
NTTの強みは、全国の通信インフラだけではありません。
ドコモの巨大な顧客基盤、NTT DATAのIT・データセンター、研究開発力まで持ち、それらをAI・金融・AIOWNへつなげられることです。
今回は、NTTが長い時間をかけて築いた強みを、次の利益へ変えられるのか。一緒に見ていきましょう。
- NTTはどんな会社で、何を目指しているのか
- 通信だけではない、NTTの事業と本当の強み
- ドコモが金融・生活サービスを強化する理由
- AI・データセンター・IOWNがNTTの成長につながる可能性
- 業績・株主還元・リスクから考える、NTTの長期投資先としての魅力
- NTTは、何を目指す会社なのか|時代に合わせて「つなぐもの」を変えてきた会社
- NTTは何で稼いでいる?|通信だけではない巨大グループ
- NTTの強み|巨大な通信基盤を、次の事業へ広げられる
- ドコモは通信で築いた顧客基盤を、どこまで広げられるか
- NTTは今後10年で成長できるのか|AI・データセンター・AIOWNがつくる次の成長
- NTTの業績は成長しているのか|売上・利益・キャッシュフローから実力を見る
- NTTのリスク|巨大企業だからこそ抱える「変われないリスク」
- NTTの株価は割安なのか|PER・PBR・配当利回りから現在地を見る
- NTTは長期投資先として魅力的か|「安定」と「成長」を両立できる企業なのか
- まとめ|NTTの強みは、時代が変わっても「つなぐ会社」であり続けること
- 投資家ノート
NTTは、何を目指す会社なのか|時代に合わせて「つなぐもの」を変えてきた会社
もちろん、それらはNTTを代表するサービスです。
しかし企業研究を進めていくと、NTTが社会に提供してきたものは、電話や通信サービスそのものだけではないことが見えてきます。
NTTの原点は、1952年に設立された日本電信電話公社(電電公社)です。
戦後の日本では、電話を申し込んでもすぐには利用できず、全国の通信網もまだ十分に整っていませんでした。
そこで電電公社が取り組んだのが、日本全国へ電話網を広げることです。
当時目指していたのは、全国どこからでも電話を利用できる社会でした。
今では、離れた場所にいる人といつでも連絡を取れることは当たり前です。
しかし、その「つながることが当たり前の社会」を日本全国につくっていったことが、現在のNTTへ続く原点です。
そして1985年。
通信市場の自由化を背景に電電公社は民営化され、日本電信電話株式会社(NTT)が誕生しました。
民営化後には、NTTデータ、NTTドコモ、NTTファシリティーズ、NTTコムウェアなどが誕生し、NTTグループの事業領域は大きく広がっていきます。
ただ、ここで注目したいのは、
「電話会社がいろいろな事業を始めた」
ということではありません。
私は、NTTが時代に合わせて「何をつなぐ会社なのか」を変えてきたところに注目したいと思います。
電話会社から別の会社へ変わったのではなく、「つなぐもの」が広がった
しかし通信技術の進歩とともに、NTTがつなぐものは少しずつ広がっていきました。
電話
↓
固定通信
↓
インターネット
↓
光回線
↓
モバイル
↓
企業のITシステム
↓
クラウド・データセンター
↓
AI・データ
現在のNTTグループは、通信だけでなく、IT、データセンター、不動産、エネルギー、金融など幅広い領域へ事業を広げています。
NTT自身も、電話サービスからモバイル、光通信、グローバルソリューション、不動産、エネルギーまで、時代の変化に合わせて事業を拡張してきたと説明しています。
こうして見ると、NTTは「電話会社ではなくなった」というより、
社会の変化に合わせて、「つなぐ対象」と「つなぐ方法」を広げてきた会社
と考えた方が、その姿を理解しやすいと思います。
電話の時代には、人と人をつなぐ。
インターネットの時代には、人と情報をつなぐ。
モバイルの時代には、人とさまざまなサービスをつなぐ。
そして現在は、企業、データセンター、金融、AI、都市までをつなごうとしています。
扱う技術やサービスは変わっても、
社会に必要な「つながり」をつくる。
ここには、電電公社から現在まで続くNTTらしさがあるように思います。
NTTの「ありたい姿」|変わり続けることまで理念に入っている
公式には、
人々の豊かな暮らしと地球の未来に貢献するため、
お客さまを発想の原点とし、常に自己革新を続け、
世の中にダイナミックな変革をもたらす企業グループをめざす。
としています。
そして、そのありたい姿を象徴する言葉が、
「Innovating a Sustainable Future for People and Planet」
です。
ここで私が特に注目したいのが、
「常に自己革新を続ける」
という部分です。
これはNTTの歴史そのものと重なります。
電話というサービスだけを守り続けてきた会社ではありません。
社会や技術が変化するたびに、自分たちの事業も変えてきました。
固定電話からモバイルへ。
通信からITへ。
国内から世界へ。
そして現在は、金融、データセンター、AI、AIOWNへ。
変化する社会の中で、自分たち自身も変わり続けること。
それが現在のNTTの「ありたい姿」にも明確に組み込まれています。
私はここに、長い歴史を持つNTTの面白さを感じます。
歴史が長い企業ほど、過去の成功体験を守ることが目的になってしまう可能性があります。
しかしNTTが掲げているのは、過去を守ることではなく、自己革新を続けることです。
今後の企業研究では、その言葉どおり本当にNTTが変わり続けられているのかも確認していきたいと思います。
「Create Connections」に表れているNTTらしさ
NTTは、
Act with Integrity
Build Trust
Create Connections
という3つのValuesを掲げています。
この中でも、今回の企業研究で特に注目したいのが、
「Create Connections」
です。
NTTは、人、モノ、技術などさまざまなものを有機的につなぎ、新しいつながりを生み出していくことを大切な価値観として掲げています。
これは、電電公社から続くNTTの歴史と不思議なくらい重なります。
昔は、電話線によって人と人をつなぎました。
現在では、
人と情報。
企業とデータ。
消費者と金融サービス。
データセンターと都市。
そしてAIと社会。
へと、「つながり」の範囲が広がっています。
だからNTTの金融事業やデータセンター、AIへの進出も、単なる多角化として見るだけでは不十分だと思います。
これまで築いてきた通信という巨大な基盤を使い、新しいつながりをつくる。
そう考えると、一見バラバラに見えるNTTグループの事業が一つにつながって見えてきます。
NTTの強みを考えるうえでも、この「Create Connections」は重要なキーワードになりそうです。
民営化から40年以上経っても、なぜ国がNTT株を持っているのか
NTT法では、政府がNTT株のうち、法律上の計算対象となる株式の3分の1以上を常時保有することが定められています。
ところが、NTT公式の株主情報を見ると、2026年3月31日時点の「政府および地方公共団体」の所有割合は32.25%となっています。
「あれ? 3分の1なら約33.33%のはずなのに、法律で決められた割合を下回っているのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、これは法律違反ではありません。
理由は、NTT法上の政府保有割合と、通常の株主構成で表示される所有割合では、計算方法が異なるためです。
NTT法上の政府保有割合を計算する際には、2000年12月の公募増資で発行された株式を計算対象から除くなど、法律上の特別な計算方法が使われています。
その条件を反映すると、2026年3月31日時点のNTT法上の政府保有割合は33.33%です。
さらに、NTT自身が保有する自己株式を除いた通常の大株主の計算では、財務大臣の所有割合は35.83%となっています。
つまり同じ政府保有株でも、
- 株主構成上の「政府および地方公共団体」:32.25%
- NTT法上の政府保有割合:33.33%
- 自己株式を除いた大株主としての財務大臣:35.83%
と、何を分母にするかによって数字が変わります。
少し複雑ですが、ここで重要なのは数字そのものよりも、
民営化から40年以上が経った現在も、法律によって政府が一定割合のNTT株を保有する仕組みが残っている
ということです。
では、なぜ民営化した企業に今も国が深く関わっているのでしょうか。
その理由を考えると、NTTが担っている通信インフラの重要性が見えてきます。
現在の社会では、
- 行政
- 金融
- 医療
- 製造業
- 鉄道
- 物流
- オフィス
- 家庭
- データセンター
- AI
など、ほぼあらゆる活動が通信ネットワークの上で動いています。
通信が止まれば、電話が使えなくなるだけではありません。
企業活動、決済、行政サービス、物流、医療、さまざまなデジタルサービスにも影響が広がります。
つまりNTTが関わる通信網は、企業の商品やサービスという枠を超えて、
日本の社会や経済を動かす情報インフラ
になっています。
だからといって、
「政府が株主だからNTTへの投資は安心」
と考えるのは違います。
むしろ政府が現在も一定割合の株式を保有していることは、日本という国が通信インフラをそれほど重要なものとして扱っていることの表れとして見る方がよいと思います。
なお、これはINPEXで見た経済産業大臣保有の甲種類株式(黄金株)とは異なる制度です。
INPEXでは特別な拒否権を持つ種類株式が存在しますが、NTTの場合は、政府が普通株式を一定割合以上保有することが法律で定められています。
似ているように見えても、その仕組みは異なります。
次にNTTがつなごうとしているのは「AI時代の社会」
「New value creation & Sustainability 2030 powered by AIOWN」
を公表しました。
そこで掲げているのが、
- 国内外の法人事業におけるAIを軸とした利益成長
- 金融を中心とするスマートライフ事業
- データセンターなどのデジタルインフラ
- AI時代の次世代インフラ「AIOWN」
への取り組みです。
特に注目したいのがAIOWNです。
生成AIの利用が広がれば、膨大な計算処理が必要になります。
データ通信量も増えます。
データセンターも増えます。
そして、それを動かすための電力も増えていきます。
そこでNTTが進めているのが、GPU、ネットワーク、電力といったリソースを最適化しながらAIを支える、次世代インフラへの転換です。
すでにNTTは、データセンターや主要都市を光技術を使ったIOWN APNで接続し、2027年度までに47都道府県の県庁所在地をカバーする800GbpsのAPN基盤を構築する計画を示しています。
ここで、もう一度電電公社の時代まで戻ってみます。
当時のNTTが取り組んでいたのは、日本全国へ電話網を広げることでした。
そして今、NTTが挑戦しているのは、
AI。
データセンター。
企業。
都市。
人々の暮らし。
それらを高速・大容量・低消費電力でつなぐ、新しい情報インフラです。
技術はまったく違います。
つないでいるものも変わりました。
それでも、
「社会に必要なつながりをつくる」
という役割は、電電公社の時代から意外なほど変わっていないのかもしれません。
NTTは電話会社から、何へ進化するのか。
私は、
時代に合わせて「つなぐもの」を変えながら、AI時代の社会インフラをつくる企業
へ進もうとしているのではないかと考えています。
NTTが目指す未来を、映像からも見てみる
そこで、NTTが公開している映像も見てみたいと思います。
文章や経営戦略だけでなく、映像を見ることで、NTTがこれからどのような社会をつくろうとしているのかを、より直感的にイメージできます。
電電公社の時代、NTTがつないでいたのは電話でした。
それがインターネット、モバイルへと広がり、現在はAI、データ、企業、都市、人々の暮らしへと「つながり」の範囲を広げようとしています。
電話で人と人をつないできたNTTが、これから何をつなごうとしているのか。
そんな視点で、NTTが描く未来を見てみてください。
NTT西日本 YouTube公式チャンネル
「つながるチカラを信じてる 篇」
NTT東日本 YouTube公式チャンネル
「通信を守る」篇
映像を見たあとで改めてNTTの歴史を振り返ると、まったく新しい会社になろうとしているわけではないことにも気づきます。
技術は変わっても、
「社会に必要なつながりをつくる」
という役割は続いています。
電電公社が日本全国へ電話網を広げたように、NTTは今度はAI時代に必要となる新しい情報インフラをつくろうとしている。
私は、そこにNTTの過去と未来をつなぐ一本の軸があるように思います。

NTTを調べると、電話会社というイメージだけでは現在の姿を説明できません。
