中心とする会社です。 

こうして見ると、東京エレクトロンだけが特別に何でもできる会社というわけではありません。Applied Materialsにも非常に幅広い製品群があり、エッチングではLam Researchが強力な競合です。露光ではASML、検査・計測ではKLAというように、それぞれが世界トップレベルの技術を持っています。

だから私は、「東京エレクトロンは世界一だから強い」という見方ではなく、

半導体製造の中で、自分たちはどの工程に強く、次の技術変化でその強みをどこまで広げられるのか。

という見方をした方がいいと思います。

東京エレクトロンの場合、その答えが一つの専門工程へ極端に集中するのではなく、半導体を作る複数の重要工程に高い競争力を持つことです。

現在の公式Corporate Summaryでは、コータ/デベロッパ、ガスケミカルエッチング、拡散炉、バッチ成膜、メタル成膜、プローバで世界シェア1位、プラズマエッチングとボンダーで2位としています。もちろんこれは東京エレクトロン自身の推計であり、将来も同じ順位が続く保証はありません。 

むしろ半導体製造装置業界では、次世代技術で採用されなければ現在のシェアは簡単に変わる可能性があります。

だからこそ東京エレクトロンは、現在のシェアを守るだけでなく、微細化、3D NAND、先端ロジック、HBM、先端パッケージなど、半導体の作り方が変化する場所へ研究開発を続けています。

ここまで見てくると、東京エレクトロンの強みは単に「技術力が高い」という一言では表しにくいことが分かってきました。

複数の工程を持つ。
顧客と数世代先を研究する。
新しい装置を作る。
世界中の工場へ導入する。
導入された装置を長く支える。
そこで得た知識と利益を、また次の研究開発へ戻す。

この循環を長い時間続けてきたこと。

私は、ここに東京エレクトロンの簡単には真似しにくい強さがあるように感じます。

そして、この強みが今後さらに大きな意味を持つ可能性があるのがAIによる半導体需要の拡大です。

AIでは単に半導体の数が増えるだけではありません。より高性能なGPU、HBM、先端ロジック、先端パッケージが必要になり、半導体そのものの作り方が変わろうとしています。

では、東京エレクトロンがCMで言う「出番」は、本当にこれから増えていくのでしょうか。

次は、東京エレクトロンの将来性をAI時代の半導体進化から考えていきます。

おじー🦥
おじー🦥

東京エレクトロンの強みは、一つの装置が強いことだけではないのですね。
複数の工程、顧客との共同開発、研究開発、サービスがつながって次の技術を生み出していることに、本当の強さがありそうです。

半導体業界全体をもう少し深く知りたい人へ

東京エレクトロンを調べていると、半導体メーカーだけでなく、製造装置、材料、検査など、それぞれの分野に世界で強い企業がいることが分かってきます。
「どの会社が、半導体産業のどこで活躍しているのか」をもう少し広い視点で理解したい人には、『図解入門業界研究 最新半導体業界の動向とカラクリがよーくわかる本』も参考になります。

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東京エレクトロンの将来性|AI時代に「出番」は本当に増えるのか

東京エレクトロンの将来性|AI時代に「出番」は本当に増えるのか

ここまで東京エレクトロンを調べてきて、複数の半導体製造工程に装置を持ち、顧客と数世代先の技術を研究しながら、世界中に設置された装置を長く支える会社だということが分かってきました。

では、その強みはこれからの成長にもつながるのでしょうか。

今後を考えるうえで避けて通れないのがAIです。ただ、「AIが伸びるから半導体が売れる。だから東京エレクトロンも成長する」と考えるだけでは、少し単純すぎると思います。

東京エレクトロンにとって重要なのは、AIによって半導体の需要が増えることに加えて、必要とされる半導体そのものが高性能化し、作り方まで難しくなっていくことです。GPUの微細化、HBMの積層、DRAMの高性能化、先端パッケージ、さらに複数のチップを高密度につなぐ技術が進めば、成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄、検査、接合など、それぞれの工程でより高度な製造装置が必要になります。

実際、東京エレクトロンは2026年7月時点で、半導体の前工程で使われる製造装置市場WFE(Wafer Fab Equipment)を、2026年に1,500億ドル超、2027年に1,900億ドル超と予想しています。さらにAIデータセンター向けのWFE需要が拡大し、今後は市場全体の50%を超えるとの見方を示しています。これは東京エレクトロン自身の市場予測なので確定した未来ではありませんが、会社がどこに大きな事業機会を見ているのかはよく分かります。 

そして興味深いのは、需要が増えているのがGPUだけではないことです。東京エレクトロンは、GPUやHBMに加えて、汎用メモリやCPUの需要も増加し、先端半導体への設備投資計画が加速していると説明しています。つまりAIの成長は、一種類の半導体だけではなく、データセンターを構成する半導体全体へ設備投資を広げる可能性があるということです。 

ここまで来ると、CMの言葉も少し違って見えてきます。

出番だ、東京エレクトロン。

AIそのものを作る会社ではありません。それでも、AIを動かす半導体が高度になるほど、その半導体を作るための装置に求められる技術も高くなる。私は、ここに東京エレクトロンの「出番」が増える理由があるのではないかと思います。

AI需要はGPUだけでは終わらない

AI需要はGPUだけでは終わらない

AI半導体と聞くと、まずNVIDIAのGPUを思い浮かべると思います。

もちろんGPUはAIデータセンターの中心となる半導体ですが、実際に大量のAI処理を行うためにはGPUだけがあればいいわけではありません。

大量のデータを高速にGPUへ渡すHBM(High Bandwidth Memory/広帯域メモリ)、データを保存するDRAMやNAND、サーバー全体を制御するCPU、データセンター同士やサーバー同士をつなぐ通信系半導体など、多くの半導体が一緒に働いています。

そしてAIデータセンターを動かすためには、半導体だけでなく、大量の電力、冷却設備、高速な光通信、建物や電源設備まで必要になります。AIの成長によって半導体の外側へどのように需要が広がっていくのかは、データセンター関連銘柄の記事で詳しく整理しています。

ざっくり整理すると、AIデータセンターでは次のような半導体が必要になります。

半導体主な役割高性能化すると何が起こる?
GPUAIの大量計算微細化・高集積化
HBMGPUへ大量のデータを高速に渡すDRAMを多層に積み重ねる
DRAM作業中のデータを一時保存微細化・高速化
NAND大量のデータを保存3D化・多層化
CPUサーバー全体の制御微細化・高性能化
通信系半導体サーバー間でデータを送る高速・大容量化

東京エレクトロンの2026年7月の資料でも、AIの進化に伴ってCPU/GPU、DRAM/HBM、NANDそれぞれで大きな技術革新が起きるという見通しが示されています。生成AIからAgentic AI、さらにロボットなど現実世界で動くPhysical AIへ進むにつれて、半導体にもさらに高い性能が求められるという考え方です。 

AIデータセンターでは、計算する半導体だけでなく、その膨大なデータを高速で運ぶ光通信も欠かせません。半導体の外側でAI基盤を支える技術まで見るなら、光ファイバーやデータセンター向け通信を手がける住友電工の強みもあわせて見ると、AI需要がどこまで広がっているのか分かりやすくなります。

ここで東京エレクトロンにとって面白いのは、特定の半導体だけに事業が閉じていないことです。エッチングや成膜、塗布・現像、洗浄、検査といった装置は、ロジック半導体やメモリなど複数の分野で必要になります。

そのため、

AIが普及する

GPUだけでなくHBM・DRAM・CPUなども高性能化する

半導体メーカーが設備投資する

それぞれの製造工程が難しくなる

複数工程に装置を持つ東京エレクトロンの事業機会が広がる

という流れが考えられます。

私はここが「AI関連銘柄」という言葉だけで東京エレクトロンを見るのと、半導体産業の仕組みから見るのとの大きな違いだと思います。東京エレクトロンはAIサービスを提供する会社ではありません。AIが必要とする半導体の種類が増え、その一つ一つを作る難易度が高まる場所にいる会社です。

半導体ができるまでの全体像からもう一度確認したい場合は、半導体の仕組みと半導体関連銘柄をまとめた記事もあわせて見ると、東京エレクトロンが産業のどこにいるのかがさらに分かりやすくなります。

AI時代の新しい主戦場「先端パッケージ」とは?

AI時代の新しい主戦場「先端パッケージ」とは?

