
データセンター関連銘柄と聞くと、NTTやさくらインターネットのような運営企業を思い浮かべるかもしれません。
でも実際には、フジクラ・住友電工などの光通信、富士電機・三菱重工などの電源設備、さらに建設・不動産・電力まで多くの企業が関わっています。
この記事では企業名を並べるだけでなく、なぜその会社がデータセンター関連銘柄なのか、需要が売上・利益へどうつながるのかを仕組みから見ていきます。
- データセンターとは何かを初心者向けに理解できる
- サーバー・データセンター・クラウドの違いが分かる
- AIの成長でデータセンター需要が増える理由が分かる
- 電力・冷却・光通信・建設まで関係する理由が分かる
- データセンターができるまでの流れを理解できる
- NTT・フジクラ・住友電工・富士電機など、データセンター関連銘柄にはどんな企業があるのかが分かる
- 「関連銘柄」というだけで買わず、利益につながる企業を見極めるポイントが分かる
- データセンターの地方分散やワット・ビット連携、今後の成長と課題が分かる
データセンターとは?何のためにあるのか
私も調べる前までは、正直なところ「企業が大量のデータを保存しておく巨大な倉庫」のようなものだと思っていました。
しかし実際には、データセンターはただデータを保存している場所ではありません。私たちが動画を見たり、ネットショッピングをしたり、銀行アプリを使ったり、写真をクラウドへ保存したり、生成AIを使ったりするとき、その裏側では大量のコンピューターがデータを保存し、計算し、必要な場所へ送り届けています。
そして、そのコンピューターを安全に、24時間365日止めずに動かすためにつくられた専用施設がデータセンターです。
データセンター関連銘柄を理解するうえでも、まず「データセンターは何をする場所なのか」を知っておくことが大切です。仕組みが分かると、なぜ通信会社だけでなく、電線、電力、建設、冷却、不動産といった一見まったく違う業界までデータセンター関連銘柄になるのかが見えてきます。
データセンターを一言でいうと何?
まずは難しい仕組みを考える前に、データセンターが何なのかをシンプルに整理してみます。
大量のコンピューターを動かすための専用施設
建物の中には、「サーバー」と呼ばれるコンピューターが多数置かれています。サーバーとは、Webサイトを表示したり、写真や動画を保存したり、企業のシステムを動かしたりするためのコンピューターです。
見た目は私たちが普段使っているパソコンとは少し違いますが、「データを保存したり計算したりする機械」という点では同じです。
サーバーを置くだけではデータセンターにならない
コンピューターを動かすための電力、熱くなった機械を冷やす冷却設備、大量のデータを送り届ける通信設備、停電しても止まらないための非常用電源、そして大切な設備やデータを守るセキュリティまで必要になります。
ここまで調べて、私はデータセンターを「サーバーを置く倉庫」と考えるよりも、サーバーを止めないための設備が集まった場所と考えた方が分かりやすいと感じました。
データセンターはデジタル社会のインフラ
オンラインサービスや企業システムが止まれば、買い物や決済、仕事、通信などさまざまな場面に影響します。そのためデータセンターには、「高速に計算できること」だけではなく、いつでも使える状態を維持することが求められます。
投資家として見る場合も、この視点は大切です。データセンターそのものを運営する会社だけではなく、24時間動かすために必要な電力、通信、冷却、電源設備などを提供する企業にも需要が生まれるからです。
通信だけでなく、データセンターやAI基盤まで含めてデジタル社会を支えている企業については、NTTの強みでも詳しくまとめています。
私たちの生活はデータセンターにつながっている
「データセンター」と聞くと、企業向けの専門施設で、自分たちの生活とはあまり関係がないように感じるかもしれません。しかし実際には、私たちは意識していないだけで、一日の中で何度もデータセンターを利用しています。
動画もネットショッピングも裏側にサーバーがある

例えば動画を見るとき、世界中の動画が自分のスマートフォンの中に保存されているわけではありません。動画データはどこかにあるサーバーへ保存されていて、再生ボタンを押すと、インターネットを通じて必要なデータが届けられます。
ネットショッピングも同じです。商品の写真や価格、在庫情報、購入履歴などがサーバー側で管理されているからこそ、私たちはスマートフォンからいつでも買い物ができます。
普段は画面しか見えていませんが、その向こう側ではコンピューターが常に動いているということです。
銀行や写真のクラウド保存も同じ
私たちは「スマートフォンに表示されているから、スマートフォンが全部処理している」と感じがちですが、実際には重要なデータの保存や処理の多くを別のコンピューターへ任せています。
「クラウド」という言葉も少し分かりにくいですが、データが本当に雲の中にあるわけではありません。後ほど詳しく触れますが、その裏側には実際のサーバーやデータセンターがあります。
生成AIもデータセンターで計算している
利用者が質問すると、その情報がネットワークを通じてデータセンターへ送られ、そこに置かれた大量のコンピューターが計算します。そして計算結果が再びネットワークを通じて私たちの画面へ返ってきます。
私も最初は「AI」というソフトウェアだけに目が向いていましたが、実際にはAIを動かすための巨大な物理設備が必要です。ここが、AIの成長とデータセンター関連銘柄がつながる大きなポイントです。
AIは計算する半導体だけで成り立つものではなく、通信やクラウド、セキュリティなど周辺のデジタル基盤も必要です。AIを社会インフラとして支える企業については、NECの強みでも詳しく見ています。
なぜ自宅や会社にサーバーを置くだけではダメなのか
ここまで読むと、「サーバーがコンピューターなら、自宅や会社に置けばいいのでは?」という疑問も出てくると思います。実際、小規模なシステムであれば会社の中にサーバーを置くこともあります。しかし、多くの人が使うサービスを24時間365日動かそうとすると、普通の部屋では難しくなってきます。
サービスは簡単に止められない
もし停電したらどうするのか。通信回線が切れたらどうするのか。冷却設備が壊れてサーバーが熱くなったらどうするのか。地震や火災が起きた場合も考えなければなりません。
「コンピューターを動かす」というより、何が起きてもできるだけ止めない環境をつくることがデータセンターの大切な役割です。
予備を用意する「冗長化」
例えば通常の電力供給が止まったときに備えて非常用の電源を用意したり、通信回線も一つではなく複数の経路を確保したりします。
こうした「一つが壊れても、別の設備へ切り替えて動かし続けられるようにする仕組み」を、冗長化(じょうちょうか)といいます。
難しそうな言葉ですが、「予備を用意して止まりにくくする」と覚えれば十分です。
「止めない設備」から関連銘柄が見えてくる
サーバーを置く建物をつくる会社が必要です。電力を安定して届ける会社も必要です。停電対策の電源設備、熱を逃がす冷却設備、データを高速で運ぶ光ファイバーも欠かせません。
私はこの仕組みを知ってから、「データセンター関連銘柄」という言葉の見え方が変わりました。
単に「データセンターを運営している会社」を探すのではなく、データセンターを24時間動かすために何が必要なのかと考えると、関連企業を自分でも探せるようになるからです。

データセンターは、ただサーバーを置く建物ではないんですね。
私たちの生活を24時間支えるために、電力や通信、冷却まで必要な大切なインフラだと分かりました。
データセンターの中では何をしている?