「つなぐ」という役割を残しながら、自分自身は時代に合わせて変わり続けてきた会社なんですね。
その力をAI時代にも発揮できるのか、ここから一緒に見ていきたいです。
NTTは何で稼いでいる?|通信だけではない巨大グループ
しかし実際のNTTは、2026年3月末時点で1,026社の連結子会社、約34万人の従業員を抱える巨大企業グループです。2025年度の営業収益は14兆4,091億円、営業利益は1兆7,062億円に達しています。
そして、その頂点にあるNTT株式会社の主な役割は、スマートフォンや光回線を直接販売することではありません。
NTT公式サイトでは、NTT株式会社の主要な事業内容を、
「NTTグループ全体の経営戦略の策定および基盤的研究開発の推進」
としています。
その下に、モバイルや金融を担うNTTドコモ、世界でITサービスを展開するNTTデータグループ、地域の通信基盤を支えるNTT東日本・NTT西日本、不動産を担うNTTアーバンソリューションズなど、それぞれ異なる役割を持った企業があります。
つまり「NTTは何で稼いでいる?」という問いに答えるためには、NTT株式会社だけではなく、NTTグループ全体を見る必要があります。
現在のNTTグループの事業は、大きく4つに分かれています。
- 総合ICT事業
- グローバル・ソリューション事業
- 地域通信事業
- その他(不動産・エネルギーなど)
2026年度の営業収益予想を見ると、
- 総合ICT事業:6兆8,210億円
- グローバル・ソリューション事業:5兆1,900億円
- 地域通信事業:3兆2,130億円
- その他:1兆9,200億円
となっています。
※セグメント間取引を含むため、単純合計はNTTグループの連結営業収益とは一致しません。
こうして見ると、現在のNTTを「電話会社」や「通信会社」という一言だけで説明するのは難しくなっています。
通信。
金融。
法人IT。
システム開発。
クラウド。
データセンター。
不動産。
エネルギー。
これらの事業を、それぞれ専門性を持ったグループ企業が担っている。
これが現在のNTTです。
NTTドコモ|通信を入口に、金融や生活サービスまで広げる
2026年度の営業収益予想は6兆8,210億円、営業利益は9,430億円。
NTTグループ全体の利益を支える大きな柱になっています。
ドコモと聞けば、スマートフォンを思い浮かべる人が多いと思います。
しかし現在のドコモは、携帯電話サービスだけを提供する会社ではありません。
事業領域は、
- モバイル通信
- 光ブロードバンド
- dカード
- d払い
- 銀行・金融
- コンテンツ・ライフスタイル
- 法人向け通信
- システム開発・ICTソリューション
などへ広がっています。
つまり、通信契約によって築いた巨大な顧客基盤を入口に、一人の顧客とさまざまなサービスでつながる会社へ変わろうとしているのです。
通信契約だけなら、顧客との関係は毎月の通信料金が中心です。
しかし、
通信
↓
決済
↓
カード
↓
銀行
↓
証券・資産形成
↓
生活サービス
へと関係を広げることができれば、一人の顧客から生まれる収益機会も大きくなります。
この戦略は、最近NTTが特に力を入れている金融事業とも深く関係しています。
ドコモが本当に「通信会社」から変わることができるのかについては、金融・スマートライフ事業を見るところで詳しく考えます。
NTTデータグループ|世界の企業や社会の「仕組み」をつくる
NTTデータグループを中心とするグローバル・ソリューション事業の2026年度営業収益予想は5兆1,900億円。
総合ICT事業に次ぐ巨大な事業になっています。
NTT DATAが提供しているのは通信回線ではありません。
企業や行政に対して、
- ITコンサルティング
- システム開発
- クラウド
- AI
- サイバーセキュリティ
- 業務システム
- データセンター
- 海外ITサービス
などを提供しています。
銀行のシステム。
行政サービス。
決済。
製造業。
物流。
小売。
医療。
私たちが普段意識することのないところでも、社会を動かすために巨大なITシステムが使われています。
NTT DATAは、こうした社会や企業の裏側で動く仕組みそのものをつくる会社です。
さらにNTT DATAは日本だけで事業を行っているわけではありません。
NTTグループは世界1,000社以上、約34万人の社員を抱え、世界中でICTサービスを提供するグローバル企業へ成長しています。
電電公社から始まった日本の通信会社が、現在では世界の企業のデジタル化を支えるところまで事業を広げている。
NTTの変化を象徴する事業の一つだと思います。
データセンター|AI時代に重要性が増すNTTのデジタルインフラ
2026年4月時点で、NTTグループは日本全国47都道府県に160拠点以上のデータセンターを展開しています。
NTTによれば、国内データセンター市場ではシェアNo.1。
さらにグローバルでもデータセンター事業を展開し、世界シェアNo.3のポジションにあります。
なぜ通信会社から始まったNTTが、ここまでデータセンターを拡大しているのでしょうか。
その背景にあるのが、クラウドとAIの普及です。
AIが利用される。
↓
膨大な計算処理が発生する。
↓
GPUなどの設備が必要になる。
↓
それを収容するデータセンターが必要になる。
↓
データセンター同士を高速な通信網でつなぐ必要がある。
さらに大量の電力や冷却設備も必要です。
ここでNTTグループには、
通信 × IT × データセンター
がそろっています。
通信ネットワークを持つNTT。
企業のITを担うNTT DATA。
世界規模のデータセンター。
これらを組み合わせられることは、AI時代のNTTを考えるうえで非常に重要です。
NTTはAIそのものだけで勝とうとしている会社ではなく、AIが社会で使われるために必要なインフラを広く持つ会社として見ることもできます。
NTT東日本・NTT西日本|全国の通信基盤を地域の新しい価値へ変える
2026年度の営業収益予想は3兆2,130億円、営業利益は3,140億円です。
固定電話の利用は長期的に減少しています。
しかし現在の地域通信事業は、固定電話だけを提供しているわけではありません。
光回線や法人向けネットワークを基盤に、地域企業や自治体などとの接点を生かしながら、地域DXを含む新しい事業へ領域を広げています。
ここで重要なのは、NTT東日本・西日本が長い時間をかけて全国につくってきたものです。
通信設備だけではありません。
全国の拠点。
技術者。
法人との関係。
自治体との関係。
地域に張り巡らされた光通信網。
こうした資産を持っています。
固定電話が縮小するからといって、それまで積み上げたものがすべて価値を失うわけではありません。
むしろ、
「全国の通信網を、次の地域サービスへどう変えていくのか」
が問われています。
電電公社の時代につくった全国規模の通信基盤を、新しい時代の地域インフラへ変えられるのか。
ここにもNTTが掲げる「自己革新」が表れているように思います。
不動産やエネルギーまで持っているNTT
2026年度の営業収益予想は1兆9,200億円です。
例えばNTTアーバンソリューションズは、不動産開発や街づくりを担っています。
一見すると、
「なぜ通信会社が不動産をやるの?」
と思うかもしれません。
しかしAIやデータセンター、スマートシティまで考えると、通信と街づくりは少しずつ近づいています。
AI時代の街づくりという視点では、以前企業研究した三井不動産にも共通する部分があります。三井不動産も、データセンターを単体の建物としてではなく、電力や交通、住宅などを含めた街づくりの中で捉えようとしています。
都市には通信網が必要です。
データセンターには土地や建物、電力が必要です。
スマートビルにはデータやICTが必要です。
さらにNTTグループには、エネルギー分野を担う企業もあります。
通信。
IT。
データセンター。
不動産。
エネルギー。
これらを一つのグループに持っていることは、AI時代の都市やデジタルインフラを考えると、意外に大きな意味を持つ可能性があります。
今はまだ「その他」に分類される事業ですが、NTTが通信会社から社会インフラ企業へ進化できるのかを見るうえで、長期的には注目したい領域です。
約4.3兆円を使ってまで、なぜドコモを完全子会社化したのか
NTTは2020年、NTTドコモの完全子会社化を決めました。
必要となった資金は約4.3兆円。
非常に大きな金額です。
では、なぜそこまでの資金を使ってドコモを完全子会社化する必要があったのでしょうか。
NTTが当時示した方向性には、
- 新しいサービスの展開
- グループの経営資源の集中
- DXの推進
- 世界規模での研究開発
- スマートライフなど新規事業の強化
などがありました。
特に重要なのが、
グループ横断で経営資源を使いやすくし、意思決定を速くすること
です。
完全子会社化前のドコモは、NTTグループでありながら独立した上場企業でもありました。
当然、ドコモ自身の株主も存在します。
その状態では、NTTグループ全体にとって最適な判断と、ドコモという一つの上場会社にとって最適な判断が、必ずしも一致するとは限りません。
完全子会社化によって、
ドコモの巨大な顧客基盤。
NTTの研究開発。
法人営業。
IT。
固定通信。
金融。
データ。
を、より一体的に動かしやすくなりました。
そして現在のNTTを見ると、その意味はさらに大きくなっています。
ドコモは通信だけではなく、金融・決済・生活サービスへ進んでいます。
法人分野ではAIやICTを強化しています。
NTT DATAは世界でIT・データセンターを展開しています。
NTTはIOWNという次世代通信基盤を研究しています。
こうして考えると、ドコモ完全子会社化は、
「携帯電話会社を買い戻した」
というだけではありません。
NTTグループ最大級の顧客接点をグループの中心へ取り込み、通信・金融・法人IT・AI・研究開発を横につなぐための再編だったと見ることができます。
約4.3兆円という巨額の資金を使った以上、本当に成功だったのかは長期的に確認する必要があります。
通信で築いた巨大な顧客基盤を、金融や法人ICTなどの新しい利益へ変えられるのか。
ここは、これからのNTTを見るうえで重要なポイントです。

NTTには1,000社を超える連結子会社があります。
通信、IT、金融、データセンター、不動産、エネルギーまで、一見すると別々の事業に見えますが、それぞれをつなげられることがNTTグループの面白さですね。
大切なのは、この巨大な経営資源を本当に新しい利益へ変えられるかだと思います。
NTTの強み|巨大な通信基盤を、次の事業へ広げられる
全国の通信網を持つNTT東日本・NTT西日本。
巨大な個人顧客との接点を持つNTTドコモ。
世界でIT・データセンター事業を展開するNTT DATA。
さらに研究開発、不動産、エネルギーまであります。
では、これらを踏まえたNTTの強みとは何なのでしょうか。
私は、単純に「日本最大級の通信会社だから強い」ということではないと思います。
NTTが長い時間をかけて築いてきたのは、
- 日本全国に広がる通信ネットワーク
- ドコモを中心とした巨大な個人顧客との接点
- 企業・行政・社会インフラとの関係
- IT・クラウド・システム開発力
- 世界規模のデータセンター
- 長年蓄積してきた通信技術
- 基礎研究まで行える研究開発力
です。
重要なのは、これらを別々に持っていることではありません。
一つの事業で築いた資産を、次の事業へつなげられること。
ここにNTTの強さがあるのではないかと思います。
NTT自身も現在、AIを組み込んだソリューションと、データセンターやネットワークなどのインフラを組み合わせた「フルスタック」での提供力を強化しています。
2026年5月に見直した中期経営戦略でも、AI、データセンター、金融、AIOWNなどを中期的な利益成長につなげる方針を示しています。
前に見たNTT Group’s Valuesの「Create Connections」が、ここでは理念だけではなく、NTTの競争力としても見えてきます。
全国に築いた通信インフラは、簡単にはつくれない
光ファイバー。
通信局舎。
設備。
データセンター。
そして、それらを維持・運用する技術者やオペレーション。
通信ネットワークは、優れたサービスを思いつけばすぐに参入できる事業ではありません。
全国へ設備をつくり、それを安定して動かし、災害や障害が起きたときには復旧させる必要があります。
NTTの2026年度事業計画でも、良質かつ安定的なユニバーサルサービスの確保、ネットワークの品質・高度化、災害など非常時の統括・調整といった役割が明記されています。
そして、この通信網は固定電話だけのために存在しているわけではありません。
企業のDX。
クラウド。
データセンター。
AI。
スマートシティ。
こうした新しいサービスも、最後はネットワークにつながります。
昔につくった通信網が、形を変えながら次のデジタル社会の土台になっている。
長い歴史を持つNTTだからこそ持てる、大きな資産です。