AI時代の東京エレクトロンを見るうえで、私は先端パッケージをかなり重要なテーマだと考えています。

「パッケージ」と聞くと、完成した半導体をケースに入れて保護する工程のように感じるかもしれません。しかし現在の先端パッケージは、それだけではありません。

複数の半導体を高密度につないだり、縦方向へ積み重ねたりして、一つの高性能なシステムとして働かせる技術です。

例えばHBMでは、DRAMを何枚も薄くして縦方向へ積み重ねます。また高性能なAI半導体では、巨大な一つのチップですべてを実現するのではなく、役割の異なる複数のチップを近い場所へ配置し、高速につなぐ方法も重要になっています。

従来の半導体は、

一つのチップをもっと小さく、もっと高性能にする

ことが中心でした。

これからはそれに加えて、

複数のチップを、どう積むか。
どうつなぐか。
どう検査するか。

まで含めて性能を高める時代へ進んでいます。

ここで東京エレクトロンが持っているのが、ウエハー同士を接合するボンダー、加工のために一時的に接合・剥離する装置、レーザーを使った加工技術、さらに接合する前の半導体が正常に動くか確認するプローバなどです。現在のSynapse Siは、ウエハー同士を永久接合する装置で、Cuハイブリッドボンディングにも対応しています。これは銅の配線部分と絶縁部分を非常に高い精度で直接接合する技術で、より高速・高密度な接続につながります。 

そして、これはまだ「将来期待だけ」の話でもありません。東京エレクトロンは2026年7月の最新IRで、FY2027の先端パッケージ関連売上について前年比70%超の成長を示し、プローバは通期で1,000億円を大きく上回ると予想しています。さらにハイブリッドボンディングを将来の量産機会の一つに挙げ、ボンディング関連装置についてはFY2030までの累計売上5,000億円を事業機会として示しています。これらは東京エレクトロン自身の計画・見通しであり達成が保証された数字ではありませんが、会社が先端パッケージを次の大きな成長領域として位置付けていることは分かります。 

私はここで、先ほど見た東京エレクトロンの「幅広さ」が再び効いてくると思います。

ウエハーを接合するだけなら、接合装置だけを作ればいいように見えます。しかし実際には、接合面をきれいにする洗浄、表面を加工するプラズマ技術、膜の状態、位置合わせ、接合前の検査など、前工程で使ってきたさまざまな技術が必要になります。

前工程で積み上げた技術を、先端パッケージへ持っていける。

東京エレクトロンが先端パッケージへ力を入れる意味は、新しい市場へゼロから参入するというより、これまで60年以上蓄積してきた複数の製造技術を、半導体の新しい作り方へ広げているところにあるように感じます。

NVIDIAとの協業|AIは製造装置そのものも変える

NVIDIAとの協業|AIは製造装置そのものも変える

ここまでの話では、AIによって半導体需要が増え、それによって東京エレクトロンの装置の出番が増えるという流れを見てきました。

ただ、2026年に発表されたNVIDIAとの協業を見ると、AIと東京エレクトロンの関係はもう一段深いことが分かります。

2026年7月16日、東京エレクトロンはNVIDIAとの協業を拡大し、Agentic AIとロボティクスを半導体製造装置やサービスへ活用する取り組みを発表しました。東京エレクトロンのDX構想「Epsira」にNVIDIAのAI技術やロボット開発基盤を組み込み、デジタルツインによるシミュレーション、AIによるトラブル解析、ロボットを使ったメンテナンスなどへ活用します。 

ここは誤解しないようにしたいところです。

NVIDIAのGPUを東京エレクトロンが製造するという話ではありません。

東京エレクトロンがNVIDIAのAI技術を使い、自分たちの半導体製造装置やサービスをより賢くしようとしている取り組みです。

例えば、半導体工場で装置が突然停止すると、その間は半導体を作れません。そこで装置から得られるデータをAIで解析し、「そろそろ故障しそう」「この部品を交換した方がいい」と予測できれば、突然の停止を減らせます。

また装置のメンテナンスをロボットに任せようとしても、半導体工場にはさまざまな種類の装置があります。実物を使って一台ずつロボットへ動きを覚えさせるのは時間がかかりますが、装置を仮想空間へ再現するデジタルツインを使えば、実機を止めずにロボットを訓練できます。東京エレクトロンはNVIDIA IsaacやOmniverseの技術をこうした用途へ利用し、ロボット学習の高速化や精度向上を目指しています。 

東京エレクトロンが説明するEpsiraの主な狙いを整理すると、

  • AIで装置の異常や故障を予測する
  • トラブルの原因をAIで解析する
  • ロボットによるメンテナンスを進める
  • 装置の停止時間を減らす
  • 稼働率や歩留まりを高める
  • デジタルツインで開発・保守を効率化する

といったものです。 

私は、この協業が東京エレクトロンを見るうえでかなり面白いと思います。

これまでは、

AIが普及する
→ 半導体が必要になる
→ 製造装置が必要になる

という方向でした。

しかし今後は、

AIを東京エレクトロン自身が使う
→ 装置が賢くなる
→ 工場の生産性が上がる
→ サービスの価値も高まる

というもう一つの流れが加わります。

つまり東京エレクトロンにとってAIは、「市場を大きくする技術」であると同時に、「自分たちの製品とビジネスモデルを進化させる技術」でもあります。

ここまで見てくると、CMの、

出番だ、東京エレクトロン。

という言葉がかなり具体的になってきました。

AIが普及するほど高性能な半導体が必要になる。高性能化するほど微細化・3D化・積層・先端パッケージが進み、半導体を作る難易度が上がる。そして今度はAIそのものが、製造装置や保守サービスまで変え始めています。

もちろん、AI市場が成長すれば東京エレクトロンの業績や株価が自動的に上がるわけではありません。半導体メーカーが実際に設備投資するか、東京エレクトロンの装置が次世代工程に採用されるか、競合企業との技術競争に勝てるかまで見なければいけません。

それでも私は、AI時代は東京エレクトロンの「出番」が増える可能性のある時代だと考えています。

そして、この動きを後押ししようとしているのは企業だけではありません。日本政府もAIと半導体を経済安全保障や産業競争力を左右する重要分野として位置付け、巨額の支援と国内投資を進めようとしています。

次は、日本の半導体政策が東京エレクトロンにとって本当に追い風になるのかを見ていきます。

おじー🦥
おじー🦥

AIで半導体の需要が増えるだけでなく、半導体を作る方法や製造装置そのものまで変わっていくのですね。
「AIを支える会社」でありながら「AIを使って進化する会社」でもあるというところに、これからの出番がありそうです。

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日本政府も半導体を重要産業へ|国策は東京エレクトロンの追い風になる?

日本政府も半導体を重要産業へ|国策は東京エレクトロンの追い風になる?

AI時代の東京エレクトロンを考えていくと、企業同士の技術競争だけではなく、もう一つ無視できない動きがあります。それが、日本政府によるAI・半導体産業への大規模な投資支援です。

日本では2026年7月に「日本成長戦略」が閣議決定され、AI・半導体は17の戦略分野の一つに位置付けられました。さらに経済産業省は「AI・半導体産業基盤強化フレーム」のもと、2030年度までの7年間に10兆円以上の公的支援を行い、10年間で50兆円を超える官民投資を促す方針を示しています。目標として掲げる経済波及効果は約160兆円です。

かなり大きな数字ですが、ここで注意したいことがあります。政府が半導体産業へ10兆円を支援するからといって、そのお金が東京エレクトロンへ直接入るわけではありません。 政府の支援対象になるのは、先端半導体の研究開発や国内生産拠点、AI基盤、次世代半導体などです。そこから半導体メーカーや研究機関の投資が増え、新しい工場や研究設備が必要になり、その結果として半導体製造装置の需要が生まれます。

東京エレクトロンへの波及を考えるなら、次のような流れを見る必要があります。

政府支援

国内の半導体研究・生産への投資

工場・パイロットライン・研究設備の整備

半導体製造装置が必要になる

東京エレクトロンなど装置メーカーの事業機会が増える

私は、「国策だから東京エレクトロンは安心」という見方よりも、日本国内で半導体を研究し、作る場所そのものが増えていけば、製造装置会社にも新しい需要が生まれやすくなると考えた方が自然だと思います。

しかも東京エレクトロン自身も、日本国内で研究開発・生産能力を増強しています。宮城ではエッチング装置、岩手では成膜装置、熊本では塗布・現像、洗浄、3Dパッケージ関連の開発・生産基盤を強化しており、国が半導体産業を強化する流れと、東京エレクトロン自身の設備投資が同じ方向を向いている点は注目したいところです。

ただし、政策があるからといって装置需要が自動的に増え続けるわけではありません。工場が実際に稼働するのか、次世代半導体の量産に成功するのか、そしてその製造工程で東京エレクトロンの装置が採用されるのかまで見て、初めて業績につながります。

「国策」という言葉だけではなく、支援されたお金がどこへ流れ、その結果としてどんな設備投資が起こるのか。 ここを追っていくことが、東京エレクトロンを見るうえでは重要だと思います。