初めて見ると「何が何だか分からない」と感じますが、データセンターの仕組みそのものは、まず「保存する・計算する・届ける」の3つに分けて考えるとかなり分かりやすくなります。
写真や動画、企業のデータを保存する。Webサービスや生成AIに必要な処理を計算する。そして、その結果をインターネットを通じて私たちのスマートフォンやパソコンへ届ける。この3つがデータセンターの中心的な役割です。AWSやIBMの説明でも、データセンターの基本設備としてサーバー、ストレージ、ネットワークなどが挙げられています。
ただし、この3つの仕事をするだけでは十分ではありません。電気が止まったり、サーバーが熱くなりすぎたりすればサービスも止まってしまいます。そのためデータセンターには、コンピューターを24時間365日動かし続けるための電源と冷却も欠かせません。
ここでは難しい設備名を一気に覚えるのではなく、「この機械は何のためにあるのか」という役割から見ていきます。
データセンターの役割は「保存する・計算する・届ける」
まずデータを残しておく「保存」。次に、保存されたデータを使って処理する「計算」。そして計算した結果や保存されたデータを必要な人へ送る「届ける」です。
私たちがネットサービスを使うときも、基本的にはこの3つの仕事が組み合わされています。
データを保存する|ストレージ
写真、動画、メール、Webサイトの商品情報、企業の顧客データなど、デジタル社会では毎日大量のデータが生まれています。それらを必要なときに取り出せるよう保存しておく装置を「ストレージ」と呼びます。データセンターにも、サーバーとともにこうしたデータ保存用の設備が置かれています。
例えばスマートフォンで撮った写真をクラウドに保存した場合、「クラウド」という目に見えない場所へ写真が消えていくわけではありません。クラウドサービスを提供する企業が管理するストレージへ、ネットワークを通じてデータが保存されています。
私自身、「データセンター=データを保存する場所」という印象はここまでは合っていました。ただ、調べてみると保存はデータセンターが行っている仕事の一部でしかありません。保存したデータを使って計算し、その結果を外へ送り出して初めて、私たちが使うサービスになります。
データを計算する|CPU・GPU・サーバー
ここで中心になるのがサーバーに搭載されているCPUやGPUです。CPU=コンピューター全体のさまざまな処理を担当する頭脳と考えると分かりやすいと思います。一方、GPU=大量の計算を同時に処理することが得意な半導体で、もともとは画像処理向けに発展しましたが、現在ではAIや機械学習など大量の計算が必要な用途でも広く使われています。
例えばネットショッピングなら、商品を検索したり、在庫を確認したり、注文情報を処理したりします。生成AIなら、利用者から送られてきた質問をもとに大量の計算を行い、回答をつくります。AI向けデータセンターでは従来型より高性能なGPUや、それを支える高速なストレージ・ネットワーク・冷却などが重要になります。
ここで投資家として覚えておきたいのは、AI需要が伸びると「AIソフトウェア」だけにお金が流れるわけではないということです。計算量が増えれば、その計算を行うGPUやサーバーだけでなく、後ほど見る電力・冷却・通信にも需要が広がります。
データを届ける|ネットワーク・光ファイバー
そこで3つ目に必要になるのが、データを届けるためのネットワークです。
スマートフォンで動画を再生したときには、データセンターに保存されている動画データが通信網を通じて送られてきます。生成AIでも、質問がデータセンターへ届き、計算された回答が再び利用者へ送り返されます。データセンター内部でも、大量のサーバーやGPU同士が高速でデータをやり取りしています。Google CloudもGPUを使った分散処理でネットワーク帯域を重要な構成要素として扱っています。
この大量のデータを高速に運ぶために重要なのが光ファイバーです。光を使って情報を伝えるため、大容量のデータを高速かつ長距離へ運ぶことができます。AIデータセンターでは通信量の増加に伴い、さらに高速で高密度な光配線が求められており、住友電工も2026年にAIデータセンター向けマルチコア光ファイバーの共通仕様策定に向けた協業を開始しています。
私はここを知ったとき、「電線会社がなぜAI関連銘柄として注目されるのか」がかなり腑に落ちました。AIが大量に計算するほど、その計算機同士を高速につなぐ必要もあるからです。光ファイバーだけでなく、データセンター内外の通信や電力まで幅広く支える企業については、住友電工の強みでも詳しくまとめています。
24時間止めないために必要な電源と冷却
しかしデータセンターでは、これらをいつでも使える状態にしておくことも同じくらい重要です。サーバーには常に電気が必要で、計算をすれば熱も発生します。そこで電源設備と冷却設備が登場します。
特にAI向けデータセンターでは高性能GPUを高密度に配置するため、従来以上に電力と冷却が重要になっています。NTTも2026年4月、高性能GPUの利用拡大を背景に、電力・液冷・ネットワークなどを一体で高度化するAI向けデータセンター構想を公表しています。
停電に備える|UPSと非常用電源
そこで使われる設備の一つがUPS(無停電電源装置)です。UPSは、停電や電源トラブルが発生したときに、サーバーへ一時的に電力を供給して突然の停止を防ぐ装置です。その間に非常用発電機などへ切り替えることで、サービスを継続できるようにします。データセンターではこうしたバックアップ電源も含めて、電力の信頼性を高めています。
前の章で「冗長化」という言葉を紹介しましたが、電源設備でも同じ考え方です。通常の電力だけに頼るのではなく、もしものときに別の電源へ切り替えられるようにしておくことで、データセンターを止まりにくくしています。
投資家目線では、ここからUPS、変圧器、受配電設備、非常用発電機などをつくる企業がデータセンター関連銘柄として見えてきます。「AIが成長する」と聞いて最初に電源設備メーカーを思い浮かべる人は少ないかもしれませんが、計算機を増やすほど、それを安定して動かす設備も必要になるわけです。
サーバーを冷やす|空冷と液冷
サーバーやGPUは電力を使って計算すると熱を発生します。その熱を放置すると機器が正常に動かなくなる可能性があるため、データセンターでは常に熱を外へ逃がしています。
これまで広く使われてきた方法が空冷です。冷たい空気をサーバーへ送り、温かくなった空気を回収して冷やします。一方、AI向けの高性能GPUを高密度に配置すると発熱量も大きくなるため、冷却液を機器の近くまで送り、熱を直接奪う液冷への対応も進んでいます。NTTは高発熱GPUサーバーへの対応として液冷型データセンターを拡大しており、東京都心で計画しているAIデータセンターでも液冷フロアを標準装備する方針です。
私も調べる前は「データセンターの冷却=大きなエアコン」くらいに考えていました。しかしAIによって1つの場所へ集める計算能力が大きくなるほど、どう冷やすかそのものがデータセンターの性能を左右するようになってきています。
つまりAIの成長は、GPUだけでなく空調設備や液冷設備を手掛ける企業にもつながります。後ほどデータセンター関連銘柄を整理するときに、冷却企業が一つの重要分野として登場するのはこのためです。
電力効率を見る指標|PUEとは?
PUEは、簡単にいえば「データセンターで使った電力のうち、どれくらいを実際のコンピューターに使えているかを見るための指標」です。
計算式は、
データセンター施設全体の消費エネルギー ÷ IT機器の消費エネルギー
です。1に近いほど、冷却や電源設備などIT機器以外で使うエネルギーが少なく、効率が高いと考えます。資源エネルギー庁もPUEをこの考え方で定義しており、2026年度提出分からデータセンターについて電気使用量やPUEなどの実績・目標を報告・公表する仕組みを強化しています。
例えばサーバーそのものに100の電力が必要なのに、冷却などを含めて施設全体で200使っていればPUEは2.0です。施設全体で120ならPUEは1.2となり、後者の方が効率よくサーバーを動かしていると考えられます。
初心者のうちは細かな基準まで覚える必要はありません。「データセンターはGPUやサーバーの性能だけでなく、電力を無駄なく使えるかも重要」と覚えておけば十分です。
保存する。計算する。届ける。そして、それを止めない。
そして投資家として見るなら、この仕組みを知っているだけでも「AIデータセンターが増えると、どんな製品やサービスが必要になるのか」を自分で考えやすくなります。
単に「データセンター関連銘柄」という名前を覚えるのではなく、データセンターのどの仕事を支えている企業なのかを見ることが、この記事で身につけたい考え方です。

データセンターの中では、保存・計算・通信だけでなく、電源や冷却まで一体で動いているんですね。
AIが伸びるほど、必要になる企業も広がっていく理由が分かってきました。
データセンターとサーバー・クラウドは何が違う?
ですが、難しく考える必要はありません。
サーバー=データを保存・計算する機械
データセンター=サーバーを安全に動かす場所
クラウド=そのコンピューターをインターネット経由で利用する仕組み・サービス
まずはこの3つだけ覚えておけば十分です。
例えばクラウドに写真を保存するとき、写真が本当に「雲」の中へ入っていくわけではありません。実際にはどこかにあるサーバーへ保存され、そのサーバーを安全に動かしている場所の一つがデータセンターです。
つまり、サーバー・データセンター・クラウドは別々のものですが、実際のサービスでは3つがつながって動いています。
まずは「機械・場所・使い方」で考える
例えば写真をクラウドへ保存するとき、裏側ではサーバーがデータを保存し、そのサーバーはデータセンターで動き、私たちはクラウドサービスとして利用しています。
そこでまず、この3つをそれぞれの役割に分けて見てみます。
サーバー=データを保存・計算する「機械」
私たちが使っているパソコンもコンピューターですが、サーバーは多くの人から同時にアクセスされたり、大量のデータを処理したりすることを前提につくられています。
例えばネットショッピングなら、商品の情報を保存したり、「この商品を検索したい」という要求を処理したりします。生成AIなら、質問を受け取って計算し、その結果を返します。
つまりサーバーは、前の章で見てきた「保存する・計算する」仕事を実際に行う機械と考えると分かりやすいと思います。
データセンター=サーバーを安全に動かす「場所」
ただ建物の中にサーバーを並べるだけではなく、電力、UPS、非常用電源、冷却、光通信、セキュリティなどを整え、サーバーが止まりにくい環境をつくります。
この違いが分かると、「データセンターを建設する」というニュースの意味も少し変わって見えます。
新しい建物ができるだけではなく、そこに電源設備や冷却設備、通信設備などさまざまな投資が発生するからです。
クラウド=インターネット経由で利用する「仕組み」
クラウドとは、簡単にいえば自分でサーバーを用意しなくても、インターネット経由で他社のコンピューターやストレージを必要な分だけ利用できる仕組み・サービスです。
例えば写真のクラウド保存なら、私たちは「このサーバーに保存しよう」と意識する必要はありません。サービス側が用意したコンピューターへインターネット経由でデータを送り、必要なときに取り出します。
ここがクラウドの便利なところです。
利用者から見れば「インターネット上のサービス」ですが、裏側ではサーバーやデータセンターという物理的な設備が動いています。
クラウドの裏側にはデータセンターがある
私たちがスマートフォンやPCからクラウドサービスを使うと、インターネットを通じてどこかにあるサーバーへアクセスします。そのサーバーは、多くの場合データセンターの中で動いています。
つまり、
利用者
↓
クラウドサービス
↓
データセンター
↓
サーバー
という関係です。
「クラウド市場が成長する」というニュースを見たときも、そこで終わらず、クラウド需要が増えれば、その裏側のデータセンターやサーバー、電力、通信設備も必要になる可能性があると考えられるようになります。
クラウドが成長するとデータセンター需要にもつながる
私たちが日常で見るのはクラウドサービスや生成AIですが、サービス利用が増えれば、その裏側で処理するデータ量や計算量も増えます。
計算量が増えればサーバーやGPUが必要になります。機械が増えれば、それを置くデータセンターも必要になります。そしてデータセンターが増えれば、電力、冷却、光通信、建設などへ需要が広がる可能性があります。
つまり、
クラウド・AIが成長する
→ サーバー・GPUが増える
→ データセンターが必要になる
→ 電力・通信・冷却・建設にも需要が広がる
という流れです。
通信サービスだけでなく、データセンターやAI基盤まで含めてデジタル社会を支えている企業については、NTTの強みでも詳しくまとめています。
投資家としては「クラウド市場が伸びるらしい」で止まらず、その成長によって、どんな設備やサービスへの支出が増えるのかまで考えることが大切だと思います。
自社サーバーとクラウドは何が違う?