ドコモの強みは、通信契約ではなく「顧客との接点」にある
通信は、人々が毎日のように利用するサービスです。
そこから、
通信
↓
dポイント
↓
決済
↓
カード
↓
銀行
↓
証券・資産形成
↓
生活サービス
へ関係を広げることができます。
前に見たドコモ完全子会社化も、この強みをNTTグループ全体で活用しやすくするための大きな再編だったと考えることができます。
新しい金融サービスをゼロから始める会社と、すでに多くの顧客との接点を持つ会社ではスタート地点が違います。
だからこそ今後見るべきなのは、契約者数そのものではありません。
巨大な顧客基盤を、新しいサービスの利用へ本当に広げられるのか。
それができれば、通信市場が成熟しても、一人の顧客との関係を深めることで新しい利益を生み出せる可能性があります。
一方、顧客基盤が大きいだけで金融事業が成功するわけではありません。
この可能性については、次に金融・スマートライフ事業を見るところで詳しく考えます。
個人だけではない。企業や行政との接点もNTTの資産
NTT DATA、NTTドコモビジネス、NTT東日本・西日本などを通じて、NTTグループは企業や自治体の通信・IT・システムを長く支えてきました。
企業の基幹システムや行政サービスは、一度導入すれば終わりではありません。
運用。
保守。
セキュリティ。
クラウド。
データ活用。
AI。
技術が変わるたびに、新しい課題が生まれます。
ここでも既存の関係が次の事業につながります。
例えば企業が生成AIを導入するとき、AIだけが必要になるわけではありません。
データを保存する場所。
計算するGPU。
クラウド。
セキュリティ。
高速なネットワーク。
場合によってはデータセンターまで必要になります。
NTTは2026年の中期経営戦略見直しでも、国内法人ビジネスについてAIを通じた顧客提供価値を起点とする事業拡大を打ち出しています。
通信回線を売って終わるのではなく、顧客の事業そのものへ深く入っていけるか。
ここはAI時代に、NTTの法人基盤が大きな強みへ変わる可能性がある部分です。
AIを企業や社会へ実装するという点では、以前企業研究したNECとも重なる部分があります。NECもAIだけでなく、通信、サイバーセキュリティ、官公庁や企業との関係を組み合わせながら社会実装を進めています。
世界規模のITとデータセンターを持つことが、NTTの強みをさらに広げる
しかしNTT DATAを通じて見ると、その姿は大きく変わります。
前に見たように、NTTグループは世界でITサービスやデータセンターを展開しています。
この存在によってNTTは、
国内の通信会社
だけではなく、
世界の企業のデジタル化を支えるIT・デジタルインフラ企業
として戦うことができます。
そしてAI時代には、この組み合わせがさらに重要になります。
AIを企業で動かすには、
AIソリューション
+
クラウド・IT
+
データセンター
+
ネットワーク
+
電力
まで必要になります。
NTTは現在、GPU・ネットワーク・電力などを最適化し、エッジまで含めて統合的に運用するAIネイティブインフラ「AIOWN」への転換を進めています。国内では47都道府県に160拠点以上のデータセンターを展開しています。
つまりNTTは、AIモデルそのものだけで競争するのではなく、AIを企業や社会で実際に動かすための土台まで提供できる可能性があるのです。
目先のサービスだけではない。研究開発を続けられることも大きな強み
NTT株式会社そのものの主要な役割にも、「基盤的研究開発の推進」が含まれています。
研究対象も通信だけではありません。
ネットワークや光技術、AIなどに加え、安全・防災、環境など社会課題に関わる研究まで行っています。NTTは研究開発とマーケティング、アライアンス機能を融合し、研究成果を実際のプロダクトや事業へつなげる体制も進めています。
代表的なのが、IOWNです。
光電融合技術。
次世代ネットワーク。
Beyond 5G・6G。
AI。
こうした技術は、研究を始めたからといって翌年すぐ大きな利益になるものではありません。
だからこそ、長期的な研究を続けられる企業は限られます。
NTTの2026年度事業計画でも、IOWNの早期実現に向けて光電融合技術やネットワーク基盤技術などの研究開発を継続する方針が示されています。
電電公社時代から通信技術を積み上げてきたNTTが、次の情報インフラそのものを研究している。
これは、既存サービスだけを競争する企業とは少し違うNTTの特徴です。
ただし、ここでは一つ注意したいこともあります。
技術的にすごいことと、株主利益につながることは別です。
IOWNをはじめとする研究成果を、本当にサービスや製品として普及させ、利益とキャッシュへ変えられるのか。
ここはNTTの強みであると同時に、長期投資家として確認し続けたいポイントでもあります。
NTT最大の強みは、「持っていること」ではなく「つなげられること」
全国の通信網。
ドコモの顧客基盤。
企業・行政との関係。
NTT DATAのIT。
世界規模のデータセンター。
そして研究開発。
ただ、私はこれらを個別に評価するだけでは、NTTの強みを十分に説明できないと思います。
本当に重要なのは、
これまでの事業で築いたものを、次の事業へつなげられることです。
通信で築いた顧客基盤を金融へ。
企業との関係をAIへ。
ITをデータセンターへ。
データセンターをネットワークへ。
通信技術をIOWNへ。
そして、それらを再び企業や人々の生活へ戻していく。
2026年にNTTが示した戦略も、AI、データセンター、金融といった成長分野を広げる一方、既存のコネクティビティ分野をAIOWNへ転換していくものです。
2030年度にはEBITDA4兆円を目標としています。
記事の最初に見た「Create Connections」という言葉が、ここでもう一度つながります。
NTTの強みは、通信会社として巨大なことだけではありません。
長い歴史の中で築いたネットワーク、顧客、データ、IT、技術、研究開発をつなぎ合わせ、時代に合わせて新しい事業へ変えていけること。
私は、そこにNTTという企業の本当の強さがあるのではないかと思います。

NTTを見ていると、通信網や顧客基盤、IT、データセンター、研究開発など、一つひとつでも大きな資産を持っています。
でも本当に注目したいのは、それらを別々に持つのではなく、つないで新しい事業へ広げられるかどうかです。
その力がこれからの利益成長につながるのか、長い目で見ていきたいですね。
ドコモは通信で築いた顧客基盤を、どこまで広げられるか
それが、通信で築いた巨大な顧客基盤を、通信以外のサービスへどこまで広げられるかということです。
日本の携帯電話市場は、すでに多くの人がスマートフォンを持つ成熟市場です。
新しい契約者を増やし続けるだけで、大きな成長を続けることは簡単ではありません。
そこでドコモが進めているのが、通信を入口として、
通信
↓
ポイント
↓
決済
↓
カード
↓
銀行
↓
証券・資産形成
↓
保険
↓
生活サービス
へと、一人の顧客との関係を広げていく戦略です。
NTTも2026年5月に見直した中期経営戦略で、「金融を中心としたパーソナル領域の拡大」を成長分野の一つとして明確に位置づけています。
ここで大切なのは、ドコモが通信をやめて金融会社になろうとしているわけではないことです。
むしろ、
通信という日常的な接点を起点に、顧客との「つながり」を金融や生活へ広げようとしている。
私は、そう考えた方が現在のドコモの戦略を理解しやすいと思います。
通信だけでは成長しにくい時代に、ドコモが狙うもの
携帯電話は社会に欠かせないインフラになりましたが、利用者が急激に増える市場ではありません。さらに料金競争や通信品質への投資も続きます。
実際、NTTも2026年の中期経営戦略見直しで、既存のコネクティビティ分野では顧客基盤の強化やトラフィック増大などを背景に競争環境が厳しくなっていると説明しています。
だからこそ重要になるのが、
「契約者を何人増やすか」だけではなく、「一人の顧客とどれだけ多くのサービスでつながれるか」
という考え方です。
例えば毎月スマートフォン料金を支払っている人が、d払いを使う。
dカードを使う。
銀行口座を使う。
投資を始める。
保険を利用する。
こうして接点が増えれば、通信料金だけでは生まれなかった新しい収益機会が生まれます。
さらに複数のサービスを利用することで、顧客にとってもドコモとの関係が深くなります。
つまり金融事業は、単に通信以外の利益を増やすだけではありません。
ドコモの巨大な顧客基盤そのものを、より強い経営資源へ変える可能性がある。
ここが重要だと思います。
dカード・d払い|通信から「毎日の支払い」へ
一方、決済やクレジットカードは違います。
コンビニ。
スーパー。
ネットショッピング。
飲食店。
旅行。
さまざまな場面で利用されます。
つまり通信から決済へ広がることで、ドコモは顧客と「月に一度」ではなく「日常のさまざまな場面」でつながることができます。
さらにdポイントも含めてサービスを連携させれば、
通信を使う
↓
決済する
↓
ポイントが貯まる
↓
ポイントを使う
↓
再びドコモのサービスを利用する
という循環をつくることもできます。
金融事業を見るとき、銀行や証券の大型買収に目が向きがちですが、その土台にあるのは、すでにドコモが持っていたこうした日常的な顧客接点です。
銀行や証券は、その上に新しく加わったピースと考えることができます。
銀行を手に入れたことで、ドコモの金融戦略は大きく変わった
これによってドコモは、これまで持っていた決済、カード、投資、保険などに加えて、本格的な銀行機能をグループ内に持つことになりました。
さらに2026年8月3日には、住信SBIネット銀行から「ドコモSMTBネット銀行」へ商号を変更。
ドコモが持つ会員基盤や店舗などの顧客接点と、三井住友信託銀行が持つ金融ノウハウを組み合わせる方向性が示されています。
なぜ銀行がそれほど重要なのでしょうか。
ドコモ自身も、決済、投資、融資、保険などの金融サービスを一体的に提供していくうえで、本格的な銀行機能が欠かせないと説明しています。
銀行口座が加われば、
お金を受け取る。
貯める。
支払う。
借りる。
投資する。
保険で備える。
という、お金の流れそのものへ接点を広げることができます。
スマートフォン一つで、貯蓄、決済、投資、保険、融資、ポイントまでつながる。
ドコモが目指している金融サービスの姿が、かなり見えやすくなってきました。
銀行・証券・保険を「NTTドコモ・フィナンシャルグループ」へ集約
その傘下には、
- ドコモSMTBネット銀行
- ドコモ・インシュアランス
- ドコモ・ファイナンス
- ドコモマネックスホールディングス
など、銀行、保険、融資、証券に関係する事業が集められています。
さらに銀行とマネックス証券では、銀行口座と証券口座を一連の手続きで開設できる仕組みなど、サービス間の連携も進めています。
ここまで来ると、ドコモが金融事業を単なる「通信以外の副業」として考えていないことが分かります。
ただし、ここでも重要なのは、
ドコモが金融会社になろうとしているわけではない
ということだと思います。
通信で築いた顧客との接点。
決済。
カード。
銀行。
証券。
保険。
それぞれを一つにつなぐことで、顧客の生活の中にある金融体験そのものを広げようとしている。
私は、この流れで見る方がドコモの戦略を理解しやすいと思います。
ここは、以前企業研究した三菱UFJのような金融グループとは逆の方向から金融へ入っているところも面白いと思います。
三菱UFJは銀行を中心に証券や資産運用へ広がってきましたが、ドコモは通信という巨大な顧客接点から銀行・証券・保険へ広がろうとしています。
巨大な顧客基盤は、本当に利益成長へ変わるのか
しかし、ここで一度冷静に考える必要があります。
顧客基盤が大きいことと、金融事業で成功することは同じではありません。
銀行には銀行の競争があります。
証券には証券の競争があります。
クレジットカードにも、決済にも、保険にも強い競合企業が存在します。
ドコモユーザーだからといって、必ずドコモの銀行口座を使うわけではありません。
dカードを持っているからといって、証券や保険まで利用するとも限りません。
だから長期投資家として確認したいのは、
- 金融サービスの利用者が本当に増えているか
- 複数サービスを利用する顧客が増えているか
- 金融事業の利益が伸びているか
- 通信との連携によって顧客基盤が強くなっているか
- 投資した資金に見合うリターンを生み出しているか
という部分です。
NTTは2030年度に向けて、金融を中心としたパーソナル領域を成長分野として拡大する方針を明確にしています。
通信でつながった顧客と、決済でつながる。
銀行でつながる。
投資でつながる。
保険でつながる。
そして日々の生活でもつながる。
ドコモが目指しているのは、通信会社から金融会社へ変わることではありません。
通信という強い接点を起点に、一人の顧客との「つながり」を生活のさまざまな場面へ広げること。