なぜ日本は半導体産業を国として強化するのか

なぜ日本は半導体産業を国として強化するのか

そもそも、なぜ日本政府はこれほど大きなお金をAI・半導体へ投入しようとしているのでしょうか。

理由の一つは、半導体が一つの産業だけで使われる部品ではなくなったことです。AI、データセンター、自動車、通信、工場、ロボット、医療、防衛など、社会を動かすさまざまな場所で半導体が必要になっています。半導体を十分に確保できなければ、自動車を作れない、データセンターを増やせない、AIサービスを拡大できないといった問題まで起こり得ます。

もう一つ大きいのが経済安全保障です。半導体の製造能力が特定の国や地域へ集中すれば、地政学的な問題や災害によって供給が止まったとき、日本の産業全体へ影響が広がります。経済産業省も、AI・半導体支援を考えるうえで、サプライチェーン上の重要性や経済安全保障を大きな論点にしています。

現在の日本の半導体政策を大きく整理すると、次の3段階で見ると分かりやすいと思います。

政策の段階何を目指すのか
現在必要な半導体製造基盤を国内へ確保する
次世代将来必要になる半導体の量産技術を開発する
さらに先将来の革新的な半導体技術を研究する

これまでの記事で東京エレクトロンを見てきた流れと、かなり似ています。東京エレクトロン自身も、現在売れている装置だけを作っているわけではなく、顧客と数世代先の半導体を研究しています。国も「今必要な半導体を作る」だけではなく、次世代の量産技術、その先の革新技術まで国内へ残そうとしているわけです。

さらにAIの発展によって、政策対象もデータセンター向けの先端ロジックやメモリだけではなく、今後はロボットや自動車などで使われるフィジカルAI向け半導体へ広がっていく可能性があります。

つまり日本が半導体産業を強化している理由は、単純に「昔強かった日本の半導体産業を復活させたい」からだけではありません。

AI時代の産業競争力を守ること。
半導体を国内で安定して確保すること。
次世代技術を海外だけに依存しないこと。

この3つが重なっていると考えると分かりやすいと思います。

Rapidusや国内半導体投資は東京エレクトロンへどう波及する?

Rapidusや国内半導体投資は東京エレクトロンへどう波及する?

日本の半導体政策を象徴する存在が、北海道千歳市で最先端ロジック半導体の国産化を目指しているRapidusです。

Rapidusは北海道のIIM-1で2nm世代の半導体量産技術の開発を進めており、2027年の量産開始を目標としています。ここには政府だけではなく、国内企業も資金を投入しており、日本国内に最先端ロジック半導体の研究・生産拠点を作ろうとする大きな取り組みになっています。

ただ、ここでも重要なのは、Rapidusへ政府がお金を出したからといって、それがそのまま東京エレクトロンの売上になるわけではないということです。

東京エレクトロンへ波及するためには、次の流れが必要です。

Rapidusなどが最先端半導体を研究する

パイロットライン・量産ラインを整備する

成膜・エッチング・洗浄・塗布現像などの装置が必要になる

各装置メーカーが技術・性能・価格で競争する

採用された装置が売上になる

つまり、国内半導体投資が増えること自体は東京エレクトロンにとって市場を広げる可能性がありますが、その市場を取れるかどうかは東京エレクトロン自身の技術競争次第です。

一方で、国内に最先端の半導体開発拠点が増えることには、装置販売以外の意味もあると思います。半導体メーカーや研究機関が日本国内で次世代プロセスを開発すれば、装置メーカーも顧客の近くで新しい技術を評価しやすくなります。

これは東京エレクトロンが創業時から続けてきた、

顧客の近くで新しい技術を見る

必要になる装置を開発する

次の量産へつなげる

というやり方とも相性がいいはずです。

Rapidusだけですべてを判断する必要はありません。重要なのは、日本国内で先端ロジック、メモリ、パワー半導体、先端パッケージなどへの投資が続き、研究開発から量産まで半導体を作る場所が増えていくかです。

国内投資が増えるほど東京エレクトロンの売上が自動的に増えるわけではありません。しかし、装置を売るための「市場」と、次世代技術を顧客と開発するための「場所」が国内にも増えていくことは、中長期ではプラスに働く可能性があると思います。

宮城の新生産拠点は何を意味する?

宮城の新生産拠点は何を意味する?

政府が半導体産業へ大きな資金を投入している一方で、東京エレクトロン自身も将来需要を見据えてかなり大きな投資を進めています。

その代表例が宮城県黒川郡大和町にある東京エレクトロン宮城です。

東京エレクトロン宮城が開発・製造している主力製品は、これまで何度も登場したプラズマエッチング装置です。半導体が微細化・3D化し、細く深い構造を作る必要が増えるほど重要になる装置で、AI向け半導体や3D NANDなどの進化とも関係します。

宮城では、すでに二つの大きな投資が動いています。

宮城での投資内容
開発棟3号棟2025年4月完成、投資額約520億円、延床約4.6万㎡
新生産棟2027年夏完成予定、投資額約1,040億円、延床約8.86万㎡

開発棟3号棟は、次世代エッチング装置の研究開発能力を強化するための施設です。そして現在建設中の新生産棟は、物流の自動化や製造工程の機械化を進めるSmart Productionの考え方を取り入れ、エッチング装置の生産能力・品質・効率を高める計画です。

私は、この1,040億円という投資を「宮城に新しい工場ができる」というニュースだけで見ない方がいいと思います。工場は需要が出てからすぐに作れるものではなく、土地を確保し、建物を建て、生産ラインを整え、人材を育てるまでには何年もかかります。

つまり東京エレクトロンは、

これからエッチング装置の需要が増える可能性を見込む

先に研究開発能力を増やす

さらに生産能力まで増強する

将来の需要を取りにいく

という順番で、自分たちのお金を使って先回りしています。

もちろん、これもリスクがあります。想定したほど半導体設備投資が増えなければ、新しい設備が十分に稼働せず、固定費の負担が重くなる可能性があります。巨額の設備投資は、将来への自信を示すと同時に、需要予測を外したときのリスクも背負うことになります。

ただ、東京エレクトロンは宮城だけで動いているわけではありません。熊本では塗布・現像、洗浄、3Dパッケージ関連、岩手では生産・物流基盤を強化するなど、日本国内の研究開発・生産能力を広げています。

国が半導体産業へ投資する。半導体メーカーが国内で研究・生産能力を増やす。そして東京エレクトロン自身も、次世代装置の開発・生産能力を増やしている。

この三つが同じ方向へ動いていることは、確かに追い風になり得ます。

しかし長期投資で確認したいのは、工場を建てたこと自体ではありません。その新しい工場から、次世代半導体で選ばれる装置を生み出せるのか。

私は、そこまで見て初めて「国策が東京エレクトロンの成長につながった」と言えるのだと思います。

おじー🦥
おじー🦥

国の支援がそのまま東京エレクトロンの利益になるわけではないのですね。
国内で半導体投資が広がるなか、実際に選ばれる装置を作り続けられるかまで見ていきたいです。

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東京エレクトロンの業績・配当|成長は数字にも表れている?

東京エレクトロンの業績・配当|成長は数字にも表れている?

ここまで東京エレクトロンの将来性を見てくると、AI、HBM、先端パッケージ、国内半導体投資など、成長につながりそうな材料がかなり多いことが分かってきました。

ただ、どれだけ魅力的な技術を持っていても、それが実際の売上や利益につながっていなければ、企業としての強さは分かりません。

そこで東京エレクトロンの業績を過去から追ってみると、長期では大きく成長している一方、毎年きれいな右肩上がりではないことが分かります。2021年3月期には売上高約1.4兆円だった会社が、2026年3月期には2兆4,435億円まで拡大しました。その一方で、半導体メーカーの設備投資が調整した2024年3月期には売上・利益ともに大きく落ち込んでいます。前に見た「半導体サイクル」が、そのまま数字にも表れている会社です。

さらに面白いのが2026年3月期です。売上高は過去最高の2兆4,435億円となりましたが、営業利益は前期比10.4%減の6,249億円、営業利益率も28.7%から25.6%へ低下しました。一方、親会社株主に帰属する純利益は5,744億円と前期から増えています。

ただし、この純利益には政策保有株式の縮減などに伴う投資有価証券売却益1,154億9,400万円(約1,155億円)が特別利益として含まれています。そのため私は、「純利益が増えた」という数字だけを見るのではなく、本業でどれだけ利益を生み出したのかを見る営業利益も一緒に確認する必要があると思います。

そして2027年3月期に入ると、再び数字が強くなっています。2026年4〜6月期は売上高7,323億円で前年同期比33.3%増、営業利益2,114億円で46.1%増、営業利益率は28.9%まで上昇しました。先端半導体向けの顧客投資が強いことを受け、会社は2027年3月期上期の売上予想を1兆6,200億円、営業利益を4,580億円へ引き上げています。

つまり東京エレクトロンを見るときには、単純に「売上が増えている会社」と捉えるより、

長期では半導体市場とともに成長する。
ただし短期では設備投資サイクルによって大きく上下する。
その中で利益率と資本効率をどれだけ高く維持できるか。

ここを見る方が、この会社の本当の実力をつかみやすいと思います。

売上・営業利益はどう成長してきた?