難しい言葉ですが、簡単にいえば、
オンプレミス=自分でコンピューターを持つ
クラウド=必要なコンピューターをサービスとして借りる
という違いです。
自分で持つ「オンプレミス」
自社の要件に合わせて細かく設計できる一方、サーバーを購入したり、保守したり、古くなった設備を入れ替えたりする必要があります。
もちろん電源や冷却、セキュリティも考えなければなりません。
つまり「コンピューターを使う」だけではなく、コンピューターを所有し続けるための管理まで自分で行う方式です。
必要な分だけ使える「クラウド」
利用企業は自分で大量のサーバーを購入しなくても、必要な計算能力や保存容量をインターネット経由で利用できます。
需要が増えれば利用量を増やし、少なければ減らすこともできるため、すべての設備を最初から自分で持つ必要がありません。
ただし重要なのは、利用者がサーバーを持たなくても、世の中からサーバーが消えるわけではないということです。
むしろクラウドサービスを提供する側が、大規模なデータセンターにサーバーを集約して運用しています。
この視点を持つと、「クラウド化が進むからデータセンターはいらなくなる」のではなく、クラウド化が進むからこそ、大規模なデータセンターの重要性が高まるという関係が見えてきます。
投資家として「サービスの裏側」を考える
そして投資家として面白いのは、私たちから見える「クラウド」や「AI」のさらに裏側を考えることです。
サービスが成長すれば、本当に必要になるものは何か。
サーバーなのか。GPUなのか。データセンターなのか。光通信なのか。それとも電力や冷却なのか。
こうやって一段ずつ裏側へたどっていくと、単に「AI関連」「データセンター関連」という言葉を追いかけるよりも、企業の事業とのつながりが見えやすくなります。
この記事では初心者でも全体像をつかめるようにデータセンターの仕組みを整理していますが、「もう少し詳しく勉強してみたい」という方には、『ゼロからはじめる AIデータセンター入門』のような入門書も参考になります。
AIを動かすデータセンターの裏側をさらに知ることで、今後ニュースでデータセンター建設や関連企業が取り上げられたときにも、内容を理解しやすくなると思います。

クラウドって目に見えない世界だと思っていましたが、裏側にはサーバーやデータセンターがあるんですね。
サービスから実際の設備までたどると、関連企業も見つけやすくなりそうです。
なぜAI時代にデータセンターが注目されているのか
大きな理由は、生成AIがこれまで以上に大量の計算能力を必要とするからです。
AIをたくさん使うようになると、高性能なGPUが必要になります。しかしGPUを増やせば、それだけで終わりではありません。大量の電力を使い、熱が発生し、それを冷やす設備が必要になります。さらに、多数のGPUやサーバー同士で大量のデータをやり取りするため、高速な通信も欠かせません。
日本でもすでに具体的な設備投資が進んでいます。さくらインターネットは2026年2月、石狩データセンターでNVIDIA Blackwell GPU約1,100基を搭載したAIインフラを稼働させました。KDDIも2026年1月22日に、NVIDIA GB200 NVL72などのAIサーバーを備えた大阪堺データセンターを稼働しています。
つまりAIの成長は、
AI
→ GPU
→ 電力
→ 発熱
→ 冷却
→ 光通信
という形で、データセンターの周辺産業へ次々と需要を広げていきます。
私はここを理解してから、「AI関連銘柄=半導体」という見方だけではかなり狭いと感じるようになりました。AIを実際に社会で使うためには、その計算能力を支える巨大なインフラが必要だからです。
生成AIは大量の計算を必要とする
文章をつくる、画像を生成する、プログラムを書く、企業の大量のデータを分析する。私たちから見ると画面上で数秒から数十秒待つだけですが、その裏側では多数の計算機が処理を行っています。
そのため生成AIが多くの人や企業に使われるほど、「AIそのもの」だけでなく、それを動かす計算能力も必要になります。
AIは「学習」と「推論」で計算する
学習=大量のデータからAIがパターンや関係を学ぶ工程。
推論=学習したAIが、実際の質問や指示に対して答えをつくる工程。
と考えると分かりやすいと思います。
AIモデルをつくるときだけGPUが必要なのではありません。完成したAIが多くの利用者から質問を受ければ、そのたびに推論処理が発生します。さくらインターネットも、生成AI利用者の広がりに伴って推論ニーズが急拡大していると説明しています。
つまり生成AIが一部の研究者だけのものから、企業や一般利用者が日常的に使うサービスになっていけば、AIを使い続けるための計算能力も必要になっていくわけです。
GPUを大量につないで計算能力を高める
大量の計算が必要な場面では、多数のGPUをネットワークで接続し、大きな一つの計算機のように協力して処理させます。
2026年時点では、日本でも大規模なGPU基盤が実際に整備されています。さくらインターネットは石狩でBlackwell GPU約1,100基を稼働させ、KDDIの大阪堺データセンターでも高性能AIサーバーが稼働しています。
ここで重要なのは、GPUが増えれば、それを置くスペースだけでなく、動かす電気、冷やす設備、GPU同士をつなぐ通信まで一緒に増えることです。
GPUが増えるほど電力が必要になる
そのため、AIの計算能力を増やそうとすると、
GPUを増やす
→ 必要な電力も増える
という関係になります。
NTTも2026年4月、AI向けGPUの高性能化に伴って1ラック当たりの必要電力量が急増していると説明しています。
AIでは「1つのラック」に集まる電力も大きくなる
AIサーバーでは、高性能GPUを一つのラックへ高密度に搭載します。そのため、同じくらいの床面積でも、より多くの電力を必要とするようになります。
NTTは2026年のAIインフラ戦略で、GPUの高性能化によってラック当たりの必要電力量が急増していることを、液冷対応を拡大する背景として挙げています。
つまりAIデータセンターでは、「広い土地を用意すればいい」だけではなく、その場所へ大量の電力を安定して届けられるかも重要になります。
AI需要が「電力インフラ」の問題へ広がる
資源エネルギー庁は2026年、DXを支えるデータセンターの増加に伴って電力需要の増加が見込まれる一方、エネルギー効率を改善していくことも重要だとしています。
つまり、
AIをもっと使いたい
→ データセンターを増やしたい
→ 大量の電力が必要
→ 発電・送電・変電設備まで考える必要がある
というところまでテーマが広がっていきます。
詳しい電力需要や送電網については後ほど見ていきますが、投資家としてはこの時点で、AI需要が電力関連企業までつながる理由を押さえておきたいところです。
発熱量が増え、冷却設備も重要になる
GPUの計算能力が高まり、一つのラックへ多くのGPUを集めれば、そこから発生する熱も大きくなります。
そして熱をうまく外へ逃がせなければ、せっかく高性能なGPUを導入しても安定して動かせません。
AIデータセンターでは、「どれだけ高性能なコンピューターを購入できるか」だけでなく、それをどう冷やし続けるかまでが重要な設備投資になります。
高密度AIサーバーでは従来の空冷だけでは難しくなる
しかし高性能GPUを高密度に配置すると、一つの場所から大量の熱が発生します。
NTTは、AI向けGPUの高性能化によって従来の空冷方式から、サーバー内部へ冷却水を循環させる液冷方式への対応が急速に求められていると説明しています。
KDDIの大阪堺データセンターでも、NVIDIA Blackwellを搭載したシステムに空冷と直接液冷を組み合わせた冷却技術が導入されています。
「AIが伸びると冷却関連銘柄が注目される」という話も、ここまで仕組みをたどれば単なるテーマではなく、実際の設備需要として理解できます。
液冷がAIデータセンターの重要設備になる
前の章でも空冷と液冷の違いを見ましたが、AI時代に重要なのは、液冷が単なる省エネ技術ではなく、高性能GPUを高密度で動かすための設備になってきている点です。
NTTは2026年4月、液冷方式によって空冷方式と比べ冷却用消費電力を最大60%削減できるとし、液冷対応設備をグローバルで250MW提供していると説明しています。
つまり冷却技術が進歩すれば、限られたスペースと電力の中で、より多くの計算能力を動かせる可能性があります。
通信、AI、データセンター、次世代インフラを一体として取り組んでいる企業については、NTTの強みでも詳しくまとめています。
大量のデータを動かす光通信も重要になる
AIデータセンターでは、GPU同士やサーバー同士で大量のデータを高速に交換します。さらにデータセンターと利用者、データセンター同士の通信も必要です。
そのためAIによって計算能力が大きくなるほど、その計算機同士をつなぐ通信能力も重要になります。
住友電工も、生成AIの普及によってAIデータセンターへ移行する中、大量のデータを高速かつ安定して通信するために光デバイスが重要になると説明しています。
多数のGPUを高速につなぐ必要がある
もしGPUそのものが非常に速くても、データの受け渡しに時間がかかれば、ほかのGPUが待つことになり、せっかくの計算能力を十分に生かせません。
そのためAIデータセンターでは、
計算する速さ
+
データを移動させる速さ
の両方が重要になります。
私はここを知ってから、「高性能GPUが売れる=半導体だけが伸びる」という見方では足りないと感じました。GPU同士を高速につなぐネットワークも、AIの性能を支えているからです。
光ファイバーも高速・高密度化していく
フジクラは2026年3月、日本国内のデータセンター向けに4,000心の高密度光ファイバーケーブルを製品化しました。同社はその背景として、生成AIやクラウドサービスの普及・拡大によって、データセンター周辺の通信データ量や情報トラフィックが急増していることを挙げています。
住友電工も2026年4月、AIデータセンターの配線高密度化に向け、複数の光の通り道を一つのファイバー内に持たせるマルチコア光ファイバーの共通仕様策定に向けた協業を開始しました。
つまりAIが進化すると、
計算能力が増える
→ 通信するデータも増える
→ 光通信も高速・高密度化する
という流れが生まれます。
ここが、フジクラや住友電工といった電線・光通信企業がデータセンター関連銘柄として注目される大きな理由です。光通信だけでなく電力インフラまで幅広く支える事業構造については、住友電工の強みでも詳しくまとめています。
AI需要はデータセンターの外側へ広がっていく
AIを使う人が増えると計算量が増えます。計算量が増えればGPUが必要になります。GPUを増やせば電力と冷却が必要になり、さらにGPU同士をつなぐ高速な光通信も必要になります。
つまり、
AI
↓
GPU・サーバー
↓
データセンター
↓
電力・冷却・通信
↓
さらに建設や周辺インフラへ
と需要が広がっていきます。
これは、この後にデータセンター関連銘柄を考えるうえで非常に重要な考え方です。
投資家は「次に何が必要になるか」を考える
ですがデータセンターの仕組みを知ると、その一歩先を考えられるようになります。
AIが増えたらGPUが必要。
GPUが増えたら電力が必要。
電力を使えば熱が出る。
熱が増えれば冷却が必要。
GPUが増えれば通信量も増える。
通信量が増えれば光ファイバーも必要になる。
つまり投資家として見るべきなのは、