それが本当に新しい利益へ変わるのであれば、成熟した通信市場の先にある、NTTの新しい成長の柱になる可能性があります。

ドコモが目指しているのは、通信会社から金融会社へ変わることではありません。
通信で築いた大きな顧客基盤を、決済、カード、銀行、証券、保険、そして生活サービスへ広げ、一人ひとりのお客さまとのつながりを深くしていこうとしています。
ただ、顧客が多いだけで新しい事業が成功するわけではありません。
この巨大な顧客基盤を、本当にサービスの利用と利益へつなげられるのか。そこが、これからのドコモを見ていくうえで大切なポイントですね。
NTTは今後10年で成長できるのか|AI・データセンター・AIOWNがつくる次の成長
電話の時代には、人と人。
インターネットの時代には、人と情報。
モバイルの時代には、人とさまざまなサービス。
そして現在、NTTの前に現れている大きな変化がAIです。
生成AIが企業や社会へ広がれば、必要になるのはAIモデルだけではありません。
- AIを動かすGPU
- 膨大なデータを保存・処理するデータセンター
- データセンター同士を結ぶ高速ネットワーク
- GPUを動かす大量の電力
- 発熱を抑える冷却設備
- AIを企業へ導入するIT・システム開発
など、その裏側には巨大なインフラが必要になります。
ここまで企業研究を進めてきた人なら、気づくかもしれません。
これらは、NTTがこれまで長い時間をかけて事業を広げてきた領域と重なっています。
だからNTTの今後10年を考えるときに重要なのは、
「NTTはAIそのもので勝てるのか?」
だけではないと思います。
むしろ、
「AIが社会で使われるために必要な土台を、NTTはどこまで握ることができるのか?」
私は、こちらに注目したいと思います。
NTTが2030年へ向けて成長の中心に置いたのは「AI」
そこでNTTが成長分野として示しているのが、
- 国内法人ビジネスにおけるAI
- データセンターを核とした海外事業
- 金融を中心としたパーソナル領域
です。
さらに既存の通信分野についても、単に現在の通信サービスを維持するのではなく、GPU、ネットワーク、電力などを最適化するAI時代の次世代インフラ「AIOWN(エーアイオン)」へ転換していく方針を示しています。
そして2030年度に目指しているのが、連結EBITDA4兆円です。
つまりNTT自身も、これからの利益成長を考えるうえで、AIを非常に重要な軸として位置づけています。
ただし、ここでもNTTらしいのは、
「生成AIサービスをつくる」
だけでは終わらないことです。
企業へAIを導入する。
AIを動かすデータセンターをつくる。
データセンターをネットワークでつなぐ。
GPUや電力を効率よく使う。
そして、それらをAIOWNという新しいインフラへ変えていく。
AIの表側だけではなく、AIが動くために必要なところまで広く取りにいこうとしているように見えます。
データセンターは、AI時代の「新しい通信局舎」になるのか
国内市場ではシェアNo.1。
さらに海外でも北米、欧州、インド、アジア太平洋などへ展開し、グローバルでもシェアNo.3のポジションにあります。
そしてNTTは、AI需要の拡大を見据えてさらにデータセンターを増やそうとしています。
国内のデータセンターIT電力容量は、現在の約300MWから2033年度には約1GWへ。
3倍を超える規模への拡張を計画しています。
世界では、2030年度までに3,000MW超へ拡充する計画です。
ここで面白いのが、AI時代になるほどデータセンターが単なる「サーバーを置く建物」ではなくなっていくことです。
高性能GPU。
大量の電力。
冷却設備。
高速ネットワーク。
クラウド。
セキュリティ。
こうしたものを組み合わせなければ、AIを安定して動かすことはできません。
NTTには通信があります。
NTT DATAのITがあります。
世界規模のデータセンターがあります。
さらにエネルギー事業まであります。
だからデータセンターの成長は、一つの事業だけが大きくなる話ではありません。
NTTグループが持つ複数の経営資源をつなぐ場所になる可能性がある。
私は、そこに注目しています。
AIが増えるほど深刻になる「電力問題」が、AIOWNの出番になる
高性能なGPUは大量の電力を消費し、大きな熱も発生します。
そのためAI向けデータセンターでは、電力を確保するだけでなく、設備を効率よく冷却することも重要になります。
NTTもAI向けGPUの高性能化に対応するため、従来の空冷だけでなく、冷却水を使う液冷方式への対応を進めています。
しかしNTTが目指しているのは、データセンターを増やすことだけではありません。
ここで出てくるのが、これまで何度も登場してきたAIOWNです。
NTTが描いているAIOWNでは、GPU、ネットワーク、電力などのリソースを一体的に最適化し、必要な場所へ必要な計算能力を届けることを目指しています。
例えば、すべての企業が自社の建物に大量のGPUを置く必要がなくなればどうでしょうか。
高速・低遅延のネットワークで離れたデータセンターのGPUを利用できれば、計算資源をより効率的に使える可能性があります。
実際にNTTは、物流倉庫のAI・GPU処理を、IOWN APNを使って再生可能エネルギー100%で稼働する北海道石狩市のデータセンターへ集約する実証も行っています。
つまりAIOWNは、
「インターネットをもっと速くする技術」
だけではありません。
計算する場所。
データを保存する場所。
電力がある場所。
AIを利用する場所。
それらを光技術によってつなぎ、社会全体で計算資源を効率よく使うためのインフラへ進もうとしています。
全国47都道府県をつなぐ光のネットワークは、AI時代の新しい全国網になるか
そして現在、NTTはIOWN APNを全国へ広げようとしています。
すでに主要都市やデータセンター間で接続を進めており、2027年度までに47都道府県の県庁所在地へ800GbpsのAPN基盤を展開する計画です。
そして、こうした高速通信網を裏側で支えるのが光ファイバーや光通信部品です。以前企業研究した住友電工も、AI・データセンター時代に重要性が高まる光通信を支える企業の一つです。
さらに2030年には、全国への面的な拡大を目指しています。
もちろん、電話網とIOWN APNはまったく違うものです。
しかし企業の歴史として見ると、どこか似ています。
昔は、
全国どこからでも電話が使える社会。
そしてこれからは、
全国のさまざまな場所から高度なAIや計算資源を利用できる社会。
もしNTTがこれを実現できれば、AIの計算資源が東京など一部の地域へ集中する必要も小さくなるかもしれません。
地方のデータセンター。
再生可能エネルギー。
工場。
病院。
物流施設。
研究機関。
さまざまな場所を高速な光ネットワークでつなぎ、必要な計算資源を必要な場所から利用する。
電電公社が電話時代の全国網をつくったように、NTTはAI時代の新しい全国ネットワークをつくれるのか。
ここは今後10年のNTTを見るうえで、非常に面白いポイントだと思います。
世界で成長できるかは、NTT DATAが大きな鍵を握る
日本の人口は減少していきます。
国内通信市場も成熟しています。
だからNTTが長期的に成長するためには、日本国内だけで利益を伸ばし続けるのは簡単ではありません。
そこで重要になるのがNTT DATAです。
世界の企業では、クラウド、データ活用、サイバーセキュリティ、生成AIなどへの投資が続いています。
さらにAIが広がれば、その裏側にあるデータセンター需要も増えていきます。
NTTは2026年の中期経営戦略見直しでも、データセンターを核とした海外事業の成長を明確に打ち出しています。
つまりNTT DATAは、単に海外でシステム開発をする会社ではありません。
IT。
クラウド。
AI。
データセンター。
ネットワーク。
それらを組み合わせ、世界の企業のデジタル化を取り込む役割を担います。
電電公社から始まった日本の通信会社が、世界のAI・デジタルインフラ市場でどこまで存在感を高められるのか。
国内中心だったNTTが本当の意味でグローバル企業へ変われるかを左右する、大きな成長領域です。
今後10年で見るべきなのは、「投資」が本当に「利益」へ変わるか
AI。
データセンター。
AIOWN。
光電融合技術。
金融。
海外IT。
どれも将来性を感じる分野です。
しかし、長期投資ではここで終わってはいけません。
未来に投資していることと、未来から利益を得られることは別だからです。
データセンターを大量につくっても、投資した資本に見合う利益が生まれなければ意味がありません。
IOWNが技術的に優れていても、実際に企業や社会で利用されなければ株主利益にはつながりません。
AI事業も、売上だけ増えて利益率が低ければ十分とは言えません。
だから今後確認したいのは、
- AIを中心とした法人事業の利益が伸びているか
- データセンター投資が利益とキャッシュを生んでいるか
- AIOWNが実証から商用利用へ広がっているか
- 海外事業の収益性が改善しているか
- 金融・パーソナル領域が新しい利益の柱になっているか
- ROICが改善しているか
- 成長投資を続けながら株主還元も維持できているか
です。
NTTは2030年度の目標として、連結EBITDA4兆円に加え、金融事業を除くROIC5.5%を掲げています。
このROICという数字は、NTTのように巨額の設備投資を行う企業を見るうえで特に重要だと思います。
たくさん投資したかではなく、
投資した資本から、どれだけ価値を生み出したか。
ここを確認していきたいと思います。
NTTは「電話会社」から、AI時代の社会インフラ企業へ進化できるのか
電話。
インターネット。
光回線。
モバイル。
クラウド。
データセンター。
そしてAI。
今後10年でNTTが挑戦しようとしているのは、単に新しい通信サービスをつくることではありません。
AIを使う企業。
計算するGPU。
データを保存するデータセンター。
それらを結ぶネットワーク。
設備を動かす電力。
そして、その先にいる人々や社会。
これらを一つのインフラとしてつなごうとしています。
もしそれが実現すれば、NTTは「電話会社から別の会社へ変わった」と考える必要はないのかもしれません。
電電公社の時代から続いてきた、
「社会に必要なつながりをつくる」
という仕事の対象が、AI時代に合わせてもう一度大きく広がるだけとも考えられます。
電電公社が日本全国へ電話網を広げたように、NTTはAI時代に必要となる新しい情報インフラを全国、そして世界へ広げられるのか。
私は、ここが今後10年のNTTを見るうえで最も楽しみな部分です。
一方で、未来への期待だけで企業価値が高まるわけではありません。
AI、データセンター、AIOWNへ投じた資本が、本当に利益とキャッシュへ変わっていくのか。
「技術のNTT」から、「技術で利益を生み出せるNTT」へ変われるのか。
そこまで確認できたとき、NTTの長い歴史の中で、もう一度大きな成長期が始まったと言えるのかもしれません。

NTTの成長を考えるとき、AIサービスそのものだけを見る必要はなさそうですね。
データセンター、ネットワーク、IT、電力、そして長年積み上げてきた研究開発。NTTには、AIが社会で使われるための土台をつくれる可能性があります。
電電公社が全国へ電話網を広げたように、AI時代の新しい情報インフラをつくれるのか。そして、その大きな投資を本当に利益へ変えられるのか。
これからのNTTを見るうえで、長く確認していきたいポイントですね。
NTTの業績は成長しているのか|売上・利益・キャッシュフローから実力を見る
しかし企業研究では、未来の話だけを見て終わるわけにはいきません。
どれだけ魅力的な技術を持っていても、どれだけ大きな成長投資をしていても、最終的には売上、利益、キャッシュとして企業の数字に表れているのかを確認する必要があります。
特にNTTは、AIやデータセンターへ投資する一方、ドコモやNTT DATAの完全子会社化、銀行の取得など、大規模な投資や再編も進めてきました。
つまり今後のNTTを見るうえでは、
「これだけ大きな投資を続けながら、本当に利益とキャッシュを増やせるのか」
が非常に重要になります。
そこでここからは、NTTの実際の数字を見ながら、その稼ぐ力を確認していきます。
2025年度は過去最高の売上|14兆円を超える巨大企業になった
NTTの2025年度業績は、
- 営業収益:14兆4,091億円(前年比+5.1%)
- 営業利益:1兆7,062億円(+3.4%)
- 当期利益:1兆370億円(+3.7%)
- EBITDA:3兆4,233億円
となりました。
営業収益は過去最高です。
前年の2024年度は13兆7,047億円だったため、1年間で約7,044億円増えています。
利益についても、2024年度の営業利益1兆6,496億円から1兆7,062億円へ増加しました。
NTTによると、増収を支えたのはグループ各社の法人ビジネス、金融を中心としたスマートライフ事業、データセンター事業などです。