売上・営業利益はどう成長してきた?

東京エレクトロンの業績を少し長い目で並べると、半導体市場の成長と半導体サイクルの両方がよく見えてきます。

決算期売上高営業利益営業利益率ROE
2021年3月期1兆3,991億円3,206億円22.9%26.5%
2022年3月期2兆38億円5,992億円29.9%37.2%
2023年3月期2兆2,090億円6,177億円28.0%32.3%
2024年3月期1兆8,305億円4,562億円24.9%21.8%
2025年3月期2兆4,315億円6,973億円28.7%30.3%
2026年3月期2兆4,435億円6,249億円25.6%29.6%

2021年3月期と2026年3月期を比べると、売上高は約1.7倍になっています。しかし途中には2024年3月期の大きな落ち込みがあり、その翌年には売上も営業利益も急回復しています。長期的には成長していても、その途中にはかなり大きな波がある会社だということが数字からも分かります。

2025年3月期はロジック・ファウンドリやDRAM向けの活発な設備投資を背景に、売上高が大きく伸び、営業利益率も28.7%まで回復しました。ところが2026年3月期は売上高こそ過去最高を更新したものの、売上総利益率は47.1%から45.3%へ低下し、研究開発費も2,500億円から2,778億円へ増えています。その結果、営業利益は前期より減少しました。

ここは、長期投資では単純に悪い数字と決めつける必要はないと思います。研究開発費が増えることで短期的には利益を押し下げますが、その研究が次世代エッチングや成膜、先端パッケージの装置へつながれば、将来の売上を作るための投資になります。

実際、2027年3月期は研究開発費をさらに3,300億円まで増やす計画です。営業利益だけを最大化するなら研究開発を抑える方法もあります。しかし技術が次々と変わる半導体製造装置業界でそれを続ければ、今度は将来の競争力を失う可能性があります。

だから私は東京エレクトロンの決算を見るとき、売上や営業利益と一緒に、その年にどれだけ次の技術へ投資しているかも追い続けたいと思います。

高い利益率とROEはなぜ実現できる?

高い利益率とROEはなぜ実現できる?

東京エレクトロンの数字で、私が特に気になるのが営業利益率とROEの高さです。

ROEとは「自己資本利益率」のことで、株主から預かった資本を使って、どれだけ効率よく利益を生み出したかを見る指標です。例えばROE30%なら、単純化すると100円の自己資本から年間30円ほどの利益を生み出しているイメージになります。

東京エレクトロンのROEは2022年3月期に37.2%、2023年3月期に32.3%、2025年3月期に30.3%、2026年3月期でも29.6%でした。半導体サイクルの調整を受けた2024年3月期には21.8%まで低下しましたが、それでも高い水準を維持しています。

この高い収益性を考えると、ここまで見てきた東京エレクトロンの強みがつながってきます。成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄など、半導体の性能や歩留まりを左右する重要工程に装置を持ち、複数分野で高い世界シェアを獲得する。顧客と数世代先の製造プロセスを開発し、採用された装置を世界中で保守・改造する。こうした高付加価値の装置とサービスを継続して提供できることが、高い利益率を支える土台になっています。

東京エレクトロンは中期目標として、

  • 売上高 3兆円以上
  • 営業利益率 35%以上
  • ROE 30%以上

を掲げています。

ただし2026年3月期の営業利益率は25.6%でした。ROEは目標水準にかなり近い一方で、営業利益率35%という目標にはまだ距離があります。

私はここを「目標未達だからダメ」と見るよりも、今後の成長を確認するための基準として使いたいと思います。

高付加価値製品の比率をさらに上げられるか。
先端パッケージなど新しい装置を高収益事業へ育てられるか。
研究開発費を増やしながら利益率まで高められるか。

2027年3月期の第1四半期には営業利益率が28.9%まで上昇し、上期予想も28.3%へ引き上げられました。これが一時的な設備投資の追い風なのか、それとも高付加価値製品の拡大によって30%台へ近づいていくのか。今後の決算でかなり注目したい数字です。

配当・自社株買いをどう考える?

配当・自社株買いをどう考える?

東京エレクトロンは成長のために巨額の研究開発や設備投資を続けていますが、同時に株主還元もかなり積極的な会社です。

配当方針は分かりやすく、親会社株主に帰属する当期純利益を基準として、配当性向およそ50%を継続することを基本としています。さらに年間配当には最低50円という下限を設け、自社株買いについても資金状況や成長投資とのバランスを見ながら柔軟に実施する方針です。

直近の年間配当を見ると、次のようになっています。

決算期1株当たり年間配当
2022年3月期467.67円
2023年3月期570.33円
2024年3月期393円
2025年3月期592円
2026年3月期628円

2024年3月期には半導体サイクルによる利益減少に合わせて配当も下がりましたが、利益が回復した2025年3月期以降は再び増加しています。つまり東京エレクトロンは、毎年必ず配当を増やす「連続増配型」というより、利益の大きさに合わせて株主へ還元する業績連動型の配当政策だと考えた方が分かりやすいと思います。

2027年3月期については、2026年7月30日に上期業績予想を引き上げたことに伴い、中間配当予想も1株384円へ引き上げられました。

なお、東京エレクトロンは2026年9月30日を基準日として1株を5株へ分割し、10月1日に効力が発生する予定です。中間配当384円は株式分割前の株式数を基準としているため、今後の1株当たり配当を過去と比較するときには注意が必要です。

自社株買いも大きな金額です。2026年3月期には約1,499億円の自社株買いを実施し、その後2026年5月には新たに最大1,500億円の自社株買い枠を設定しました。この新しい枠についても、2026年8月3日までに約1,500億円の取得を終えています。

ただ、私は配当が多いことだけで東京エレクトロンを評価する必要はないと思います。

東京エレクトロンはいま、2025〜2029年度の5年間で1.5兆円以上の研究開発投資を計画し、宮城をはじめ新しい研究・生産拠点にも巨額の資金を使っています。それでも生み出した利益やキャッシュの一部を、配当や自社株買いとして株主へ返しています。

長期投資家として見るなら、

研究開発へ投資する

新しい装置を生み出す

利益・キャッシュを増やす

次の成長投資へ回す

そして同時に、

余剰資本を配当・自社株買いで株主へ返す

という循環が続いているかを見る方が重要だと思います。

成長投資を削って配当だけを増やしても、半導体製造装置会社としての未来はありません。逆に研究開発へお金を使い続けても、それが利益につながらなければ株主へ還元する余力は生まれません。

「成長投資」と「株主還元」をどちらか一方ではなく、両立できているか。

私は、東京エレクトロンの財務を見るうえでここをかなり重視したいと思います。

ここまで数字を見てくると、東京エレクトロンは高い収益力と資本効率を持ち、研究開発へ大きく投資しながら株主還元も行える会社だと分かってきました。

ただし、これだけ利益率の高い会社でも、半導体サイクル、米中対立、輸出規制、技術競争などによって業績が大きく変わる可能性があります。

次は、「AIが伸びれば東京エレクトロンは安心」とは言えない理由を、リスクの面から見ていきます。

おじー🦥
おじー🦥

利益を株主へ返すだけではなく、次の半導体を作る技術にも大きなお金を使っているのですね。
成長投資を続けながら、利益と株主還元も増やせるかを見ていきたいです。

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東京エレクトロンのリスク|AIが伸びれば安心とは限らない

東京エレクトロンのリスク|AIが伸びれば安心とは限らない

ここまで東京エレクトロンを調べると、AI、HBM、先端パッケージ、国内半導体投資など、今後の成長を期待したくなる材料がかなり多くあります。

複数の重要工程で高い競争力を持ち、巨額の研究開発を続け、世界の半導体市場そのものも長期では拡大していく可能性があります。

ただ、私はここで「AI時代だから東京エレクトロンは安心」と考えるのは危ないと思います。

東京エレクトロンがいる半導体製造装置業界は、世界でも特に技術変化が速く、一台の装置が非常に高額で、顧客である半導体メーカーの設備投資によって業績が大きく変わる世界です。さらに米中対立や輸出規制によって、「高性能な装置を作れるのに売れない」ということまで起こり得ます。東京エレクトロン自身も、半導体市場の変動、競争激化、急速な技術革新への対応、品質、知的財産などを業績へ影響する要因として挙げています。 

私は、東京エレクトロンを見るうえで特に重要なリスクを次の4つだと考えています。

リスク何が起こる?見ておきたいポイント
半導体サイクル設備投資が急減する顧客の設備投資・在庫
米中対立・輸出規制売れる地域や装置が制限される中国売上・規制変更
技術競争次世代工程で採用を失うシェア・R&D・新製品
情報管理・信頼顧客との関係を失うガバナンス・再発防止