「AIが伸びるか?」だけではなく、
「AIが伸びたとき、次に何が必要になるのか?」
ということです。
この考え方ができるようになると、ニュースで新しいAIデータセンターの建設計画を見たときにも、半導体企業だけでなく電力、電源設備、冷却、光通信、建設など、自分で関連企業を考えられるようになります。
AIデータセンターを理解すると関連銘柄の見え方が変わる
AIは画面の中だけで成長しているわけではありません。その裏側ではGPUが増え、それを動かすために電力を使い、発生した熱を冷やし、さらに大量のデータを高速にやり取りしています。
つまりAIが普及するほど、必要になるのは半導体だけではありません。電力、電源設備、冷却、光通信、建設など、AIを実際に動かすための物理的なインフラにも需要が広がっていく可能性があります。
だからこそ、AI時代のデータセンターを理解すると、「なぜこの会社がデータセンター関連銘柄なのか」を自分で考えられるようになります。
単に企業名を覚えるのではなく、AIの成長によって、その会社のどの商品やサービスに需要が流れるのかを見ることが大切です。

AIが伸びるとGPUだけでなく、電力や冷却、光通信まで必要になるんですね。「次に何が必要になるか」を考えると、関連企業の見え方も変わってきます。
データセンターはどうやってつくられる?建設から運営までの流れ
では実際に、新しいデータセンターを一つつくろうとしたら、何が必要になるのでしょうか。
私も調べる前は、「大きな建物を建てて、その中にサーバーを並べれば完成する」と考えていました。しかし実際には、建物を建てる前から土地、電力、通信を考え、建物ができた後にも電源設備、冷却設備、GPU・サーバー、光ファイバーなどを整えて、ようやくデータセンターとして使えるようになります。
初心者向けに大きな流れを整理すると、
土地
→ 建設
→ 電力
→ 電源設備
→ 冷却
→ GPU・サーバー
→ 光通信
→ 運営
と考えると分かりやすいと思います。
ただし実際のプロジェクトでは、この順番どおり一つずつ進めるわけではありません。特に電力と通信は、土地を選ぶ段階から一緒に考える重要な条件です。
KDDIが2026年1月に稼働させた大阪堺データセンターでも、旧シャープ堺工場にあった大規模な電力・冷却設備を再利用しています。つまりデータセンターでは、「どこに建てるか」と「そこで必要な電力や設備を確保できるか」が最初からつながっているわけです。
投資家として面白いのは、この一連の流れを見ると、データセンター運営会社だけに売上が発生するわけではないことです。土地を開発する会社、建物をつくる会社、電力設備を納める会社、冷やす会社、光ファイバーを供給する会社など、多くの企業に設備投資が流れていきます。
まず「どこにつくるか」と「建物」を決める
まず必要なのが、それだけの設備を置ける土地と建物です。ただし普通のオフィスや倉庫とは違い、「広い土地が安いから」という理由だけで場所を決めることはできません。
大量の電力を確保できるか。高速な通信網につなげられるか。災害リスクはどうか。こうした条件まで含めて立地を考える必要があります。
土地を確保する|電力と通信まで考えて場所を選ぶ
データセンターは多数のサーバーだけでなく、受変電設備、非常用電源、冷却設備なども置くため、ある程度まとまったスペースが必要です。さらにAIデータセンターでは電力需要が大きくなるため、その場所まで大量の電力を届けられるかが非常に重要になります。
資源エネルギー庁も、今後のデータセンター立地について、電力系統に余裕がある地域や電源の近くへ立地を誘導し、通信インフラも一体で整備する「ワット・ビット連携」を進めています。送電線だけではなく通信網まで含めて立地を考える時代になっているわけです。
不動産会社がデータセンター関連銘柄になる理由もここにあります。三井不動産はすでに千葉県印西市でデータセンターを展開しており、日野や相模原でもデータセンター計画を進めています。データセンターを単独の建物として見るのではなく、土地・産業・街づくりまで含めて考える視点については、三井不動産の強みでも詳しくまとめています。
建物を建てる|ただの大きな箱ではない
ここではゼネコンなどの建設会社が関わります。ただし、データセンターは単に雨風を防ぐ建物ではありません。
非常に重いサーバーや設備を置き、24時間365日稼働させ、地震や災害が起きてもサービスをできるだけ止めないことが求められます。そのため建物の構造だけでなく、電源設備や冷却設備をどこへ置くか、配管やケーブルをどう通すかといった設備設計まで重要になります。
データセンター建設需要は2026年時点でも続いており、大林組も国内建築市場について、都市部の大型再開発とともにデータセンター需要が継続しているとしています。
ここから「データセンターが増えるとゼネコンにも仕事が増える可能性がある」という関係が見えてきます。ただし、後ほど関連銘柄を見るときには、会社全体の売上にデータセンター建設がどれくらい影響するのかまで確認する必要があります。
データセンターを動かす「電力」を整える
しかも家庭や普通のオフィスとは比べものにならない規模の電力を、安定して供給し続ける必要があります。
そのためデータセンター建設では、外から電力を引き込む設備だけでなく、停電に備えたバックアップ設備まで用意します。
大量の電力を確保する|送電・変電設備につなぐ
発電された電気は送電網を通り、変電設備などを経てデータセンターへ届けられます。そのため大規模なデータセンターを建設する場合、「建物を建てられる土地があるか」だけではなく、必要な電力をいつから、どのくらい確保できるのかがプロジェクトそのものを左右します。
NTTは国内データセンターのIT電力容量を、現在の約300MWから2033年度に約1GWへ3倍超に拡張する計画を示しています。さらに印西・白井エリアでは、最終的に約250MWのIT電力容量を持つ大規模なデータセンターキャンパスを計画しています。
つまりAIデータセンターの成長を考えるときは、「データセンターの床面積」だけでなく、そこへどれだけ電力を供給できるのかを見ることも重要になってきます。
停電しない仕組みをつくる|UPS・非常用発電設備
そこでデータセンターには、前に見たUPSや非常用発電設備を用意します。通常の電源が止まったときにはUPSが一時的に電力をつなぎ、その間に非常用発電機などへ切り替えることで、サーバーの突然の停止を防ぎます。
ここにも関連企業があります。
三菱重工グループはデータセンター向けに非常用発電システムを展開しており、非常用発電設備への引き合い増加を受け、2025年には大容量設備に特化した営業体制も立ち上げています。同社は発電、配電、冷却、制御まで含めたデータセンター向けソリューションを展開しています。
AIやデータセンターと聞くとIT企業を想像しがちですが、こうした「止めないための設備」からも関連企業が見えてきます。エネルギー機器や大型インフラまで幅広く手掛ける事業構造については、三菱重工の強みでも詳しくまとめています。
サーバーを置く前に「冷やす仕組み」までつくる
サーバーやGPUは大量の熱を発生させるため、先にそれを冷やす仕組みを用意する必要があります。
特にAIデータセンターではGPUが高密度化しているため、「どれだけサーバーを置けるか」と「どれだけ冷やせるか」がセットで考えられるようになっています。
サーバーを冷やす|空調・液冷設備をつくる
AI向けGPUが高密度化したことで、液冷への対応も急速に進んでいます。NTTは液冷対応設備をグローバルで250MW提供しており、東京都心で2029年度下半期に開業予定のAIデータセンターでも液冷フロアを標準装備する計画です。
KDDIも大阪堺データセンターで既存の大規模な冷却設備を再利用しています。データセンターの冷却は、完成してからエアコンを追加するようなものではなく、施設そのものの設計段階から考える設備ということです。
GPU・サーバーを設置する|ここで初めて計算機が入る
一般的な企業システムを動かすサーバーもあれば、生成AIのような大量の計算に使う高性能GPUサーバーもあります。
KDDIの大阪堺データセンターでは、2026年1月から高性能なAIサーバーを備えた施設が稼働しています。NTTもAI用途の拡大に向けて、GPU・ネットワーク・電力などのリソースを一体で最適化するインフラを展開しています。
ここまで見ると、GPUはデータセンター投資の重要部分ではありますが、GPUだけ購入してもAIデータセンターはつくれないことが分かります。
最後に「通信」でつなぎ、データセンターとして運営する
最後に重要になるのが通信です。
データセンター内部のサーバー同士だけでなく、ほかのデータセンター、クラウド、企業、そして私たちのスマートフォンまで大量のデータを届ける通信網をつくります。
光ファイバーで世界とつなぐ|大量のデータを運ぶ
住友電工は2026年4月、AIデータセンターの高密度配線に向けて、1本のファイバー内に複数の光の通り道を持たせるマルチコア光ファイバーの共通仕様策定に向けた協業を開始しました。同社は、AIインフラの拡大によって高密度光ネットワークへの需要がかつてない規模で高まっていると説明しています。
ここまでくると、なぜ電線会社がデータセンター関連銘柄として名前を挙げられるのかも自然につながります。
データセンターを「建物」として見るだけでは光ファイバーは見えてきませんが、大量の計算結果を外へ届ける施設と考えれば通信設備が不可欠だからです。光通信から電力インフラまで支える事業については、住友電工の強みでも詳しくまとめています。
データセンターを運営する|完成してからが本当のスタート
24時間365日、電力や冷却設備に異常がないか監視し、サーバーを保守し、セキュリティを守りながら運営し続ける必要があります。
例えばコロケーションというサービスでは、データセンター事業者が電力・冷却・通信・セキュリティの整った場所を用意し、そのスペースへ顧客企業が自分のサーバーを置きます。コロケーションとは、簡単にいえば「安全にサーバーを置いて動かせる場所を借りるサービス」です。
NTTは国内47都道府県で160拠点以上のデータセンターを展開しており、今後も国内のIT電力容量を大幅に拡張する計画です。
つまりデータセンター関連銘柄には、建設時に一度だけ需要が発生する企業だけでなく、施設を運営し続けることで継続的に収益を得る企業もあります。この違いは、後ほど関連銘柄を比較するときに重要になります。
通信網だけでなくAI基盤やデータセンター運営まで手掛ける事業構造については、NTTの強みでも詳しくまとめています。
データセンターへの投資は多くの企業へ広がっていく
土地を用意する会社。
建物を建てる会社。
電力を届ける会社。
停電に備える設備をつくる会社。
サーバーを冷やす会社。
GPUやサーバーを供給する会社。
光ファイバーでつなぐ会社。
そしてデータセンターを運営する会社。
私も最初は「データセンター関連銘柄=データセンターを持っている会社」くらいに考えていました。
しかし本当に見るべきなのは、データセンターへの設備投資が増えたとき、そのお金がどの企業のどの商品・サービスへ流れるのかです。
この流れが分かれば、次に企業名を見たときも「なぜこの会社がデータセンター関連銘柄なのか」を自分で考えやすくなります。

データセンターは建物を建ててサーバーを置くだけではないんですね。土地から電力、冷却、通信、運営まで追うと、関連する企業が一気に見えてきます。
データセンター関連銘柄|どんな企業が関わっている?