つまり現在のNTTの成長は、固定電話や携帯電話の契約が大きく増えて生まれているわけではありません。
法人IT、金融、データセンターといった、これまで見てきた新しい事業が少しずつ業績へ表れ始めています。
これは今後のNTTを見るうえで重要な変化だと思います。
一方で、売上が5.1%増えたのに対して、営業利益の伸びは3.4%でした。
売上が増えているから、それだけで安心とは言えません。
成長分野への投資が増える中で、売上の拡大をどこまで利益成長へつなげられるかも確認する必要があります。
「ドコモだけで稼ぐ会社」ではないことが、数字にも表れている
2025年度のセグメント別営業利益を見ると、
- 総合ICT事業:9,421億円
- グローバル・ソリューション事業:4,882億円
- 地域通信事業:3,074億円
- その他(不動産・エネルギー等):▲16億円
となっています。
やはり最大の利益源は、NTTドコモを中心とした総合ICT事業です。
セグメント単純合算ベースでは、営業利益の54.3%を占めています。
しかし、残りの約半分をNTT DATAを中心としたグローバル・ソリューション事業や、NTT東日本・西日本を中心とした地域通信事業などが生み出しています。
特に注目したいのが、グローバル・ソリューション事業です。
営業収益は前年の4兆6,387億円から5兆46億円へ増加。
営業利益は3,239億円から4,882億円へ増え、前年比では50.7%増となりました。
国内外のデジタル化需要に加え、クラウド・セキュリティ、データセンターなどが成長を支えています。
これまでの記事で、
「NTT DATAがNTTを通信会社というイメージから大きく変えている」
と書きました。
その変化が、実際の利益にもかなり大きく表れ始めています。
一方、最大の利益源である総合ICT事業は、売上こそ増えたものの、営業利益は前年の1兆205億円から9,421億円へ7.7%減少しました。
金融や法人事業は伸びていますが、ドコモの顧客基盤強化やモバイルネットワーク品質改善へのコスト投下が利益を押し下げています。
つまり現在のNTTでは、
ドコモが最大の利益源である一方、NTT DATAを中心とした法人・グローバル事業が次の利益成長を担い始めている。
そんな変化が数字から見えてきます。
売上だけを見ると見落とす、NTTの「稼ぐ力」
2025年度のEBITDAは、前年から1,840億円増えて3兆4,233億円となりました。
EBITDAは、簡単にいえば減価償却などの影響を加味する前の、本業から生み出すキャッシュ創出力を見るための指標です。
通信会社やデータセンター事業者は、基地局、光ファイバー、通信設備、サーバー、建物などへ巨額の設備投資を行います。
その設備は何年も使用するため、会計上は減価償却費として少しずつ費用になります。
だからこそ、NTTのような設備を多く持つ企業では、営業利益だけでなく、
「事業そのものがどれだけ大きなキャッシュを生み出せる力を持っているのか」
を見ることも重要です。
NTT自身も2030年度の主要な財務目標として、EBITDA4兆円を掲げています。
2025年度の3兆4,233億円から、あと約5,800億円。
AI、データセンター、金融、法人ITなどへの投資が本当に成長へつながるのであれば、このEBITDAが今後どのように伸びていくのかは非常に重要な確認項目になりそうです。
ただし、2025年度のキャッシュフローは少し注意して見たい
2025年度のNTTは、
- 営業活動によるキャッシュフロー:1兆4,852億円
- 投資活動によるキャッシュフロー:▲1兆234億円
となりました。
単純に両者を合わせると、約4,618億円のフリーキャッシュフローになります。
ただし、ここで数字だけを見て、
「NTTのキャッシュ創出力が弱くなった」
と判断するのは早いと思います。
前年2024年度の営業キャッシュフローは2兆3,640億円でした。
2025年度はそこから大きく減っていますが、キャッシュフローは運転資金や金融事業の拡大、資産売却などによって年度ごとに大きく動くことがあります。
特に現在のNTTは、通信だけではなく金融まで事業領域を広げています。
そのため今後は、単年度のフリーキャッシュフローだけを見るのではなく、
本業のキャッシュ創出力が中長期的に伸びているのか。
そして、
そのキャッシュをどこへ投資し、どれだけのリターンを生み出しているのか。
まで見る必要があります。
前に見たROICの重要性が、ここでもつながってきます。
巨額投資によって、有利子負債も大きくなっている
2020年には約4.3兆円を使ってNTTドコモを完全子会社化。
さらにNTT DATAの完全子会社化、銀行の取得、世界各地のデータセンターへの投資なども進めています。
当然、それだけ大きな投資をすれば負債も増えます。
NTT自身も2026年5月の戦略見直しで、資金需要の高まりによって直近の有利子負債が拡大していると説明しています。
金融事業を除いた有利子負債/EBITDA倍率は、2025年度時点で4.2倍。
これを2030年度には3.5倍程度まで低下させる方針です。
ここは長期投資家として注意して見たいところです。
データセンター。
AI。
AIOWN。
金融。
どれも成長が期待できるからといって、無制限に投資してよいわけではありません。
借金を増やして成長するだけではなく、投資した事業から利益とキャッシュを生み出し、その力によって財務を再び改善できるのか。
NTTの今後数年間では、このバランスが非常に重要になります。
会社側も、EBITDAの拡大、投資分野の選択と集中、アセットのスリム化によって財務健全性を高める方針を示しています。
2026年度は売上15兆円へ。ただし利益はほぼ横ばい
NTTの2026年度業績予想は、
- 営業収益:15兆600億円(+4.5%)
- 営業利益:1兆7,100億円(+0.2%)
- EBITDA:3兆4,300億円
- 当期利益:9,800億円(▲5.5%)
です。
売上はついに15兆円を超える計画です。
しかし、ここで注目したいのが利益です。
営業収益は約6,500億円増える計画なのに対して、営業利益はわずか38億円の増加。
当期利益については、支払利息の増加などによって減益を見込んでいます。
つまり2026年度は、
「売上成長は続くが、利益成長は一度足踏みする年」
と見ることができます。
私はここを悪いことだけだとは思いません。
ドコモの顧客基盤強化。
ネットワーク品質改善。
AI。
データセンター。
金融。
こうした次の成長へ向けた投資を進めている途中だからです。
ただし、その投資がいつまでも「将来のため」で許されるわけではありません。
2027年度、2028年度、その先へ進んだときに、
売上の成長が、再び利益の成長へつながってくるのか。
ここは今後の決算でかなり注目したいポイントです。
それでも16期連続増配へ|NTTのもう一つの強さは株主還元
2025年度の年間配当は1株あたり5.3円。
2026年度はさらに0.1円増やし、5.4円を予定しています。
実現すれば16期連続増配です。
さらにNTTは、増配だけではなく自社株買いも積極的に行っています。
2026年3月までに実施した自己株式取得の累計額は、約5.9兆円。
さらに2026年5月には、新たに2,000億円を上限とする自己株式取得を決めています。
私はここに、NTTの長期投資先としての面白さを感じます。
AIやデータセンターなど未来へ巨額の投資をする。
金融など新しい事業にも進出する。
それでも同時に、増配や自社株買いによって株主へ利益を還元する。
もちろん、有利子負債が増えている以上、還元だけを見て安心することはできません。
重要なのは、
成長投資・財務健全性・株主還元を同時に成立させられるか。
ここだと思います。
NTTの業績で本当に見たいのは、「15兆円企業」になれるかではない
2025年度の営業収益は過去最高の14兆4,091億円。
2026年度には15兆600億円を見込んでいます。
営業利益も1.7兆円規模。
EBITDAは3.4兆円を超えています。
数字だけを見れば、非常に大きな利益とキャッシュを生み出せる企業です。
しかし、ここまで企業研究をしてきたからこそ、私は単純に、
「NTTは15兆円企業だからすごい」
とは見たくありません。
本当に確認したいのは、その中身です。
固定電話や従来の通信が縮小していく中で、法人ITが伸びているか。
NTT DATAの海外事業が利益を増やしているか。
金融が新しい利益の柱になっているか。
データセンターへの巨額投資がキャッシュを生み出しているか。
AIOWNが研究から事業へ変わっていくか。
そして、その利益を使って負債を減らしながら、株主還元も続けられるか。
NTTは今、非常に大きな企業でありながら、同時に事業構造そのものを変えている途中の会社でもあります。
だから今後の決算では、売上高だけを見るのではなく、
「昔からある利益が減る以上のスピードで、新しい利益が育っているか」
を見ていきたいと思います。
もしAI、データセンター、金融、法人ITなどが本当に次の利益源へ育ち、EBITDA4兆円という目標へ近づいていくのであれば、NTTは単なる安定した高配当通信株ではなく、安定したキャッシュを使って自分自身を成長企業へ変えようとしている会社として評価できるかもしれません。
反対に、投資だけが膨らみ、利益やキャッシュが伸びなければ、NTTの巨大さそのものが重荷になる可能性もあります。
だからこそ、
売上ではなく利益。
利益だけではなくキャッシュ。
投資額ではなく投資リターン。
この3つを、これからのNTTでは確認していきたいと思います。

NTTは、すでに年間1兆円を超える最終利益を生み出せる巨大企業です。
ただ、これから注目したいのは会社の大きさではありません。通信で生み出してきた利益とキャッシュをAI、データセンター、金融などへ投資し、それが本当に次の利益へ変わっていくのか。
「昔から稼げる会社」から「新しい事業でも稼げる会社」へ変われるのか。
これからの決算では、そこを一緒に見ていきたいですね。
NTTのリスク|巨大企業だからこそ抱える「変われないリスク」
全国規模の通信インフラ。
ドコモの巨大な顧客基盤。
NTT DATAのIT・データセンター。
金融。
AI。
AIOWN。
そして長期的な研究開発力。
しかし、NTTの強みとして見てきたものの多くは、見方を変えるとそのままリスクにもなります。
全国に巨大な通信設備を持っているからこそ、維持するためのコストもかかる。
世界中でデータセンターを拡大しているからこそ、巨額の資金が必要になる。
研究開発力があるからこそ、研究成果を事業として利益へ変えられるかが問われる。
約1億規模の会員基盤を持っているからこそ、金融や生活サービスへ広げられなければ、その大きさを十分に生かせない。
そしてNTTは、すでに完成された会社ではありません。
むしろ現在は、従来の通信事業が成熟する中で、AI、データセンター、金融、海外ITなどへ利益の中心を移そうとしている途中です。
だからNTTのリスクを考えるうえで、私は単純な「業績悪化」だけではなく、
これだけ巨大な会社が、本当に次の時代へ変わり続けられるのか。
ここを最も注意して見たいと思います。
通信市場の成熟|昔からある利益が少しずつ縮小していく
固定電話の利用は長期的に減少しています。
携帯電話についても、すでに多くの人がスマートフォンを持っているため、利用者そのものが大きく増え続ける市場ではありません。
さらに日本では人口減少も続いていきます。
一方で、通信サービスである以上、ネットワーク品質を維持するための投資を止めることはできません。
設備を更新する。
通信エリアを維持する。
災害に備える。
通信量の増加へ対応する。
サイバーセキュリティを強化する。
つまり、市場が成熟しても社会インフラとして必要な投資は続きます。
だからこそNTTは、通信だけに依存するのではなく、金融、法人IT、データセンター、AIなどへ利益源を広げようとしています。
ここで今後確認したいのは、
昔からある通信事業の利益が減る以上のスピードで、新しい利益を育てられるか。
です。
これができなければ、売上規模は大きくても、利益がなかなか成長しない企業になってしまう可能性があります。
巨額の成長投資|データセンターは本当に投資額に見合う利益を生むのか
AI需要の拡大によって、世界的にデータセンターへの投資が増えています。
NTTも国内外でデータセンターの能力を大きく拡張する計画です。
しかしデータセンターには、
- 土地
- 建物
- GPUなどのIT設備
- 通信設備
- 電力設備
- 冷却設備
など、巨額の資本が必要になります。
さらにAI需要が伸びると考えているのはNTTだけではありません。
世界中の企業がデータセンターへ投資しています。
そのため、AI需要そのものが増えたとしても、供給能力まで急速に増えれば競争が激しくなる可能性があります。
そして技術の変化によって、必要とされる設備やデータセンターの設計そのものが変わる可能性もあります。