この4つを見ると面白いのは、東京エレクトロンの強みとリスクがかなり近い場所にあることです。

最先端技術を扱うから大きな利益を生み出せる一方、技術競争に負ければ一気にシェアを失う可能性がある。世界中で事業をしているから成長できる一方、地政学の影響を受ける。そして顧客と数世代先の技術を一緒に開発できるほど関係が深いからこそ、機密情報を守る責任も重くなります。

強い会社だからリスクが小さいのではなく、強みを維持するために高い壁を越え続けなければならない会社。

私は、東京エレクトロンをそんな会社として見ています。

最大のリスクは半導体サイクル

最大のリスクは半導体サイクル

東京エレクトロンにとって最も分かりやすく、業績への影響も大きいリスクが半導体サイクルです。

半導体の需要が増えると、メーカーは「もっと作らなければならない」と考えて工場や製造装置へ一斉に投資します。すると東京エレクトロンの装置需要も増えます。しかし数年後に生産能力が需要を上回ったり、在庫が積み上がったりすると、半導体メーカーは新しい装置を買うのを控えます。

そのため、

AI需要が伸びる

半導体需要が伸びる

設備投資が増える

東京エレクトロンの売上が増える

という流れが永遠に一直線で続くわけではありません。

実際に東京エレクトロンの業績でも、2023年3月期の売上高2兆2,090億円から、半導体メーカーの設備投資調整を受けた2024年3月期には1兆8,305億円まで減少しました。その後、先端ロジックやDRAMなどへの投資が戻ると、2025年3月期には2兆4,315億円まで急回復しています。

つまり長期で半導体市場が成長していても、その途中では、

投資しすぎる → 半導体が余る → 設備投資を止める → 在庫が減る → また投資する

という波が何度も起こります。東京エレクトロン自身も、半導体市場の需給変化を業績へ影響する主要なリスクとして認識しています。 

ここで投資家として注意したいのは、業績が絶好調のときほど半導体メーカーも積極的に設備投資している可能性があることです。

だから「今期の売上が過去最高だった」という数字だけを見るのではなく、半導体メーカーの在庫は増えていないか、設備投資計画はさらに増えるのか、すでに投資しすぎていないかまで見る必要があります。

東京エレクトロンは成長企業ですが、景気循環のない成長企業ではありません。

この違いは、長期投資ではかなり重要だと思います。

米中対立・輸出規制は追い風とリスクの両方になる

米中対立・輸出規制は追い風とリスクの両方になる

東京エレクトロンを考えるうえで、半導体サイクルと同じくらい難しいのが米中対立と半導体製造装置の輸出規制です。

半導体は経済安全保障に直結する技術になったため、米国を中心に先端半導体や製造装置を中国へ渡さないための規制が強化されてきました。日本企業である東京エレクトロンも無関係ではなく、同社の取締役会でも米国の通商政策や輸出管理への対応が重要なリスク・コンプライアンス事項として議論されています。 

特に重要なのが、中国が東京エレクトロンにとって依然として大きな市場であることです。

2026年4〜6月期の東京エレクトロンの地域別売上を見ると、中国は全体の30.4%を占めています。2025年3月期第1四半期には49.9%だったため比率自体は低下していますが、現在でも売上のおよそ3割を占める大きな市場です。 

ここで輸出規制がさらに厳しくなれば、

中国の半導体メーカーが欲しい装置があっても販売できない
販売できる装置の性能や用途が制限される
中国企業が国産装置への切り替えを進める

といったことが東京エレクトロンの事業へ影響する可能性があります。

一方で、米中対立は悪いことだけではありません。

半導体を一つの地域へ依存するリスクが意識されたことで、日本、米国、欧州などでは国内に半導体工場を作ろうとする動きが広がっています。前に見た日本政府による半導体支援も、その流れの一つです。

つまり、

中国への販売規制 → マイナス要因

である一方、

世界各地で半導体生産を分散 → 新しい設備投資が生まれる

という可能性もあります。

だから私は「米中対立は東京エレクトロンにプラス」「輸出規制だからマイナス」と一方向だけで判断しない方がいいと思います。中国で失う装置需要と、世界各地で新しく生まれる装置需要のどちらが大きくなるのか。

東京エレクトロンの地域別売上を追い続ける意味は、ここにあります。

次世代技術で負ければ、今の強みは続かない

次世代技術で負ければ、今の強みは続かない

ここまで東京エレクトロンの強みとして、コータ/デベロッパや成膜、エッチング、洗浄、プローバなどで高い世界シェアを持っていることを見てきました。

ただ、私は現在の世界シェアをそのまま将来の強さだと考えるのは危険だと思います。

半導体製造装置の世界では、半導体の作り方そのものが変われば、必要になる装置や技術も変わります。平面的な微細化から3D化へ進み、HBMや先端パッケージが広がり、トランジスタ構造や材料が変われば、現在強い装置が10年後にも同じように必要とは限りません。

例えば東京エレクトロンが現在高いシェアを持つ装置であっても、次世代工程で競合企業の技術が採用されれば、

顧客の次世代ラインへ入れない

装置の採用実績が積み上がらない

量産時の売上機会を失う

将来のField Solutionsの対象も増えない

という形で、一度の技術競争が長期的な収益へ影響する可能性があります。

東京エレクトロン自身も、急速な技術革新へ対応できないことや販売競争の激化を、業績へ影響する要因として明示しています。 

だからこそ、5年間で1.5兆円以上という巨額の研究開発投資を続け、数世代先の半導体を顧客や研究機関と一緒に開発しているわけです。

ここまで調べると、研究開発費は「未来への期待」だけではなく、今の競争力を失わないために必要なコストでもあるように感じます。

研究開発費が増えれば短期的な利益率にはマイナスです。しかし研究開発を抑えて営業利益率を高め、その代わり5年後に次世代工程で採用されなくなれば意味がありません。

東京エレクトロンを見るなら、現在の世界シェアだけではなく、次世代エッチング、成膜、先端パッケージ、ハイブリッドボンディングなどで新しい採用を増やせているかを追い続ける必要があります。

顧客の機密情報を守れるかも競争力

顧客の機密情報を守れるかも競争力

東京エレクトロンを調べていて、技術や売上とは少し違うものの、私はかなり重要だと思ったリスクがあります。それが顧客との信頼と機密情報の管理です。

東京エレクトロンは単純に完成した装置を工場へ届けるだけではありません。顧客である半導体メーカーと数世代先の製造プロセスを共同で評価し、装置を工場へ設置し、量産後も改造や保守を続けます。そのため、装置メーカーは顧客がこれから量産しようとしている半導体の構造や製造条件など、非常に価値の高い情報へ触れる立場になります。

だからこそ、「技術を知っていること」と同じくらい「知った情報を守れること」が重要になります。

実際、2025年には東京エレクトロン台湾の元従業員が、顧客の機密情報に関する事件へ関与したことが明らかになりました。2026年4月には台湾の裁判所が、東京エレクトロン台湾について元従業員に対する監督義務を十分に果たさなかったとして、1億5,000万台湾ドルの罰金を命じています。東京エレクトロンは、調査と判決では会社や台湾子会社による組織的な関与や、当該機密情報の外部流出は認定されておらず、業績への影響もないと説明しています。 

私は、この事件を単に「罰金がいくらだったか」という話だけで見るべきではないと思います。

最先端半導体の開発では、顧客が装置メーカーへどこまで情報を共有してくれるかが、次世代装置を開発するうえで非常に重要です。もし顧客から「この会社には重要な情報を預けられない」と判断されれば、共同開発そのものが難しくなる可能性があります。

東京エレクトロン自身も、顧客や取引先の情報、最先端技術に関する機密情報の保護を重要な経営課題と位置付け、2026年6月には情報セキュリティ方針を改定しました。現在はサイバー攻撃だけでなく内部不正も含め、専門人材による24時間365日の監視やグループ共通ルール、監査などを進めています。情報漏えいによって技術優位性や社会的信用を失う可能性も、会社自身がリスクとして明記しています。 

ここまで企業研究をしてきて、東京エレクトロンの競争力というと、どうしてもエッチング装置や世界シェア、研究開発費など目に見えるものへ意識が向きます。

しかし実際には、

「数世代先の技術を、この会社なら安心して一緒に開発できる」

と顧客から思ってもらえることも、装置メーカーにとって簡単には数字に表れない強みなのだと思います。

そしてこれは、一度作れば終わるものではありません。

技術力と同じように、信頼も毎日守り続けなければ失われる可能性がある。

私は、この部分も今後の東京エレクトロンを見るうえで重要なポイントにしたいと思います。

ここまでリスクまで含めて見ると、東京エレクトロンが優れた会社であることと、株式としていつでも魅力的であることは別の話だということも見えてきます。企業として強くても、その成長期待がすでに株価へ大きく織り込まれていれば、投資リターンは変わってきます。