私も最初は、データセンター関連銘柄と聞くと、NTTやさくらインターネットのようにデータセンターそのものを運営している企業を思い浮かべていました。
しかし実際にデータセンターを一つつくろうとすると、土地を確保し、建物を建設し、大量の電力を届け、停電に備え、サーバーを冷やし、GPUを設置し、光ファイバーで外部とつなぐ必要があります。
つまりデータセンター関連銘柄には、
データセンターそのもので稼ぐ企業だけでなく、データセンターへの設備投資が増えることで製品やサービスの需要が増える企業も含まれるわけです。
2026年時点でも、この流れは実際の企業投資として表れています。NTTは国内データセンターのIT電力容量を現在の約300MWから2033年度に約1GWへ拡張する計画を示し、さくらインターネットは石狩でBlackwell GPU約1,100基を搭載したAIインフラを稼働。KDDIも大阪堺データセンターを2026年1月に稼働させています。
こうした投資が増えると、そのお金は建設、電線、電源設備、冷却、不動産などへ流れていきます。
データセンター関連銘柄を、データセンターのどこを支えている企業なのかという視点で整理すると、次のようになります。
ただし、この表だけを見て「全部データセンター関連だから買えばいい」と考えるのは危険です。
同じデータセンター関連銘柄でも、データセンター需要が会社の利益へ届く距離はまったく違うからです。
データセンター関連銘柄は「関連度」で考える
私は大きく3段階に分けて考えると分かりやすいと思います。
データセンターそのものを提供して料金を受け取る企業。データセンターが建設されると設備や製品が売れる企業。そしてデータセンターの拡大によって間接的に需要が増える可能性がある企業です。
この距離感を意識するだけでも、「AIデータセンター関連」というニュースだけで飛びつくことはかなり減らせると思います。
データセンターそのもので稼ぐ企業
利用企業からデータセンターの利用料、クラウド利用料、GPU利用料などを受け取るため、データセンター需要が売上へ比較的直接つながりやすいタイプです。
NTT、さくらインターネット、KDDIなどが代表例になります。
ただし、同じ直接型でも会社全体への影響は違います。デジタルインフラが事業の中心にある企業と、通信など巨大な事業を持つ企業では、データセンターの成長が会社全体の利益へ与えるインパクトも変わります。
建設・設備投資が増えるほど需要が増えやすい企業
建設会社、電線会社、UPSメーカー、空調設備会社などがここに入ります。
新しいデータセンターが建設されたり、既存施設がAI対応へ更新されたりすれば、建物、光ファイバー、電源設備、冷却設備などへお金が使われます。
つまりこのタイプでは、データセンターの利用者数より、データセンターへの設備投資がどれだけ増えているかを見る方が業績との関係を理解しやすくなります。
データセンター拡大から間接的に恩恵を受ける企業
分かりやすいのが電力会社です。
データセンターが増えれば電力需要は増えます。しかし「電気を大量に使う施設が増えた=そのまま電力会社の利益が大きく増える」とは限りません。
新しい発電設備や送電網への投資、設備維持費、料金制度なども関係するためです。
このタイプほど、「関連している」という事実と、「実際に利益が増える」という話を分けて考える必要があります。
データセンター運営関連銘柄
この分野を見るときは、「データセンターを持っているか」だけではなく、どれくらいの規模を持ち、AI向けGPU、高密度電力、液冷、高速ネットワークといった新しい需要へ対応できるかまで見ることが重要です。
NTT|データセンターをAI時代の中核インフラへ
2026年4月時点で、NTTグループは国内47都道府県に160拠点以上のデータセンターを展開しています。さらに国内のIT電力容量を現在の約300MWから2033年度には約1GWへ3倍超に拡大し、印西・白井エリアでは最終的に約250MWの大規模データセンターキャンパスを整備する計画です。
そしてNTTの場合、単にサーバーを置く場所を提供するだけではありません。
GPU、ネットワーク、電力などを利用目的に合わせて最適化し、AI時代の計算基盤として一体的に提供する「AIOWN」への転換を進めています。
私はここにNTTの面白さがあると思っています。データセンター単体ではなく、通信網、光技術、AI基盤までつなげることで、データセンターをデジタル社会全体のインフラへ広げられる可能性があるからです。
データセンターだけでなく、通信、AI、光技術までつながるNTTの事業構造については、NTTの強みでも詳しくまとめています。
さくらインターネット・KDDI|GPUの計算能力をサービスに変える
2026年2月には石狩データセンター敷地内のコンテナ型施設で、NVIDIA Blackwell GPU約1,100基を搭載したAIインフラを稼働しました。同社の生成AI向けクラウド「高火力」などを通じ、大規模なGPUリソースを利用者へ提供しています。
KDDIも2026年1月に大阪堺データセンターを稼働しています。特徴的なのは、旧シャープ堺工場に存在した大規模な電力・冷却設備を再利用してAIデータセンターへ転換していることです。
この2社を見ると、AIデータセンターでは「GPUを持っていること」だけでは十分ではないことが分かります。
GPUを安定して動かせる場所を用意し、その計算能力を利用者へ継続的なサービスとして販売できるかまでが重要です。
建設・不動産関連銘柄
ただし建設会社や不動産会社の場合、データセンター運営企業のように利用料を直接受け取るわけではありません。建設工事の受注や土地・施設の開発によって需要を取り込むことになります。
大林組・大成建設|データセンターを建てるゼネコン
大林組はデータセンターの立地選定から計画、設計、施工までを一体で提供し、災害への強さ、省エネルギー、電源設備なども含めたデータセンター建設のノウハウを蓄積しています。
大成建設も、国内建築事業の主要分野としてオフィスや工場と並びデータセンターを挙げています。
ただしゼネコンを見るときには注意も必要です。
大手建設会社はデータセンターだけでなく、オフィス、工場、再開発、物流施設、土木工事など幅広い事業を持っています。
そのため「データセンター建設が伸びる」だけで判断するのではなく、実際の受注高や受注残の中でデータセンター案件がどれくらい会社全体に影響するのかを見る必要があります。
三井不動産|土地とデータセンター開発で関わる
三井不動産は2026年7月、データセンター開発への累計投資額を2035年までに6,000億円超へ拡大する方針を公表しました。関西北摂や関東多摩エリアで新規開発を予定するほか、コロケーション事業など新しい領域への進出も検討しています。
ここで興味深いのは、データセンターを単独の建物としてつくるだけではなく、土地、道路、周辺施設、地域との共存まで含めて考えられることです。
私はAI時代の不動産会社を見るとき、「ビルを建てる会社」という見方だけでは足りなくなっていくと感じています。データセンターや物流施設、半導体関連施設など、社会の新しいインフラをどこへ配置するかを考える会社として見る必要があるからです。
データセンターを含め、AI時代の街づくりまで広げて考えた三井不動産の事業については、三井不動産の強みでも詳しくまとめています。
電線・光通信関連銘柄
前に見たように、GPUを大量に並べるほどGPU同士で交換するデータ量も増えます。さらにデータセンター同士をつなぐ通信量も増えるため、より高速で、より多くの光ファイバーを限られたスペースへ収める技術が必要になります。
フジクラ|AIデータセンター需要が光配線へ流れる
同社は2026年の年頭メッセージで、生成AIの普及・拡大によるデータセンター投資が活況となり、情報通信事業部門の利益が計画を大きく上回ったと説明しています。
また、限られた管路へ大量の光ファイバーを収めるため、13,824心という超多心光ファイバーケーブルも商用化しています。
つまり、
GPUが増える
→ データ通信量が増える
→ 高密度な光配線が必要になる
→ 光ファイバーや接続部品の需要につながる
という関係です。
ここまで需要の流れを追えると、「AI関連だからフジクラ」ではなく、AIの成長がどの商品へ売上として流れているのかまで理解できるようになります。