だから重要なのは、
「データセンターを何MW増やしたか」ではありません。
投資した資本に対して、どれだけ利益とキャッシュを生み出せたのか。
稼働率は高まっているのか。
利益率は改善しているのか。
ここまで確認する必要があります。
NTTが2030年度の目標としてROICを重視している意味も、ここにあると思います。
有利子負債|成長投資と株主還元をどこまで両立できるか
ドコモの完全子会社化。
NTT DATAの完全子会社化。
銀行の取得。
データセンターへの投資。
AI・AIOWNへの投資。
NTTは将来へ向けて、かなり大きなお金を動かしています。
投資によってEBITDAやキャッシュが増えていけば、負債があること自体が問題とは限りません。
しかし問題になるのは、
投資は増えたのに、利益が増えない状態が長く続くことです。
さらにNTTは、16期連続増配を目指し、自社株買いも続けています。
成長投資をする。
負債を減らす。
配当を増やす。
自社株買いをする。
すべてを同時に続けるためには、それだけ大きなキャッシュ創出力が必要になります。
NTTは金融事業を除く有利子負債/EBITDA倍率を、2025年度の4.2倍から2030年度には3.5倍程度まで低下させる方針です。
今後はこの数字が本当に低下していくのかを確認したいと思います。
AIOWN|「技術的にすごい」と「儲かる」は同じではない
しかし投資家としては、期待だけで評価するわけにはいきません。
光電融合技術。
高速・低遅延ネットワーク。
GPUやデータセンターの分散利用。
電力消費の削減。
技術的に大きな可能性があったとしても、実際に企業が導入し、利用料金を支払い、NTTの利益にならなければ株主価値にはつながりません。
さらに次世代通信を研究している企業はNTTだけではありません。
世界では通信事業者、半導体企業、クラウド企業などが、それぞれ次世代インフラへ投資しています。
だからAIOWNについて今後確認したいのは、研究成果の発表数だけではありません。
実証実験から商用利用へ進んでいるか。
利用する企業が増えているか。
NTTグループの売上や利益へ表れているか。
そして何より、
AIOWNだからこそ生み出せる経済的な価値があるのか。
ここまで見て初めて、研究開発力がNTTの本当の競争力になったと言えると思います。
海外事業|売上規模だけではなく、収益性を高められるか
国内人口が減少し、通信市場が成熟する以上、世界のIT・AI・データセンター需要を取り込めることは大きな成長機会になります。
その中心となるのがNTT DATAです。
2025年度にはグローバル・ソリューション事業の営業利益が大きく増え、NTTグループの次の利益源として存在感を高めました。
ただし海外市場には、世界中の強力なIT企業やクラウド企業が存在します。
買収によって事業規模を大きくしても、統合がうまく進まなければ期待した利益を生み出せない可能性もあります。
為替の影響も受けます。
だから海外事業については、
「海外売上が増えた」だけではなく、「海外で稼ぐ力が高まったか」
を見たいと思います。
売上成長。
営業利益。
利益率。
キャッシュ。
投資効率。
NTT DATAが世界で成長するほど、こうした数字の重要性も高まっていきます。
金融|1億規模の会員基盤があっても、利用されなければ意味がない
決済。
カード。
銀行。
証券。
保険。
サービスのピースもかなりそろってきました。
しかし前にも確認したように、
ドコモユーザーだから、ドコモの金融サービスを使うとは限りません。
金融には、それぞれ強力な競合企業があります。
すでにメインバンクを持っている人もいます。
長年使っているクレジットカードや証券会社を簡単には変えない人もいるでしょう。
だから金融事業の成否を判断するときに重要なのは、会員数だけではありません。
銀行口座の利用。
カード決済額。
預金。
投資。
保険。
そして複数のサービスを利用する顧客が本当に増えているのか。
巨大な顧客基盤を「数字上の会員」から「実際にサービスを利用する顧客」へ変えられるかが問われます。
政府・NTT法|国にとって重要な企業であることは、メリットだけではない
これは、NTTが日本の社会を支える重要な通信インフラを担っていることの表れでもあります。
一方、投資家として見ると、国にとって重要な企業であることが必ずしも株主にとってメリットだけになるとは限りません。
通信は公共性の高いサービスです。
全国で安定したサービスを提供すること。
災害時にも通信を維持・復旧すること。
安全保障上重要な通信技術を守ること。
こうした役割では、短期的な利益だけを追求できない場面もあります。
さらにNTT法そのものについても、時代に合わせた制度のあり方が議論されています。
だから、
「政府が大株主だから安心」
という単純な見方ではなく、
社会インフラ企業として求められる役割と、株主利益をどのように両立するのか。
という視点で見ておきたいと思います。
通信障害・サイバー攻撃|社会をつなぐ企業だからこそ、止まったときの影響も大きい
現在の通信ネットワークの上では、
- 行政
- 金融
- 医療
- 物流
- 製造業
- 企業活動
- 人々の日常生活
など、さまざまなものが動いています。
さらにNTT DATAを通じて企業や行政の重要なシステムを扱い、データセンター事業も世界へ広げています。
つまりNTTが「つなぐもの」を増やせば増やすほど、障害やサイバー攻撃が発生したときの影響範囲も大きくなります。
AI時代には、扱うデータの量や重要性もさらに高まるでしょう。
NTTの強みである、
「社会のさまざまなものをつなげられること」
は、そのまま、
「そのつながりを安全に守り続けなければならない責任」
にもなります。
これは数字だけでは見えにくいものの、社会インフラ企業であるNTTを見るうえでは重要なリスクです。
NTT最大のリスクは、「投資しないこと」ではなく「投資を利益へ変えられないこと」
どれも重要です。
しかし、これまで企業研究してきた内容を一つにつなげると、私はNTT最大のリスクは別のところにあると思います。
それは、
巨大な経営資源を持ちながら、それを次の利益へ変えられないことです。
NTTには全国の通信網があります。
巨大な顧客基盤があります。
世界規模のIT事業があります。
データセンターがあります。
研究開発力があります。
そして、それらから生まれる大きなキャッシュがあります。
だからこそ、未来へ投資すること自体は必要です。
むしろ国内通信市場が成熟する中で、何もせず現在の利益を守ろうとすることの方が、長期的には大きなリスクかもしれません。
問題は、
その投資を本当に次の利益へ変えられるか。
です。
AIへ投資する。
データセンターを増やす。
金融会社をグループへ取り込む。
AIOWNを研究する。
海外事業を拡大する。
その結果として、
利益が増える。
キャッシュが増える。
ROICが改善する。
負債が減る。
そして株主還元も続く。
この循環をつくることができれば、NTTは通信市場が成熟しても成長を続けられる可能性があります。
反対に、投資だけが膨らみ、利益とキャッシュが伸びなければ、巨大な設備、組織、負債がNTTの重荷になる可能性があります。
NTTの強みは、
「持っているものをつなげられること」
だと見てきました。
だからリスクを見るときにも、
「つないだものを、本当に新しい利益へ変えられているか」
を確認していきたいと思います。

NTTには大きな強みがありますが、その分だけ投資額や責任も大きくなりますね。
AIやデータセンター、金融への投資が、本当に利益とキャッシュへ変わっているのか。
そこを確認しながら長く見ていきたいです。
NTTの株価は割安なのか|PER・PBR・配当利回りから現在地を見る
- 全国規模の通信インフラ
- ドコモの巨大な顧客基盤
- NTT DATAのIT・データセンター
- 金融
- AI
- AIOWN
長期的に期待できる材料はかなりあります。
しかし、どれだけ良い会社だと思っても、
「良い会社だから、どんな株価でも買っていい」
ということにはなりません。
企業には企業の価値があり、株式にはその時々の価格があります。
重要なのは、
NTTという会社の将来性に対して、現在の株価がどの程度の期待を織り込んでいるのか。
です。
2026年8月10日のNTT株の終値は159.9円。
100株でも約1万5,990円から購入できます。
一見すると非常に安い株に見えますが、時価総額は約14.5兆円あります。
つまりNTTは「1株160円前後の小さな会社」ではなく、日本でも最大級の企業価値を持つ会社です。
ここからは株価そのものだけではなく、
PER。
PBR。
配当利回り。
利益成長。
株主還元。
そして需給。
まで見ながら、現在のNTT株をどう考えるか整理していきます。
1株159.9円。でも「株価が安い」と「割安」はまったく違う
- 株価:159.9円
- 予想EPS:12.10円
- 予想PER:約13.2倍
- BPS:121.07円
- PBR:約1.32倍
- 予想配当利回り:約3.38%
- 予想1株配当:5.4円
- 時価総額:約14.5兆円
- 最低購入金額:1万5,990円
となります。
NTT株で最初に注意したいのが、1株あたりの株価の低さです。
160円前後なら、
「かなり安い株なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし株価そのものの数字だけでは、割安かどうかは判断できません。
NTTは2023年7月に、1株を25株へ株式分割しました。
例えば分割前に4,000円だった株を25分割すれば、理論上は1株160円になります。
会社の価値が突然25分の1になったわけではありません。
だからNTTを見るときは、
「159.9円は安いか?」
ではなく、
「159.9円という株価で、NTTが生み出す利益や資産をどの程度の評価で買っているのか?」
と考える必要があります。
そこで見るのがPERやPBRです。
PER約13.2倍|今の利益に対して、どう評価されているのか
NTTの2026年度会社予想EPSは12.10円。
2026年8月10日終値159.9円を基準にすると、予想PERは約13.2倍になります。
単純に考えれば、現在の株価は会社が1年間に生み出す1株利益の約13倍で評価されていることになります。
13倍という水準は、急成長しているテクノロジー企業のような非常に高い評価ではありません。
しかし、
「PER13倍だから割安」
と単純に判断することもできません。
なぜならPERの妥当性は、その会社が今後どれだけ利益を成長させられるかによって変わるからです。
もし今後も利益がほとんど増えないのであれば、現在の評価が大きく切り上がる理由はそれほど強くありません。
一方で、
AI。
データセンター。
法人IT。
金融。
AIOWN。
こうした投資が本当に利益成長へ変わり始めれば、EPSそのものが増えていきます。
株価が上がるためには、PERが高くなる必要だけがあるわけではありません。
利益そのものが増えることでも、株価は成長できます。
私はNTTでは、こちらの方を重視したいと思います。
PBR約1.32倍|巨大な資産を持つNTTをどう評価するか
PBR1倍なら、単純には会社の純資産と時価総額がほぼ同じ水準です。
NTTは約1.32倍なので、純資産に対して約1.32倍の市場評価を受けていることになります。
これも一見すると、それほど高くないように感じます。
ただしNTTの場合、PBRだけで判断するのは難しいと思います。
NTTには、
通信局舎。
光ファイバー。
基地局。
データセンター。
不動産。
その他さまざまな設備。
といった巨大な資産があります。
しかし投資家にとって重要なのは、資産をたくさん持っていること自体ではありません。
その資産から、どれだけ利益を生み出せるかです。
前にROICを確認したのもそのためです。
データセンターを増やす。
通信設備を維持する。
AIOWNへ投資する。
それによって資産だけが増えても、利益が増えなければ株主価値は高まりません。
逆に既存資産をAIやデータセンター、法人ITなどへつなぎ、高い利益を生み出せるようになれば、
同じ資産でも市場からの評価が変わる可能性があります。
だからPBR約1.32倍を、
「1倍に近いから割安」
だけで終わらせず、
NTTが持つ巨大な資産を、本当に次の利益へ変えられているか
とセットで見たいと思います。
配当利回り約3.38%|NTTを長期保有する魅力は、利回りだけではない
株価159.9円で計算すると、予想配当利回りは約3.38%です。
そしてNTTは、この5.4円が実現すれば16期連続増配となります。
さらに2026年3月までに実施した自己株式取得の累計額は約5.9兆円。
2026年5月には、新たに2,000億円を上限とする自己株式取得も決めています。
ここはNTT株の大きな魅力だと思います。
ただし私は、
「配当利回り3%を超えているから買い」
という見方だけでは少しもったいないと思います。
配当は会社が生み出した利益やキャッシュから支払われます。