良い会社なのか。ではなく、良い会社をいくらで買うのか。

東京エレクトロンを投資先として考えるなら、ここまで見る必要があります。

おじー🦥
おじー🦥

最先端の会社だからこそ、技術競争や地政学、情報管理まで背負うものも大きいのですね。
今の強みがあるかではなく、その強みを10年後まで守り続けられるかを見ていきたいです。

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東京エレクトロンの株価分析|長期投資先として魅力的か

東京エレクトロンの株価分析|長期投資先として魅力的か

ここまで東京エレクトロンを調べてきて、半導体製造の複数工程で高い競争力を持ち、AI、HBM、先端パッケージなど今後の成長分野にも関わり、巨額の研究開発を続けられる会社だということが分かってきました。

企業として見れば、私はかなり魅力のある会社だと感じています。

ただし、「良い会社」と「良い投資先」は必ずしも同じではありません。 どれだけ優れた企業でも、将来の成長期待が株価へすでに大きく織り込まれていれば、買った後のリターンは小さくなる可能性があります。

2026年8月31日の東京エレクトロンの終値は56,440円。時価総額は約26.4兆円です。2026年の年初来安値35,720円からは大きく上昇していますが、7月1日に付けた年初来高値81,260円からは約30%下の水準まで調整しています。わずか数か月の間でも、株価が3万円台から8万円台まで動くほど値動きの大きな銘柄です。

現在の主な指標を整理すると、次のようになります。

指標2026年8月31日時点
株価56,440円
時価総額約26.4兆円
年初来高値81,260円
年初来安値35,720円
PBR12.12倍
ROE29.56%
FY2026実績EPS1,254.57円
FY2026実績EPS基準のPER約45倍
FY2026年間配当628円
FY2026配当基準の単純利回り約1.1%

株価・PBR・時価総額は2026年8月31日の市場データ、EPSは2026年3月期の東京エレクトロン公式決算を基準にしています。FY2027は通期業績予想と年間配当予想がまだ公表されていないため、約45倍というPERは2026年3月期の実績EPSを現在株価で割った参考値です。会社が予想する正式なFY2027 PERではありません。

私はこの数字を見ると、東京エレクトロンは決して「安さ」で買う銘柄ではないと思います。PBR12倍台ということは、会社が持つ純資産そのものではなく、そこから将来どれだけ高い利益を生み出せるかに大きな評価が付いているということです。

しかも2026年3月期の純利益には約1,155億円の投資有価証券売却益が含まれていました。実績EPSを使ったPER約45倍でさえ、一時的な利益を含んだ数字です。だから東京エレクトロンの株価を見るときには、「PERが何倍だから割高・割安」と一つの数字だけで判断するより、その高い評価に見合う利益成長を本当に続けられるのかを見る必要があります。

東京エレクトロンは良い会社なのか。それについては、ここまで調べてかなり答えが見えてきました。

ここから考えたいのは、その良い会社を、今いくらで買うのかです。

東京エレクトロンの株価は何で動く?

東京エレクトロンの株価は何で動く?

東京エレクトロンの株価を見ていると、一日の中でも数%動くことがあります。

これは単純に「今期の売上が増えたか」だけで売買されている会社ではなく、数年先の半導体設備投資まで先回りして株価が動く会社だからだと思います。

例えば2026年7月30日に発表した第1四半期決算では、売上高が前年同期比33.3%増、営業利益が46.1%増となり、上期予想も上方修正されました。翌7月31日の株価は一時的に大きく上昇しています。投資家が見ていたのは過去3か月の利益だけではなく、「AI向け設備投資が想定以上に強いなら、その先の東京エレクトロンの利益も増えるのではないか」という未来です。

東京エレクトロンの株価を動かしやすい要因を整理すると、私は次のように考えています。

株価を見るポイントなぜ重要なのか
AI・データセンター需要先端半導体への投資につながる
半導体メーカーの設備投資装置販売へ直接つながりやすい
WFE市場前工程装置市場全体の方向が分かる
HBM・先端ロジック高度な工程ほど装置需要が広がる
中国市場・輸出規制販売できる地域や装置が変わる
営業利益率高付加価値化が進んでいるか分かる
次世代工程での採用将来のシェアを左右する
為替海外売上・利益へ影響する

特に覚えておきたいのがWFE(Wafer Fab Equipment)です。これは、半導体の前工程で使われる製造装置市場のことで、東京エレクトロン自身も市場見通しを決算説明で重視しています。

つまり株価を見るときには、

東京エレクトロンの決算だけを見る

のではなく、

AI需要
→ 半導体需要
→ 半導体メーカーの設備投資
→ WFE市場
→ 東京エレクトロンの受注・売上・利益

までつなげて考える必要があります。

だから、良い決算なのに株価が下がることもあります。市場が「その好業績はもう株価へ織り込み済み」「次の設備投資は鈍化する」と考えれば、過去最高益でも売られる可能性があります。

株価は現在の業績より、一歩先の半導体投資を見ている。

私は東京エレクトロンを見るとき、この感覚を持っておきたいと思います。

良い会社でも「いくらで買うか」は重要

良い会社でも「いくらで買うか」は重要

2026年の東京エレクトロンの株価を見ると、この会社で「買う価格」を考える重要性がよく分かります。

年初来安値は1月5日の35,720円。そこからAI・半導体株への期待が高まり、7月1日には81,260円まで上昇しました。約半年で2倍以上になった後、8月31日には56,440円まで調整しています。企業そのものが半年間で2倍良くなったり、1か月で3割悪くなったりしたわけではありません。将来への期待が変化することで、株価につけられる評価が大きく動いているということです。

ここでPERを見るときにも注意が必要です。東京エレクトロンは2027年3月期から通期業績予想の開示をやめ、半期ごとの予想へ変更しました。2026年8月31日時点では下期・通期の会社予想がまだないため、会社予想EPSを使った正式な通期PERは計算できません。

そのため私は、今の東京エレクトロンを「PER○倍だから買い」と機械的に判断するより、

今の株価は、どのくらいの将来成長を前提にしているのか。

という見方をしたいと思います。

PBRは12倍を超えています。これは一見するとかなり高く感じますが、東京エレクトロンはROE約30%という非常に高い資本効率を持つ会社でもあります。高いPBRには理由があります。

ただし、

高ROEだから高い株価で買ってもいい

とは限りません。

現在30%近いROEを維持できても、次世代工程でシェアを落としたり、半導体サイクルが調整したり、営業利益率が低下したりすれば、利益だけではなく株価へ付けられている高い評価そのものが下がる可能性があります。

だから私なら東京エレクトロンを見るとき、

利益が伸びる

高いROEを維持する

その成長を今の株価がどこまで織り込んでいるか

の3つをセットで考えます。

なお、2026年8月31日時点では100株を購入するために約564万円必要です。東京エレクトロンは投資単位を下げるため、2026年9月30日を基準日に1株を5株へ分割し、10月1日に効力が発生する予定です。株式分割によって一株の価格は理論上5分の1になりますが、会社の価値そのものが5倍になるわけではありません。投資家が買いやすくなることと、株が割安になることは別の話です。

このあたりも、「株価」と「企業価値」を分けて考える練習になると思います。

長期投資では何を追い続ければいい?

長期投資では何を追い続ければいい?

東京エレクトロンを長期で保有するとしたら、毎日の株価を追い続けるよりも、会社の強みが本当に利益へ変わり続けているかを見る方が重要だと思います。

私は今後の決算で、次のポイントを追っていきたいです。

  • AI・データセンター向け設備投資は続いているか
  • WFE市場は拡大しているか
  • HBM・先端ロジック・先端パッケージで採用を増やせているか
  • 世界シェアを維持・拡大できているか
  • 営業利益率は35%目標へ近づいているか
  • ROE30%前後を維持できているか
  • 研究開発投資が新製品や売上へつながっているか
  • Field Solutionsが設置台数の増加とともに成長しているか
  • 中国依存や輸出規制の影響はどう変化しているか
  • 配当・自社株買いと成長投資を両立できているか

そして株式需給を見るなら、信用残も少し気になります。

2026年8月21日時点では、信用買い残が227万3,200株、信用売り残が20万3,000株で、信用倍率は11.20倍でした。信用買い残は前週から約22万株増えています。買い残が多いから必ず株価が下がるわけではありませんが、将来売却される可能性のある信用買いが積み上がっていることは、短期的な上値の重さにつながる場合があります。