住友電工・古河電工|通信だけでなく周辺設備まで支える
2026年に公表した中期経営計画2028では、生成AIによるハイパースケールデータセンター投資の増加を背景に、超多心光ケーブルや高密度光コネクタ、光デバイスなどを強化し、北米市場でのシェア拡大を目指しています。
一方で、ここには投資家として見ておきたい注意点もあります。
住友電工は2026年6月の決算説明会Q&Aで、次世代技術として期待されるマルチコアファイバーについて、顧客が既存技術でデータセンターを早く立ち上げたいというニーズもあり、採用時期が従来想定より遅れていると説明しています。
つまり「次世代技術を持っている」ことと、「すぐに大きな売上になる」ことは同じではありません。
光ファイバーだけでなく電力ケーブルや自動車部品まで幅広く社会インフラを支える住友電工の事業については、住友電工の強みでも詳しくまとめています。
古河電工も興味深い企業です。光ファイバーや光コネクタに加え、CPU・GPUの発熱を処理する冷却分野も展開しており、会社資料ではデータセンター向け放熱・冷却システムの売上が2022年度比で約3.5倍まで拡大しています。水冷製品についても2026年9月から量産を開始する計画です。
さらにデータセンター同士を国境を越えてつないでいくと、光通信は海底ケーブルへつながります。世界の通信インフラをシステム側から支える企業については、NECの強みでも詳しくまとめています。
電源設備・冷却関連銘柄
GPUを増やしても安定した電気を届けられなければ動きませんし、発生する熱を処理できなければ計算能力を十分に使うこともできません。
ここから電機メーカーや空調・冷却関連企業が、データセンター関連銘柄として見えてきます。
富士電機|UPSから冷却へデータセンター需要を取り込む
同社は大容量UPSなどを成長分野として強化しており、富士電機レポート2026では、データセンター向け大容量UPSを2025年度の開発成果として挙げています。さらに水冷サーバーの冷却コスト低減を狙ったエジェクタ冷却機を2026年度に発売する計画です。
つまり富士電機を見る場合、
データセンター増加
→ UPSなど電源設備の需要
だけではなく、
AIサーバー高密度化
→ 冷却設備の需要
という複数のルートから需要が流れる可能性があります。
一つの企業がデータセンターの複数部分を支えている場合、どの製品が実際に成長しているのかを見ることが重要です。
高砂熱学工業・三菱重工|冷却と電源からAIを支える
データセンターではサーバーの配置や発熱量に応じて空調を最適化する必要があり、高砂熱学はデータセンター向けの壁吹出し方式空調や、運用段階まで含めた診断・チューニングを提供しています。
2025年にはIIJの白井データセンターキャンパスで、建物設計、外気冷房、空調制御などを組み合わせた省エネの取り組みも公表しています。
一方、三菱重工グループは電源、冷却、配電、制御などを組み合わせたデータセンター向け事業を成長分野として進めています。同社の最新の有価証券報告書でも、生成AIなどによるデータセンター需要の増加と、電力・冷却・配電設備の供給不足を課題として挙げています。
AIやデータセンターと聞くとIT企業ばかりに目が向きますが、こうした「止めないための設備」をたどると、重工業メーカーまで関連してくる理由が分かります。
発電設備やエネルギーインフラ、データセンター向け設備まで広がる事業については、三菱重工の強みでも詳しくまとめています。
電力関連銘柄
データセンターが大量の電力を使うのは事実ですが、「電力会社だからデータセンター関連銘柄」と単純に考えるべきではありません。
どの地域にデータセンターが建ち、どれくらい新しい電力需要が生まれるのか。その需要を取り込むために送電網や発電設備へどれくらい投資が必要なのか。さらに、会社自身がデータセンター事業へ踏み込んでいるのかまで見る必要があります。
J-POWER|電力供給からAIデータセンターそのものへ
同社は単に電力を供給するだけではなく、日立などとAI用データセンターの構築・運用を検討しています。2026年4月には複数地域へ分散したAIデータセンターを光ネットワークでつなぎ、電力需給に合わせて計算負荷を移動させる仕組みの共同検討も開始しました。
これは、前に触れたワット・ビット連携を企業レベルで考える分かりやすい例でもあります。
電気を必要な場所へ送るだけではなく、電力がある場所へ計算能力を配置し、その計算結果を高速通信で運ぶという考え方です。
つまりJ-POWERの場合、
発電・電力インフラ
+
AIデータセンター
+
光通信
という新しい接点が生まれ始めています。
東北電力|宮城AIデータセンターという新しい動き
東北電力は宮城県七ヶ浜町の自社遊休地に「宮城AIデータセンター」を整備し、2026年7月24日に竣工。7月31日から次世代型高性能GPUサーバー向けのハウジングサービスを開始しました。
同施設には安定した電源、高効率な冷却、低遅延ネットワークを備え、将来的な水冷対応も見据えています。
これは単に「データセンターへ電気を売る」だけではありません。
自社が持つ土地と電力という資産を使い、AIインフラそのものを新しいサービスへ変えようとしている例です。
私はこうした動きが増えると、「電力会社=発電して電気を売る会社」という見方も少しずつ変わっていく可能性があると感じています。
ただし投資家としては、まだ新しい事業であることも忘れてはいけません。データセンターを始めたという事実だけではなく、実際に顧客が集まり、どこまで収益規模を拡大できるのかを確認していく必要があります。
半導体・サーバー関連銘柄
生成AIを動かすには大量のGPUが必要で、その代表的な企業がNVIDIAです。
ただしこの記事は日本株を中心に考えているので、NVIDIAそのものを深掘りするのではなく、GPU需要を起点として、その周辺へどんな設備投資が広がるのかを見る方が重要だと思います。
NVIDIA|GPUが売れた「その次」まで見る
GPUが大量に導入されれば、
GPU
→ 電力
→ 電源設備
→ 冷却
→ 光通信
→ データセンター建設
と、その周囲にも設備投資が生まれます。
私は以前なら、「AIが伸びる=GPUが売れる」で考えが止まっていました。
しかしデータセンターの仕組みを知ると、GPUのニュースを見たときにも、「そのGPUを実際に動かすため、次に何が必要になるのか」を考えられるようになります。
そこまで需要をたどることが、日本株のデータセンター関連銘柄を探すうえではかなり重要だと思います。
「関連銘柄」ではなく需要が利益へ流れる道を見る
NTTやさくらインターネットのように、データセンターやGPUサービスから比較的直接収益を得る企業があります。フジクラや富士電機のように、データセンターへの設備投資が増えることで光ファイバーやUPSなどの製品需要が増える企業もあります。そして電力会社のように、データセンターとの関係はあるものの、利益までの道筋をもう一段深く確認する必要がある企業もあります。
私がこの章で一番大切だと感じたのは、「データセンター関連銘柄」という名前そのものには、それほど大きな意味はないということです。
投資家として見るべきなのは、
データセンターへの投資が増える
↓
何が必要になるのか
↓
その製品・サービスをどの企業が提供しているのか
↓
その会社の売上がどれくらい増えるのか
↓
最終的に利益がどれくらい増えるのか
という流れです。
例えばAIデータセンターが増えて光ファイバー需要が伸びても、その会社全体に占める光通信事業が小さければ、業績への影響は限られるかもしれません。反対に、データセンター向け製品の利益率が高く、受注が大きく増えている会社なら、市場拡大が企業価値へつながりやすくなる可能性があります。
つまり大切なのは、「この会社はデータセンター関連ですか?」で終わることではありません。
「その会社はデータセンターのどの部分を支えていて、需要拡大をどう利益へ変えるのか?」
ここまで考えて、初めて投資先として企業を比較できるようになるのだと思います。

データセンター関連銘柄といっても、会社によって関わり方が全然違うんですね。「何を売って、需要がどう利益になるのか」まで見ることが大切なんですね。
データセンター関連銘柄に投資するときは何を見る?