だから長期投資では、
利益が増える。
EPSが増える。
配当が増える。
企業価値も増える。
この循環が理想です。
反対に利益が成長しないまま配当だけを増やしていけば、いずれ負担になります。
NTTの場合は現在、
成長投資を続けながら16期連続増配を目指している
ところに特徴があります。
AIやデータセンターへの投資が新しい利益へ変わり、その利益によってさらに増配できるのであれば、長期保有する魅力は配当利回り約3.38%という現在の数字以上に大きくなります。
株式分割で株主は約339万人へ|「買いやすい株」になったNTT
そして2026年6月末時点の株主数は3,386,781人。
約339万人まで増えています。
少額から購入できるようになったことで、NTTは日本株の中でも非常に多くの人が保有する銘柄になりました。
これはNTTにとって、株主層を広げられるという意味では大きなメリットです。
一方で、
「1株160円前後だから、とりあえず買いやすい」
という感覚で保有する人が増える可能性もあります。
私は、買いやすさそのものはNTT株の魅力だと思います。
しかし投資判断では、
買いやすい株と、割安な株は別。
ここは分けて考えたいと思います。
NTT株がもう一段評価されるには、「次の利益」が必要
国内通信市場は成熟しています。
モバイルでは競争が続きます。
ネットワーク品質への投資も必要です。
データセンターには巨額の資金が必要です。
有利子負債も増えています。
AIやAIOWNも、本格的な利益成長へ変わる途中です。
だから市場から見れば、
「将来は面白い。でも、本当に利益が増えるのか?」
という段階にあると私は考えています。
一方で、2026年8月6日に発表された2026年度第1四半期決算では、
- 営業収益:3兆6,177億円(前年同期比+10.9%)
- EBITDA:8,362億円(+4.3%)
- 営業利益:4,251億円(+4.9%)
- 当期利益:2,748億円(+5.8%)
となり、増収増益でスタートしました。
営業収益は第1四半期として過去最高です。
株価も決算発表日の8月6日終値154.5円から、翌8月7日は158.5円、8月10日は159.9円へ上昇しました。
もちろん、数日間の株価だけで市場評価が変わったと判断することはできません。
それでも、
新しい事業の成長が実際の利益へ表れれば、市場も反応する。
その可能性を考える材料にはなります。
市場がNTTをもう一段高く評価するために必要なのは、
「未来への投資」ではなく、「未来への投資から生まれた利益」
なのだと思います。
信用買い残は多い|短期的には需給も確認しておきたい
2026年7月31日時点では、
- 信用買い残:1億1,667万9,600株
- 信用売り残:949万5,300株
- 信用倍率:12.29倍
となっています。
信用買い残がかなり多い状態です。
これは、
「今後株価が上がると思って信用取引で買っている人が多い」
ことを意味する一方、将来的にはその株が返済売りとして市場へ出てくる可能性もあります。
もちろんNTTは発行済株式数も非常に多く、売買高も大きい銘柄です。
そのため信用買い残の絶対数だけを見て、
「株価が下がる」
と判断する必要はありません。
ただし株価が上昇すると戻り売りが出たり、反対に下落すると信用買いの損切りが出たりすることで、短期的な需給へ影響する可能性があります。
長期投資では日々の信用残に振り回される必要はありません。
ただ、
企業価値は変わっていないのに、なぜ株価が重いのか。
と感じたときには確認しておきたい数字です。
AI・データセンターが利益になれば、NTTの「評価そのもの」が変わる可能性がある
2026年8月10日終値を基準にすると、
PER約13.2倍。
PBR約1.32倍。
配当利回り約3.38%。
極端な割高感はありませんが、数字だけを見て「誰が見ても割安」と言える水準でもないと思います。
ではNTT株の面白さはどこにあるのでしょうか。
私は、
今の利益に対して安いことより、将来の利益構造が変わる可能性
にあると思います。
今のNTTは、国内通信の安定した利益を大きな土台として持っています。
しかし今後、
法人AIが伸びる。
データセンターが利益を生む。
金融が新しい利益源になる。
NTT DATAの海外収益性が高まる。
AIOWNが商用サービスとして広がる。
こうした変化が数字に表れれば、NTTに対する市場の見方も変わる可能性があります。
例えばEPSが増えれば、PERが同じ約13倍のままでも、利益の成長に合わせて株価が上昇する余地があります。
さらに、
「成熟した通信会社」
ではなく、
「AI時代のデジタルインフラ企業」
として評価されるようになれば、市場がNTTに与える評価倍率そのものが変わる可能性もあります。
もちろん、それはまだ実現した未来ではありません。
だからこそ現在の株価には、
安定した通信会社としての価値
と、
本当に次の成長企業へ変われるのかという不確実性
の両方が含まれているのだと思います。
今のNTT株は、「高配当通信株」を買うのか、「変わろうとしている会社」を買うのか
そして16期連続増配を予定しています。
数字だけを見ると、極端に高くもなく、極端に安くもないというのが私の印象です。
だから私は、
「NTTは160円だから安い」
という理由だけでは買いたくありません。
一方で、
全国規模の通信インフラ。
約1億規模の顧客基盤。
世界のIT・データセンター。
金融。
AI。
AIOWN。
研究開発。
これだけの経営資源を持つ企業を、PER約13倍、配当利回り3%台で保有できることには面白さを感じます。
ただし前のリスクでも確認したように、大切なのは投資を利益へ変えられるかです。
もし今後、
EPSが増える。
EBITDAが増える。
ROICが改善する。
有利子負債が低下する。
配当も増える。
という流れが実際に確認できるのであれば、現在の株価の見え方は大きく変わります。
逆にAIやデータセンターへの投資が膨らんでも利益が伸びなければ、PER約13倍という現在の評価が必ずしも安いとは言えません。
つまり現在のNTT株で問われているのは、
「159.9円は安いか、高いか」
ということだけではないと思います。
今の安定した通信会社としてのNTTを買うのか。
それとも、AI時代の社会インフラ企業へ変わろうとしているNTTを買うのか。
私は後者の可能性まで含めて見ることで、NTTという株の面白さが見えてくると思います。
そして今後の決算では、株価そのものよりも、
新しい利益が本当に育っているか。
そこを確認し続けたいと思います。

NTTは少額から買えるので、つい「安い株」に見えてしまいます。
でも本当に大切なのは、1株の値段ではなく、その価格でどれだけの利益や企業価値を買っているのかですね。
現在のNTTは、安定した通信事業と連続増配という魅力を持ちながら、AI、データセンター、金融、AIOWNへ大きく変わろうとしている途中です。
その変化が本当に利益へ表れ始めるのか。
株価だけを追いかけるのではなく、これからの決算と一緒に確認していきたいですね。
NTTは長期投資先として魅力的か|「安定」と「成長」を両立できる企業なのか
そして、それらを支える研究開発力。
一方で、
国内通信市場の成熟。
巨額の成長投資。
増加した有利子負債。
AIOWNの商用化。
海外事業や金融事業の収益性。
といったリスクも確認してきました。
株価についても、2026年8月10日終値159.9円を基準にすると、予想PERは約13.2倍、PBRは約1.32倍、予想配当利回りは約3.38%。
私は、現在のNTT株を「誰が見ても明らかに割安な株」とは考えていません。
それでも、長期投資先として見ると非常に面白い会社だと思います。
なぜならNTTには、
今の利益を支える巨大な事業基盤
と、
10年後の利益をつくるための成長投資
の両方があるからです。
成熟した通信事業から安定したキャッシュを生み、そのキャッシュをAI、データセンター、金融、海外IT、AIOWNへ投資する。
そして新しい事業が次の利益を生み、その利益を再び成長投資や配当へ回していく。
この循環を本当に実現できるのであれば、NTTは単なる高配当通信株とは違う姿になっていく可能性があります。
私がNTTを長期投資先として見るうえで最も注目したいのは、
「安定した会社でありながら、変わろうとしている会社であること」
です。
長期投資で一番安心できるのは、社会から必要とされ続けること
NTTが提供している通信は、今の社会から簡単になくなるものではありません。
むしろ社会のデジタル化が進むほど、
家庭。
企業。
行政。
金融。
医療。
物流。
工場。
AI。
あらゆるものが通信ネットワークへ依存するようになります。
固定電話の利用は減っても、通信そのものの重要性が低下するわけではありません。
むしろ通信量は増え、ネットワークにはより高い品質、安全性、容量が求められていきます。
ここはNTTの長期投資先としての大きな安心材料だと思います。
ただし、
社会に必要な会社だから、必ず株主が儲かる
というわけではありません。
社会から必要とされること。
利益を生み出すこと。
その利益を成長と株主還元へつなげること。
この3つがそろって初めて、長期投資先として魅力的になります。
NTTには「必要とされ続ける」という土台があります。
だからこそ、その土台をどれだけ株主価値へ変えられるのかを見ていきたいと思います。
安定したキャッシュがあるから、未来へ投資できる
2025年度のEBITDAは3兆4,233億円。
通信、IT、法人事業など、既存事業から大きなキャッシュ創出力があります。
これは成長企業を見るときに、意外に大きな違いだと思います。
新しい技術へ挑戦する企業の中には、
まだ利益がほとんどない。
資金調達を続けなければならない。
将来の利益が生まれるまで耐えなければならない。
という会社もあります。
NTTは違います。
今の事業でキャッシュを生みながら、
AI。
データセンター。
AIOWN。
金融。
海外IT。
へ投資できます。
もちろん、その投資額が大きすぎれば負債も増えます。
だから安心というわけではありません。
ただ、
現在の利益を守るだけではなく、現在の利益を使って次の利益をつくれる
というのは、NTTの長期投資先としての大きな強みだと思います。
16期連続増配予定|待ちながら保有できることも長期投資では大きい
しかし企業が成長するまで何年も待つ場合、
待っている間にも利益を株主へ還元してくれる
ことには大きな意味があります。
NTTは2026年度に年間5.4円の配当を予定しており、実現すれば16期連続増配です。
株価159.9円を基準にすると、予想配当利回りは約3.38%。
ものすごく高い利回りではありません。
しかし重要なのは、
今後も増やせる配当なのか
ということだと思います。
AIやデータセンターなどの新しい利益が育ち、
EPSが増える。
キャッシュが増える。
その結果として配当も増える。
そんな形になれば、
現在の3.38%という利回りだけでは測れない長期保有の魅力が生まれます。
逆に利益が増えないまま増配だけが続けば、どこかで限界が来ます。
だから私はNTTの配当についても、
連続増配の年数だけではなく、その配当を支える利益が成長しているか
を見ていきたいと思います。
私がNTTで最も期待しているのは、「安定株」なのに変化できる可能性
一般的に安定した大型企業というと、
売上は大きい。
利益も安定している。
配当も出る。
その代わり、大きな成長は期待しにくい。
というイメージがあります。
一方で急成長企業は、
成長率は高い。
新しい市場へ挑戦している。
しかし利益や財務が不安定。
という場合もあります。
NTTは、その中間にいるように見えます。
今のNTTには、
通信という巨大で安定した事業があります。
その一方で、
AI。
データセンター。
金融。
海外IT。
AIOWN。
へかなり大きく動いています。
つまり、
安定した会社が、安定を捨てずに成長企業へ変わろうとしている。
ここに私はNTTの長期投資先としての面白さを感じます。
もちろん、成功するとは限りません。
むしろ巨大企業だからこそ、変化するのは簡単ではありません。
それでも、通信で築いた資産や顧客基盤を使って次の事業へ広がることができれば、
安定と成長を両方持つ企業
へ近づく可能性があります。
長期保有を続けるなら、私はこの数字を確認したい
それよりも、決算のたびに確認したい数字があります。
- EPSが増えているか
- EBITDAが4兆円へ近づいているか
- AI・法人ITの利益が伸びているか
- データセンター投資が利益とキャッシュへ変わっているか
- 金融事業が新しい利益の柱へ育っているか
- AIOWNが実証から商用化へ進んでいるか
- 海外事業の利益率が改善しているか
- ROICが改善しているか
- 有利子負債/EBITDA倍率が低下しているか
- 増配を続けられているか
私は、この中でも特に、
EPS。
ROIC。
有利子負債。
を重視したいと思います。