ただ、私は長期投資では信用倍率そのものを最優先する必要はないと思います。

信用残は数週間、数か月の株価へ影響することがありますが、10年後の企業価値を決めるのは、

次世代半導体で装置が選ばれるか。
その装置から利益を生み出せるか。
生み出した利益を次の技術へ再投資できるか。

という会社そのものの競争力です。

ここまで東京エレクトロンを調べてきて、私の評価はかなりはっきりしてきました。

会社としては非常に魅力的です。

半導体製造の複数工程に強みを持ち、AI時代に製造難易度が上がるほど事業機会が広がる可能性があり、次世代技術へ巨額の研究開発を続けられる財務力もあります。

ただし、株式として見ると話は少し変わります。

時価総額はすでに26兆円を超え、PBRは12倍台です。市場も東京エレクトロンが強い会社だということは十分知っています。だから私は、「良い会社を見つけたからすぐ買う」ではなく、成長期待と株価のバランスを見ながら買う価格を考えたい会社だと思います。

そして東京エレクトロンを長期で持つなら、一度買って忘れるのではなく、

半導体の進化が続く中で、東京エレクトロン自身も次の「出番」を作り続けているか。

そこを確認しながら保有したいです。

おじー🦥
おじー🦥

会社として魅力があっても、株価にはその期待が先に織り込まれるのですね。
今の値段だけではなく、10年後も選ばれる技術を生み出し続けられるかを見ながら、買う価格も考えていきたいです。

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東京エレクトロンの強みまとめ|AI時代に「出番」が増える半導体製造装置メーカー

東京エレクトロンの強みまとめ|AI時代に「出番」が増える半導体製造装置メーカー

ここまで東京エレクトロンを調べてきて、最初に持っていた「半導体製造装置を作る、日本を代表する技術力の高いメーカー」という印象は、かなり具体的なものへ変わりました。

もちろん東京エレクトロンは半導体製造装置メーカーです。しかし実際には、一種類の装置だけを作っている会社ではありません。成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄、検査、接合など、半導体ができるまでの複数の重要工程に装置を持ち、世界の半導体メーカーと数世代先の製造技術まで研究しています。さらに一度販売した装置をField Solutionsで長く支え、そこで得た利益や知識を再び次の研究開発へ戻しています。

私は企業研究を終えて、東京エレクトロンの強みは単に「世界シェアの高い装置をたくさん持っていること」ではないと考えるようになりました。

次に必要になる半導体技術を早く見つけ、その技術を装置へ変え、顧客の量産工程へ入り込み、そこで得た利益と経験をまた次の技術へ戻せること。

1963年には、まだ日本の半導体産業が本格的に成長する前から半導体の可能性に目を向け、米国の先端技術を日本へ持ってきました。その後、自分たちで装置を作る会社へ変わり、今ではAI、HBM、3D化、先端パッケージなど、次の半導体技術を世界の顧客と研究する側へ進んでいます。

時代によって扱う技術は変わっています。

それでも、これから必要になる技術を見つけ、その実現を支えるという役割には、創業から現在まで一本の線が通っているように感じます。

そして今、AIによって高性能な半導体がさらに求められています。半導体が高性能になるほど、微細化、3D化、積層、先端パッケージが進み、一つの半導体を作る難易度も上がります。そこで必要になるのが、より高度な半導体製造装置です。

ここまで調べて、ようやく冒頭で見たCMの言葉がつながりました。

出番だ、東京エレクトロン。

東京エレクトロンの「出番」は、AIそのものを作ることではありません。

AIを支える半導体が進化し、その半導体を作ることが難しくなる場所に、東京エレクトロンの出番がある。

私は、この会社をそんなふうに捉えるようになりました。

結局、東京エレクトロンの強みは何だったのか

結局、東京エレクトロンの強みは何だったのか

ここまで調べた内容を改めて整理すると、東京エレクトロンの強みは一つではありません。

成膜、塗布・現像、エッチング、洗浄など複数の重要工程に装置を持ち、その中には世界トップクラスのシェアを持つ製品があります。世界各地の半導体メーカーと長い関係を築き、数世代先の製造技術を一緒に研究できる。そして販売した装置は世界中の半導体工場へ積み上がり、その後も保守・改造・部品などField Solutionsの事業につながっています。

さらに、その事業から生まれた利益を巨額の研究開発へ戻し、次世代エッチング、成膜、先端パッケージ、AIを使った装置・サービスの進化へ投資しています。

整理すると、私は東京エレクトロンの強みを次の7つだと考えています。

  • 複数の重要工程をカバーする幅広い製品群
  • 複数分野で世界トップクラスのシェアを持つ技術力
  • 顧客と数世代先の技術を研究できる関係
  • 世界中の半導体工場を支えるサービス網
  • 積み上がった設置済み装置という顧客基盤
  • 巨額の研究開発を続けられる収益力
  • 微細化・3D化・先端パッケージへ技術を広げる力

ただし、この7つを別々に見るだけでは、東京エレクトロンの本当の強さは分かりにくいと思います。

幅広い装置を持つから顧客の製造工程を広く理解できる。顧客の近くにいるから次に必要になる技術を早く知れる。その情報を研究開発へ戻して新しい装置を作り、量産工程へ採用されれば装置販売が増える。装置が世界中へ増えればField Solutionsの対象も増え、そこから利益が生まれる。そしてその利益を、また次の研究開発へ使うことができます。

強みが一つずつ存在しているのではなく、強みが次の強みを生み出している。

私は、ここに東京エレクトロンの簡単には真似しにくい競争力があると思います。

今後10年で確認したいのは「半導体市場が伸びるか」だけではない

今後10年で確認したいのは「半導体市場が伸びるか」だけではない

東京エレクトロンの将来を考えると、半導体市場そのものは今後も拡大する可能性があります。

AIデータセンターだけでなく、自動車、ロボット、通信、工場、医療など、半導体が必要になる場所は広がっています。

ただ、私は今後10年の東京エレクトロンを見るとき、「世界の半導体市場がどれくらい成長したか」だけを追う必要はないと思っています。

半導体市場が伸びても、東京エレクトロンの装置が次世代工程で選ばれなければ、その成長を取り込むことはできません。反対に、半導体の生産数量がそれほど増えなくても、微細化や3D化によって一つの半導体を作る工程が複雑になれば、製造装置の事業機会が広がる可能性があります。

だから今後確認したいのは、市場の大きさよりも、半導体の進化する場所に東京エレクトロンが入り続けているかです。

特に私は、

  • AI・データセンター向け設備投資が続いているか
  • 次世代エッチングや成膜で採用を増やせているか
  • HBM・先端パッケージを新しい収益源へ育てられるか
  • 世界シェアを維持・拡大できているか
  • 研究開発投資が新製品や利益へ変わっているか
  • 高い営業利益率とROEを維持できるか
  • 米中対立や輸出規制の中でも市場を広げられるか

を見ていきたいと思います。

そしてもう一つ重要なのが、研究開発へ使うお金の「量」ではなく、そのお金が何を生み出したのかです。

5年間で1.5兆円以上を研究開発へ使うこと自体は確かにすごいことです。しかし投資家として本当に見たいのは、その研究から新しい装置が生まれ、その装置が顧客に採用され、量産へ入り、売上と利益になっているかです。

研究開発 → 顧客採用 → 装置販売 → 利益 → 次の研究開発

この循環が10年後も続いているのか。

私は、ここが東京エレクトロンの長期的な企業価値を左右する最大のポイントだと思います。

企業研究を終えて|私が考える東京エレクトロンという会社

企業研究を終えて|私が考える東京エレクトロンという会社

企業研究を始める前の私にとって、東京エレクトロンは「世界で活躍する日本の半導体製造装置メーカー」でした。

企業研究を終えた今は、少し違います。

東京エレクトロンは、半導体そのものを作る会社ではなく、半導体が次の世代へ進むための「作り方」を支える会社です。

1963年には、これから半導体が産業を変えると考えて米国の先端技術を日本へ持ち込みました。そこから国内生産、自社開発、海外展開へ進み、現在では世界の半導体メーカーと数世代先の製造プロセスを研究しています。

会社の規模も、作っている装置も、60年以上の間に大きく変わりました。

それでも、私は東京エレクトロンの根っこにはずっと同じものがあるように感じます。

次に必要になる技術を見つけ、その技術が社会へ広がるための装置を作る。

現在、その先にある大きな変化がAIです。

AIが普及する。
高性能な半導体が必要になる。
半導体が微細化・3D化する。
HBMや先端パッケージが広がる。
一つの半導体を作ることがさらに難しくなる。
そこで高度な製造装置が必要になる。

ここまでつながって、CMで何度も聞いた、

出番だ、東京エレクトロン。

という言葉の意味が、私なりにようやく分かった気がします。

東京エレクトロンの出番は、「AIブームだから突然やってきた」わけではありません。

半導体の作り方が変わるたびに、自分たちで新しい出番を作ってきた会社。

私は、東京エレクトロンをそんな会社だと感じています。

投資先として見ても魅力はあります。高い世界シェア、ROE約30%という収益力、世界中の顧客基盤、積み上がった装置、Field Solutions、そして巨額の研究開発を続けられる財務力があります。