では、その中から実際に投資先を探すときは何を見ればいいのでしょうか。
私も以前なら、「AIデータセンター市場が伸びる」「データセンター投資が増える」というニュースを見ると、そのテーマに関係している企業なら業績も伸びるような気がしていました。
しかしここまで調べて分かったのは、市場が成長することと、その会社の利益が増えることは別の話だということです。
例えばデータセンター建設が増えても、その会社の売上全体に占めるデータセンター関連事業が小さければ、会社全体への影響は限られます。反対に、データセンター向けの製品が高い利益率を持ち、受注が増え、生産能力まで拡大している企業なら、市場成長が業績へ大きくつながる可能性があります。
さらにデータセンターそのものにも、電力を確保できるのか、送電網の整備にどれくらい時間がかかるのか、GPUを冷やせるのかといった制約があります。資源エネルギー庁も、データセンターの大規模化によって系統整備のコストや時間が増えることを課題として挙げています。
つまり投資家として見るべきなのは、
市場が伸びる
→ 会社の商品・サービスが売れる
→ 売上が増える
→ 利益が増える
→ 企業価値の向上につながる
という一連の流れです。
この章では、「データセンター関連」という名前だけで判断しないために、私ならどこを確認するかを整理していきます。
まず「データセンターが会社の何%を占めるか」を見る
同じデータセンター関連銘柄でも、会社によって影響の大きさはまったく違います。
データセンターそのものを運営する会社なら、施設の増設や利用率の上昇が比較的直接売上へつながります。一方、大手ゼネコンのようにオフィス、工場、再開発、物流施設など幅広い案件を手掛けている会社では、データセンター建設が伸びても会社全体への影響は限定的かもしれません。
電線メーカーでも同じです。
AIデータセンター向け光ファイバーが伸びているとしても、会社全体に占める情報通信事業の比率や、その事業の利益率によってインパクトは変わります。
つまり私は、「この会社はデータセンター関連か?」ではなく、
「データセンター需要が伸びたら、この会社のどの事業が、どれくらい動くのか?」
を見ることが重要だと思っています。
例えば住友電工は光通信だけでなく、自動車、電力インフラ、産業素材など幅広い事業を持っています。こうした多角化企業では、一つのテーマだけを見るのではなく会社全体の事業構成まで理解する必要があります。幅広い事業を持つ住友電工をどう見るかについては、住友電工の強みでも詳しくまとめています。
売上が増えるだけでなく「利益が増えるか」を見る
データセンター関連では特に、新しい工場を建てる、生産設備を増設する、GPUを大量に購入する、データセンターそのものを建設するといった大きな先行投資が必要になる場合があります。
例えば売上が100増えたとしても、そのために設備、人員、電力などへ90追加で必要になれば、利益として残るのは10です。
反対に、一度設備を整えた後に利用者が増えることで収益性が高まるビジネスもあります。
そのため私は、
売上高
→ 営業利益
→ 営業利益率
→ キャッシュフロー
まで見ることが大切だと思っています。
「データセンター向け売上が○%増えた」というニュースだけではなく、その売上がどれくらい利益として残っているのかを見るわけです。
将来の売上を見るなら「受注残・設備投資計画」を見る
例えば建設会社なら、すでに受注しているデータセンター案件がどれくらいあるのか。電線メーカーなら、AIデータセンター向け製品の受注が伸びているのか。電源・冷却メーカーなら、生産能力を増やすために設備投資を進めているのかを見ることができます。
売上は「すでに起きたこと」を表す場合が多いですが、受注残にはこれから売上になる可能性がある仕事が含まれます。
もちろん受注したから必ず大きな利益になるとは限りません。しかし、
需要が増えている
→ 受注が増える
→ 生産能力を増やす
→ 売上・利益へつながる
という流れが確認できれば、「AIデータセンター関連」というテーマだけではなく、実際の企業活動として需要が表れていることが分かります。
NTTが国内データセンターのIT電力容量を現在の約300MWから2033年度に約1GWへ拡大する計画を示しているのも、まさに将来需要を見据えた設備投資の一例です。
データセンターだけでなく通信網やAI基盤まで含めて設備投資を進めるNTTについては、NTTの強みでも詳しくまとめています。
電力・冷却・通信の「制約」も確認する
特にAIデータセンターでは、大量の電力を確保できるかが大きな問題になります。
資源エネルギー庁は、データセンターの増加によって今後の電力需要が増えると見込んでおり、電力インフラと通信インフラを一体で整備する「ワット・ビット連携」を進めています。送電網を新たに整備する場合には大きなコストと時間が必要になるため、電力供給に余裕のある地域へデータセンターを誘導する考え方も示されています。
さらにGPUが高性能化すれば、同じラックでも必要な電力と冷却能力が大きくなります。NTTも、GPUの高性能化によってラック当たりの必要電力量が急増し、液冷への対応が求められていると説明しています。
ここが面白いところで、ある企業にとっての制約が、別の企業にとっての需要になることがあります。
電力不足
→ 電源設備が必要になる。
発熱が増える
→ 液冷設備が必要になる。
通信量が増える
→ 光ファイバーが必要になる。
つまり「何が足りなくなるのか」を考えることも、次のデータセンター関連銘柄を探すヒントになります。
大きな設備投資は「成長」と「リスク」の両方を見る
しかし投資家としては、設備投資が大きければ大きいほど良いとは限らないことも覚えておきたいところです。
データセンターを建てるには土地、建物、電源設備、冷却設備、GPUなどへ巨額の資金が必要です。
その施設が高い稼働率を維持できれば収益を生みますが、需要予測が外れたり、技術が変化したり、競争が激しくなったりすれば、設備投資を回収するまでに時間がかかる可能性があります。
特にGPUは技術進化が速いため、「高価な設備を購入した」というニュースだけではなく、
どれくらい利用されているか
どれくらい料金を取れるのか
投資資金を何年で回収できるのか
まで考える必要があります。
データセンター運営企業を見る場合は、設備の規模だけではなく、稼働率や顧客獲得、投資回収まで含めて見ることが重要だと思います。
最後は「株価にどこまで期待が織り込まれているか」を見る
AIデータセンターというテーマが注目されると、その企業の将来成長を期待して株価が先に大きく上昇することがあります。
その場合、会社の業績が実際に伸びても、すでに株価へ十分織り込まれていれば株価がさらに上がるとは限りません。
反対に、データセンター需要の恩恵がまだ市場から十分評価されていない企業で、実際に売上や利益が増えてくれば、評価が変わる可能性があります。
だから私は、
良い会社を探すこと
+
良い価格で買うこと
の両方が必要だと思っています。
PERやPBRといった株価指標だけで答えが出るわけではありませんが、少なくとも「AI関連だから」「データセンター関連だから」という理由だけで高値を追いかけないことは意識したいところです。
データセンター関連銘柄は「5つの問い」で確認する
私は企業を見るとき、まず次の5つを自分に問いかければいいと思っています。
- その会社はデータセンターの何を支えているのか
- データセンター需要が会社全体の業績へどれくらい影響するのか
- 実際に受注・売上・利益は伸びているのか
- 設備投資をきちんと回収できるのか
- その成長期待はすでに株価へ織り込まれていないか
この5つを確認するだけでも、「データセンター関連銘柄○選」という一覧を見るだけの投資から、一歩先へ進めると思います。
私もこの記事を書く前なら、「AIが伸びるから電線株」「データセンターが増えるから電力株」というところで考えが止まっていました。
しかし企業研究で本当に知りたいのは、その先です。
需要が生まれる。
その需要を企業が受け取る。
売上になる。
利益になる。
そして、その利益に対して今の株価が高いのか安いのかを見る。
ここまでつながって、初めて「投資先として面白い会社なのか」を考えられるようになるのだと思います。

市場が伸びるだけでは投資理由として十分ではないんですね。需要がその会社の売上、利益へどう届くのか、そして株価まで確認することが大切ですね。
データセンターはなぜ電力インフラまで変えるのか
しかし調べていくと、問題は「データセンターの電気代が高くなる」という話だけではありませんでした。
AIやクラウドの利用が広がり、大規模なデータセンターが各地で計画されるようになると、日本全体の電力需要、送電網、発電設備、そしてデータセンターをどこにつくるかという立地そのものにも影響するようになります。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)が2026年1月に公表した需要想定でも、人口減少や省エネによる需要減少を上回り、データセンターや半導体工場の新増設などによって、日本の電力需要は今後増加していく見通しが示されています。
これは日本にとってかなり大きな変化です。
これまで人口減少や省エネによって「電力需要は減っていく」と考えられていた日本で、AIや半導体によって再び大量の電力を必要とする産業が生まれ始めているからです。
そして投資家として考えると、この変化はデータセンター運営会社だけの話ではありません。
発電する企業。
電気を送る企業。
変電設備をつくる企業。
大量の電力を安定させる企業。
そして、電力を効率よく使う設備をつくる企業。
AIの成長を電力側から見ていくと、さらに多くの企業とのつながりが見えてきます。
日本の電力需要は「減る前提」から変わり始めている
ところが、AI、データセンター、半導体工場など、大量の電力を必要とする産業が拡大したことで状況が変わり始めています。
OCCTOの2026年度需要想定では、2025年度から2035年度にかけて最大電力需要は年平均0.4%、需要電力量は年平均0.5%増加する見通しです。データセンター・半導体工場の新増設が、人口減少や省エネによる需要減少を上回る要因の一つとして挙げられています。
一見すると0.4%や0.5%は小さく感じます。
しかし重要なのは、日本全体の電力需要の方向が再び増加側へ向かっていることです。
さらにデータセンターの電力需要には、住宅とは違う特徴があります。
大量のGPUやサーバーを24時間365日動かすため、一定規模の電力を長時間安定して使い続けます。
つまりデータセンターが増えると、「年間で何kWh必要になるか」だけではなく、その場所へ大量の電力を継続して届けられる設備があるかまで問題になります。
問題は「日本に電気があるか」だけではない
しかし実際には、それだけではありません。
発電所で電気をつくれても、データセンターを建てたい場所まで、その大量の電気を届けられる送電線や変電設備がなければ使えないからです。
例えば東京周辺に大規模データセンターを集中させれば、その地域へ大量の電力を送るために送電網を増強しなければならない場合があります。
経済産業省も、データセンターのような局地的な大規模需要について、系統接続や送配電網整備が課題になっているとしています。2026年3月の資料では、データセンターの電力需要が今後10年間で約5GW増える見通しが示される一方、場所によっては電力系統への接続に10年以上かかるケースもあるとされています。
つまりデータセンターにとっては、
土地がある
+
通信できる
+
大量の電力を早く確保できる
この3つがそろうことが重要になってきます。
「電気を運ぶ」より「データを運ぶ」という発想
これまでは、
データを使う都市の近くへデータセンターをつくる
→ そこまで大量の電気を運ぶ
という発想が中心でした。
しかし大量の送電線を新しく整備するには、時間も費用もかかります。
それなら、
電力を確保しやすい場所へデータセンターをつくる
→ 計算したデータを高速な光通信で都市へ届ける
という考え方もできるわけです。
資源エネルギー庁は、送電線を新設・増強するより光ケーブルを整備する方が一般的に準備期間が短く、コストも抑えやすいとして、電力インフラと通信インフラを一体で考える「ワット・ビット連携」を進めています。
私はここを知ったとき、データセンターと光通信がさらに強くつながりました。
電気を遠くまで運ぶのではなく、電気がある場所で計算して、結果を光で運ぶ。
この考え方が進めば、データセンターの立地そのものが変わる可能性があります。
データセンターは都市部から地方へ分散する?