売上が増えても、EPSが増えなければ株主一人あたりの利益は成長しません。
投資額が増えても、ROICが改善しなければ効率的に利益を生み出しているとは言えません。
成長しても、負債だけが増え続ければ財務リスクが高まります。
だから、
利益が増える。
投資効率が改善する。
財務も改善する。
この3つが同時に進んでいるかを確認したいと思います。
私がNTTを長期投資先として評価する理由
理由は、単に通信最大手だからではありません。
配当利回りが3%を超えているからでもありません。
私が魅力を感じるのは、
これまで何十年もかけて築いたものを使って、次の時代へ変わろうとしていることです。
全国の通信網をAI時代のネットワークへ。
通信で築いた顧客基盤を金融や生活サービスへ。
企業との関係をAI・クラウドへ。
ITをデータセンターへ。
研究開発をAIOWNへ。
一つの時代で築いたものを、次の時代へつなげていく。
記事の最初から何度も出てきた、
「Create Connections」
という言葉が、ここでもつながります。
ただし、私はNTTを、
絶対に安心できる銘柄
だとは考えていません。
データセンターには巨額の投資が必要です。
有利子負債も増えています。
AIOWNがどこまで利益を生むかはまだ分かりません。
金融も、巨大な顧客基盤があるだけで成功するわけではありません。
だからこそ長期投資では、
期待して買う。
数字で確認する。
前提が崩れたら考え直す。
この姿勢が必要だと思います。
現在のNTTには、
社会に必要とされ続ける安定した事業
があります。
そして、
その安定を使って次の成長へ挑戦する余力
もあります。
この二つを本当に両立できるのであれば、NTTは今後10年、非常に面白い長期投資先になる可能性があります。
私は、
「高配当通信株だから持つ」
というより、
「安定したキャッシュを使って、AI時代の社会インフラ企業へ変われるかを見ながら持つ」
という視点でNTTを見ていきたいと思います。

NTTには、全国の通信網や巨大な顧客基盤など、長い時間をかけて築いてきた強みがあります。
でも長期投資で大切なのは、その強みを持っていることだけではありません。
その強みを次の利益へつなげられるか。
AI、データセンター、金融、AIOWNへの投資が本当に利益へ変わり、財務も改善しながら増配を続けられるのか。
安定した会社が、安定を失わずに成長できるのか。
私はそこを確認しながら、NTTを長く見ていきたいです。
まとめ|NTTの強みは、時代が変わっても「つなぐ会社」であり続けること
企業研究を始める前の私は、NTTに対して、
「日本最大級の通信会社」
というイメージを強く持っていました。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし調べれば調べるほど、現在のNTTを「電話会社」「通信会社」という言葉だけで説明するのは難しいと感じるようになりました。
電電公社の時代には、電話によって人と人をつないだ。
インターネットの時代には、人と情報をつないだ。
モバイルの時代には、通信を入口に人とさまざまなサービスをつないだ。
そして現在は、
通信。
IT。
クラウド。
データセンター。
金融。
AI。
エネルギー。
AIOWN。
へと、NTTがつなぐ対象そのものが大きく広がっています。
だから私は、NTTが電話会社からまったく別の会社へ変わろうとしているというよりも、
「社会に必要なつながりをつくる」という仕事を、時代に合わせて広げ続けている会社
と考える方が、NTTという企業を理解しやすいと思います。
NTTの強みは、巨大な資産を「持っていること」だけではない
全国へ広がる通信インフラ。
ドコモの巨大な顧客基盤。
企業や行政との長年の関係。
NTT DATAが持つIT・システム開発力。
世界規模のデータセンター。
長い時間をかけて蓄積してきた通信技術。
そして基礎研究まで続けられる研究開発力。
これだけを見るだけでも、非常に強い企業です。
しかし今回の企業研究を通じて、私はNTT最大の強みは、
「持っているものの多さ」ではない
と思うようになりました。
通信で築いた顧客基盤を金融へ。
企業との関係をAIへ。
ITをデータセンターへ。
データセンターをネットワークへ。
通信技術をAIOWNへ。
そして、そこで生まれた新しいサービスを再び人々の生活や企業活動へ戻していく。
一つの時代で築いた経営資源を、次の時代の事業へつなげられること。
ここにNTTの本当の強さがあるのではないかと思います。
記事の最初に見たNTT Group’s Valuesの、
「Create Connections」
という言葉が、企業研究を進めるほど単なる理念ではなく、NTTそのものを表す言葉に見えてきました。
これからのNTTで期待したいのは、AI時代の「社会インフラ」
AIが社会へ広がれば、その裏側には、
GPU。
データセンター。
クラウド。
高速ネットワーク。
大量の電力。
冷却設備。
セキュリティ。
企業へ導入するIT・システム開発力。
が必要になります。
そしてNTTには、この多くがすでにあります。
さらにAIOWNによって、計算する場所とAIを利用する場所を高速な光ネットワークでつなぎ、GPUや電力を社会全体で効率的に利用する構想も進めています。
電電公社が日本全国へ電話網を広げたように、
AI時代に必要となる新しい情報インフラを全国、そして世界へ広げられるのか。
私は、ここがNTTの今後10年で最も楽しみにしている部分です。
一方で、未来への期待だけで投資判断をしてはいけません。
データセンター。
AI。
AIOWN。
金融。
海外IT。
どれも巨額の投資が必要です。
だからこそ、
「何に投資しているか」ではなく、「その投資から何を生み出せたか」
を確認していく必要があります。
長期投資で見るなら、売上より「新しい利益」が育っているか
非常に大きな会社です。
しかし私は、
「15兆円企業だからすごい」
とは見たくありません。
今後重要なのは、その15兆円の中身です。
従来の通信事業が成熟していく一方で、
法人AI。
データセンター。
金融。
海外IT。
といった新しい事業の利益が育っているか。
投資によってEBITDAが増えているか。
ROICが改善しているか。
有利子負債を再び減らせるようになっているか。
そして成長投資を続けながら増配も続けられているか。
長期保有するなら、私は毎日の株価よりも、こうした変化を見ていきたいと思います。
特に、
EPS。
ROIC。
有利子負債。
この3つは決算のたびに確認したい数字です。
NTTが本当に変わっているのであれば、その変化はいずれ数字に表れるはずだからです。
株価159.9円だから買うのではなく、10年後のNTTを見て買う
予想PERは約13.2倍。
PBRは約1.32倍。
予想配当利回りは約3.38%。
そして16期連続増配を予定しています。
少額から買えて、配当もある。
非常に投資しやすい銘柄です。
ただし、
「160円だから安い」
という理由だけでは、私はNTTを評価したくありません。
現在のNTT株で本当に面白いのは、
今の安定した通信会社としての価値
に加えて、
AI時代の社会インフラ企業へ変わる可能性
まで持っていることだと思います。
もし新しい事業が本当に利益へ変われば、EPSそのものが増えます。
さらに市場から、
「成熟した通信会社」
ではなく、
「成長するデジタルインフラ企業」
として見られるようになれば、企業に対する評価そのものが変わる可能性もあります。
もちろん、その未来はまだ確定していません。
だからこそ長期投資では、
期待して買う。
数字で確認する。
前提が崩れたら考え直す。
この姿勢で見ていきたいと思います。
電話会社から別の会社へ変わるのではなく、「つなぐもの」が変わっていく
その会社が今、AI、データセンター、金融、AIOWN、世界のITまで事業を広げています。
一見すると、
「昔とはまったく違う会社になった」
ようにも見えます。
でも、そうではないのかもしれません。
昔は、人と人をつないだ。
その後、人と情報をつないだ。
そしてこれからは、
人。
企業。
AI。
データ。
計算資源。
電力。
都市。
世界。
をつなごうとしている。
変わったのは、
「つなぐ」という仕事そのものではなく、「何をつなぐのか」
なのだと思います。
電電公社から続く巨大な企業が、過去に築いたものを守るだけではなく、その資産を使って次の時代へ進もうとしている。
私は、そこにNTTという企業の一番大きな魅力を感じました。
そしてNTTが掲げる、
「Create Connections」
という言葉。
企業研究を終えた今、この言葉は最初に見たときよりも、ずっと重く感じます。
NTTはこれからも、本当に社会に必要な「つながり」をつくり続けられるのか。
そして、そのつながりを新しい利益と株主価値へ変えていけるのか。
私はその答えを、これからのNTTの決算と変化を追いながら、長く見ていきたいと思います。

NTTを調べる前は、私も「大きな通信会社」という印象が強かったです。
でも企業研究を進めると、電話、インターネット、モバイル、IT、データセンター、AIへと、時代に合わせて「つなぐもの」を変えてきた会社だということが見えてきました。
大切なのは、未来の技術に投資していることだけではありません。
長い時間をかけて築いた強みを、本当に次の利益へつなげられるのか。
そこを確認しながら、これからのNTTを長く見ていきたいですね。
投資家ノート

この記事の分析内容をもとに、NTTの業績や株価を長期的に追いかけていきます。
企業研究は一度記事を書いて終わりではなく、決算、実態的な収益力、配当金、成長分野への投資、株価、信用需給などの変化を確認しながら、この投資家ノートを継続的に更新していく予定です。
※この記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。企業の新しい取り組みがあれば、随時内容を更新していきます。
投資研究メモ 2026年8月14日(2027年3月期 第1四半期決算反映)
【現在の評価】
★★★★☆
【長期保有】
★★★★★
【企業理念】
★★★★★
【成長性】
★★★★☆
【株価妙味】
★★★★☆
【配当】
★★★★☆
【働きたい会社】
★★★★☆
【注目ポイント】
・第1四半期は営業収益3兆6,177億円(+10.9%)、営業利益4,251億円(+4.9%)と増収増益。営業収益は過去最高
・全国の通信インフラ、巨大な顧客基盤、法人・行政との関係、NTT DATAのIT・データセンターが大きな経営資源
・NTT最大の強みは、それぞれの経営資源をAI、金融、データセンター、AIOWNなど次の事業へつなげられること
・2030年度EBITDA4兆円を目標に、法人AI、海外データセンター、金融を成長分野として強化
・AIそのものだけでなく、GPU、データセンター、ネットワーク、電力まで含むAI時代の社会インフラを狙える
・2026年度は年間配当5.4円を予定し、実現すれば16期連続増配。自社株買いも継続
・安定した通信事業が生むキャッシュを使って、次の成長事業へ投資できることが長期保有の魅力
【気になること】
・国内通信市場は成熟しており、既存通信だけでは大きな利益成長を期待しにくい
・2026年度は売上15兆円超を見込む一方、営業利益はほぼ横ばい。投資がまだ十分な利益成長へ変わっていない
・データセンター、NTT DATA、金融などへの巨額投資で有利子負債が増加
・AIOWNは将来性が大きい一方、技術的にすごいことと利益を生むことは別
・金融も巨大な顧客基盤を実際の利用者と利益へ変えられるかが重要
・今後はEPS、ROIC、EBITDA、有利子負債を確認し、巨額投資を新しい利益へ変えられているかを見ていきたい
個人的には、「長期保有★★★★★」はかなり納得感があります。
NTTの魅力は、単に通信最大手で配当が安定していることではありません。
全国の通信網、顧客基盤、IT、データセンター、研究開発という長年築いた資産を、AI時代の次の利益へつなげられる可能性があること。
一方で、成長性はまだ★★★★☆。
AI、データセンター、金融、AIOWNへの投資が、実際にEPSやROICの改善として表れてきたら★★★★★へ引き上げてもいいと思います。
NTTは、「完成された安定株」ではなく、安定したキャッシュを使って次の成長へ進もうとしている会社。
そこを長く見ていきたい企業です。

投資判断に関する注意事項
この記事は、NTTの事業内容や成長性、業績、株価について、公開情報をもとに筆者の視点で整理したものです。
特定の銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株価は、企業業績だけでなく、国内外の景気、為替、金利、地政学情勢、市場の需給など、さまざまな要因によって変動します。
実際に投資する際は、最新の決算資料や株価情報を確認し、ご自身の判断と責任で行ってください。
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