一方で、どんな株価でも買いたい会社かと言われれば、私はそうは考えていません。

半導体サイクルによって業績は大きく動きます。米中対立や輸出規制の影響も受けます。次世代技術で競合に負ければ、現在の世界シェアが続く保証もありません。そして2026年8月31日時点では、東京エレクトロンの強さやAI時代への期待も、株価にはかなり織り込まれています。

だから今の私の評価は、

会社としてはかなり魅力的。
AI時代の成長にも期待したい。
でも、買う価格については焦らず考えたい。

そんなところです。

そしてこれから東京エレクトロンを見るとき、私は売上や株価だけではなく、この会社がまだ「次」を見ているかを確認したいと思います。

1963年に半導体の未来を見たように、次の半導体構造、次の製造工程、次のパッケージ技術、そしてそのさらに先にある技術へ入り続けられるのか。

東京エレクトロンは、半導体の進化が続く中で、これからも自らの「出番」を作り続けられる会社なのか。

私は、そこをこれからも見ていきたいと思います。

おじー🦥
おじー🦥

調べる前は「半導体製造装置のすごい会社」という印象でしたが、本当の強みは、半導体の変化を先に見つけて自分たちの技術へ変え続けられるところにありそうです。
AI時代だから出番が来るのではなく、変化するたびに自分たちで次の出番を作れるか。 その力がこれからも続いているかを、長い目で見ていきたいですね。

参考資料・出典(一次情報)

本記事では、主に以下の東京エレクトロン公式資料・IR資料、および政府・関連企業の一次情報を参照しています。

東京エレクトロン|企業理念・会社概要・創業の歴史

企業理念|東京エレクトロン

会社概要|東京エレクトロン

沿革・Milestones|東京エレクトロン

東京エレクトロン|事業内容・半導体製造装置・世界シェア

Corporate Summary|東京エレクトロン

製品・サービス|東京エレクトロン

東京エレクトロン|Field Solutions・装置納入後のサービス

サービス・Field Solutions|東京エレクトロン

Engineering Services|東京エレクトロン

Upgrades / Modification|東京エレクトロン

東京エレクトロン|統合レポート・中長期戦略

統合レポート・Annual Report|東京エレクトロン

IR資料一覧|東京エレクトロン

東京エレクトロン|研究開発・中期経営計画

Corporate Summary|東京エレクトロン

新中期経営計画|東京エレクトロン

東京エレクトロン|決算・業績・WFE市場見通し

決算資料一覧|東京エレクトロン

FY2027 第1四半期決算|東京エレクトロン

東京エレクトロン|財務データ・長期業績推移

連結財務諸表|東京エレクトロン

Data Book|東京エレクトロン

東京エレクトロン|宮城の研究開発・生産能力増強

宮城の新生産棟建設について|東京エレクトロン

東京エレクトロン|NVIDIAとのAI・ロボティクス協業

Tokyo Electron and NVIDIA Expand Collaboration for Agentic AI and Robotics|東京エレクトロン

経済産業省|AI・半導体産業への支援政策

AI・半導体産業基盤強化フレーム|経済産業省

内閣官房|日本成長戦略・AI・半導体

日本成長戦略本部・日本成長戦略会議|内閣官房

Rapidus|国内最先端半導体投資・2nm量産計画

IIM(半導体開発製造拠点)|Rapidus

Rapidusの2nm GAAトランジスタ試作について

東京エレクトロン|リスク管理

Risk Management|東京エレクトロン

東京エレクトロン|情報セキュリティ・機密情報管理

Information Security|東京エレクトロン

東京エレクトロン|台湾子会社に関する機密情報事件

台湾子会社に対する判決について|東京エレクトロン

東京エレクトロン|配当・自社株買い・株主還元

配当方針・配当実績|東京エレクトロン

IRニュース|東京エレクトロン

東京エレクトロン|株式分割

株式分割および定款の一部変更について|東京エレクトロン

2026年9月30日を基準日とする1株から5株への株式分割、2026年10月1日の効力発生予定について参照しています。 

株価・市場データについて

株価、時価総額、PER、PBR、年初来高値・安値、信用残などは、2026年8月31日時点の市場データを確認して掲載しています。これらは日々変動するため、記事内では基準日を明記しています。

最終確認日:2026年9月1日

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東京エレクトロン 投資家ノート|決算・株価を継続チェック

おじー🦥
おじー🦥

この記事の分析内容をもとに、東京エレクトロンの業績や株価を長期的に追いかけていきます。

企業研究は一度記事を書いて終わりではなく、決算、実態的な収益力、配当金、成長分野への投資、株価、信用需給などの変化を確認しながら、この投資家ノートを継続的に更新していく予定です。

※この記事は2026年9月時点の情報をもとに作成しています。企業の新しい取り組みがあれば、随時内容を更新していきます。

投資研究メモ 2026年9月1日(2026年3月期決算・2027年3月期第1四半期・2026年7月WFE市場見通し・株式5分割発表反映)

【現在の評価】
★★★★☆

【長期保有】
★★★★★

【企業理念】
★★★★★

【成長性】
★★★★★

【株価妙味】
★★☆☆☆

【配当】
★★★☆☆

【働きたい会社】
★★★★☆

【注目ポイント】

・2026年3月期は売上高2兆4,435億円と過去最高。一方で営業利益は6,249億円、営業利益率は25.6%と前期から低下しており、「売上が伸びれば利益も一直線に伸びる会社」ではない。半導体サイクルと研究開発投資の両方を見たい

・2027年3月期第1四半期は売上高7,323億円(前年同期比+33.3%)、営業利益2,114億円(+46.1%)、営業利益率28.9%まで上昇。会社は上期予想も売上高1兆6,200億円、営業利益4,580億円へ引き上げている。ただしFY2027からは通期予想ではなく半期予想へ変更している。 

・東京エレクトロン最大の強みは、成膜・塗布現像・エッチング・洗浄など複数の重要工程へ装置を持ち、顧客と数世代先の製造技術まで研究できること。一つの装置だけではなく、半導体の作り方そのものに深く入り込んでいる

・AIの成長はGPUだけではなく、HBM、DRAM、CPU、先端ロジック、先端パッケージまで設備投資を広げる可能性がある。東京エレクトロンは2026年7月時点でWFE市場を2026年1,500億ドル超、2027年1,900億ドル超と予想しており、AIデータセンター向けWFEは今後市場の50%超へ拡大するとの見方を示している。 

・特に今後注目したいのが先端パッケージ。FY2027は関連売上を前年比70%超と見込み、プローバ売上は通期で1,000億円を大きく上回る見通し。さらにボンディング関連装置では2030年までの累計売上5,000億円という事業機会を示している。 

・2025〜2029年度の5年間で1.5兆円以上の研究開発投資、7,000億円以上の設備投資、世界で1万人の採用を計画。現在のシェアを守るだけではなく、微細化、3D化、先端パッケージなど次世代工程で新しい採用を取れるかが最重要。 

・2025年3月末時点で世界に9万6,000台超の装置が設置されている。新しい装置を販売するだけでなく、部品、保守、改造、アップグレードなどField Solutionsへつなげられることも強み。装置販売が将来のサービス市場まで作るビジネスモデルになっている。 

・配当方針は配当性向約50%。2026年3月期の年間配当は628円、2027年3月期の中間配当予想は384円。さらに2026年5月に設定した最大1,500億円の自社株買いも8月に完了しており、成長投資を続けながら株主還元も行っている。 

・2026年10月1日に1株→5株へ株式分割。2026年8月31日終値56,440円なら100株購入に約564万円必要だったが、分割後は理論上最低投資額が5分の1になる。買いやすくなる一方、株式分割そのものは割安材料ではない。 

・2026年8月31日終値は56,440円、PBRは12.12倍。2026年3月期EPS1,254.57円を基準にすると実績PERは約45倍。FY2027の通期会社予想がないため単純比較はできないものの、企業の強さやAI時代への期待がかなり株価へ織り込まれている水準だと見ている。 

【気になること】

・AI投資が続いても、半導体メーカーの設備投資が過熱した後に半導体サイクルの大きな調整が来ないか

・中国は依然として大きな市場。米中対立や輸出規制がさらに強化され、技術力はあっても装置を売れない市場が広がらないか

・現在高い世界シェアを持っていても、次世代エッチング、成膜、ハイブリッドボンディングなどで競合に負ければ、今の強みは続かない。現在のシェアより次世代工程での採用を追いたい

・5年間で1.5兆円以上という巨額の研究開発費が、単に費用として増えるのではなく、新製品→顧客採用→売上→利益へ本当に変わっているか

・先端パッケージが一時的なAIブームではなく、東京エレクトロンの新しい大きな利益源へ育つか

・台湾子会社の機密情報問題を踏まえ、顧客から「数世代先の技術を安心して預けられる会社」という信頼を守れるか

・宮城をはじめ大規模な生産・研究開発投資を進めているが、想定した需要が伸びなかった場合に固定費負担が重くならないか

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