現在は東京や大阪など大都市圏周辺に多くのデータセンターがあります。
これは利用者や企業に近く、通信遅延を小さくしやすいことなどが理由です。
しかしAIの学習処理のように、必ずしも利用者のすぐ近くで計算する必要がない用途もあります。
高速な光通信がさらに発達すれば、電力を確保しやすい地方へ計算設備を置き、都市部とは通信でつなぐという選択肢が広がります。
資源エネルギー庁も、脱炭素電源が豊富で電力系統に余裕のある変電所の近くなどへデータセンターを誘導し、通信インフラも一体で整備する方向性を示しています。
ここから考えると、「データセンター関連銘柄」を探すときにも、東京の不動産や通信会社だけを見る必要はありません。
地方に土地や電源を持つ企業、地域の通信網を持つ企業、電力とデータセンターを組み合わせられる企業にもチャンスが生まれる可能性があります。
実際、東北電力が宮城県七ヶ浜町の自社遊休地を活用してAIデータセンター事業へ進出した例も、土地と電力を持つ企業がAIインフラへ踏み込むという流れの一つとして見ることができます。
データセンターと「脱炭素電源」はセットで考える時代へ
AIデータセンターが増えれば電力需要は増えます。
しかし日本が脱炭素を進める中で、その増加分をすべてCO₂排出の多い電源で賄えば、AIの成長と脱炭素政策がぶつかってしまいます。
そのため国は、データセンターなど大量に電気を使う産業を、脱炭素電源を活用しやすい地域へ誘導する考え方も進めています。2025年に閣議決定されたGX2040ビジョンでも、「エネルギー供給に合わせた需要の集積」という方向性が示されています。
ここで覚えておきたいのは、特定の発電方式だけが答えということではありません。
再生可能エネルギー、原子力、火力の脱炭素化、蓄電設備など、それぞれに役割や課題があります。
データセンター運営企業から見れば重要なのは、大量の電力を安定して確保でき、その電力の脱炭素化も進められるかです。
AIの成長を考えるとき、半導体だけでなくエネルギー企業まで見る必要がある理由がここにあります。
エネルギーの安定供給という視点では、天然ガスなどのエネルギー資源から電力まで社会を支える企業について、INPEXの強みでも詳しくまとめています。
また、発電設備や電力インフラそのものを支える企業については、三菱重工の強みでも詳しくまとめています。
投資家は「電力が足りない」で終わらせない
単純に、
AIが伸びる
→ 電力需要が増える
→ 電力会社が儲かる
と考えるだけでは十分ではありません。
大量の電力需要が生まれれば、発電設備が必要になります。送電線や変電所を増強する必要があるかもしれません。電力を確保しやすい地域へデータセンターが移動する可能性もあります。そして高速な光通信によって、電気ではなくデータを運ぶという選択肢も広がります。
つまり投資家として見るなら、
どこで電力需要が増えるのか。
どの設備が不足するのか。
誰がその設備へ投資するのか。
その投資によって、どの企業の商品やサービスが必要になるのか。
まで考えたいところです。
私も最初は「データセンター=電気をたくさん使う施設」という理解で止まっていました。
しかし実際には、データセンターが増えることで、発電・送電・変電・通信、さらには産業そのものの立地まで変わる可能性があることが分かりました。
AIは画面の中だけの技術ではありません。
その裏側では、日本のエネルギーインフラまで少しずつ変わり始めています。

AIの電力需要が増えると、発電だけでなく送電や通信、データセンターを建てる場所まで変わるんですね。
電力の「その先」を見ることが大切ですね。
データセンターの課題|成長の裏側で何が問題になる?
しかし、データセンターは需要があるからといって、好きな場所へ好きなだけ増やせる施設ではありません。大量の電力、通信網、土地、冷却設備をそろえなければならず、24時間365日止めないための信頼性も求められます。
さらに日本では、データセンターの約90%が面積ベースで東京圏・大阪圏に集中しており、電力系統への負担や災害時のリスク、適した土地の不足なども課題になっています。国もデータセンターの国内立地を拡大する一方で、電力・通信・地域との共生まで含めて考える必要があるとしています。
私はここまで調べて、「データセンター市場が伸びる」というニュースを見るときほど、成長を止める可能性のあるものは何なのかも一緒に見る必要があると感じました。
なぜなら、その「足りないもの」や「解決しなければならない課題」の中に、新しい設備需要や企業のビジネスチャンスが隠れているからです。
電力・通信・土地がそろう「適地」は限られている
広い土地があり、大量の電力を早く確保でき、高速な通信網へ接続でき、災害リスクも考えられる場所でなければなりません。さらに規模によっては冷却に必要な設備や水資源なども考える必要があります。
つまり、条件を一つずつ見れば土地はたくさんあるように見えても、データセンターに必要な条件を同時に満たす場所は限られるということです。
資源エネルギー庁も、データセンターの過度な偏在による電力系統や環境、レジリエンスへの影響に加え、データセンター事業者が求める条件を満たす「適地」が不足していることを課題として挙げています。
ここは不動産を見るうえでも面白いところです。
単に広い土地を持っているだけではなく、電力・通信・道路・周辺環境まで含めてデータセンターを受け入れられる場所を開発できるかが価値になっていく可能性があります。
土地そのものではなく、データセンターや物流施設など社会インフラまで含めて街をつくる不動産会社の考え方については、三井不動産の強みでも詳しくまとめています。
東京・大阪への集中は災害時のリスクにもなる
日本では2023年時点で、データセンターの約90%が面積ベースで東京圏と大阪圏に集中しています。企業や利用者に近く、高速な通信網も整っているため合理的な面はありますが、あまりに一部地域へ集中すると別の問題も生まれます。
例えば大規模地震などによって一つの地域の電力や通信が大きく影響を受けた場合、そこへデジタルインフラが集中しているほど社会全体への影響も大きくなります。
データセンターは、動画やECだけではなく、金融、行政、企業システム、AIなどさまざまなサービスを動かしています。
だからこそ国も、大規模災害が起きてもデジタルインフラを維持するという観点から地域分散が重要だとしています。
これは「地方にデータセンターを建てれば地方創生になる」という単純な話ではありません。
電力と通信を確保しながら計算能力を複数地域へ分散できれば、日本全体のデジタルインフラを止まりにくくする意味もあるわけです。
電力を増やすだけでなく「省エネ」も求められる
しかし限りある電力をできるだけ有効に使うためには、データセンターそのものの省エネ性能を高めることも重要になります。
前に紹介したPUEも、そのための指標です。
資源エネルギー庁は2026年度提出分から、対象となるデータセンターについて電気使用量やPUE、今後の省エネ目標などの報告・公表を強化しました。さらに2029年度以降に新設する対象データセンターには、原則として稼働開始後の所定時期からPUE1.3以下を満たすことを求める仕組みも導入しています。
ここから投資家として見えてくるのは、データセンター市場が拡大するほど、単に「たくさん電気を使える設備」ではなく、
- 少ない電力で効率よく冷やす
- 電源設備での損失を減らす
- サーバーや通信機器を省電力化する
- 稼働状況に合わせて設備を効率的に制御する
といった技術の価値も高まるということです。
つまり電力不足は、発電設備だけでなく省エネ技術の需要も生み出すわけです。
通信・光技術によってネットワークそのものの省電力化まで進めようとしている企業については、NTTの強みでも詳しくまとめています。
データセンターは地域との共生も必要になる
そのため新しいデータセンターをつくるときには、事業者だけでなく、その地域で暮らす人たちとの関係も重要になります。
資源エネルギー庁も2026年の新しいデータセンター向け省エネ制度を説明する中で、国内立地を安定して進めるためには地域社会との共生が不可欠だとしています。データセンターの電力使用量やPUE、今後の目標などを事業者自身が公表する仕組みを強化する背景にも、周辺地域への情報発信という意味があります。
私はここも長期的には重要だと思っています。
企業から見ればデータセンターは成長投資でも、地域から見れば「なぜここに巨大な施設が必要なのか」「地域にはどんなメリットがあるのか」という疑問が出るのは自然です。
土地を使い、電力を使う以上、雇用、税収、地域インフラ、脱炭素、景観なども含めて地域に受け入れられる施設をつくれるかが、長期的にデータセンターを増やしていくための条件になると思います。
これはデータセンターを「建物」ではなく「街の一部」として見る視点でもあります。地域との共存まで含めて新しい街づくりを考える企業については、三井不動産の強みでも詳しくまとめています。
巨額の設備投資は「需要予測が外れるリスク」もある
AI需要が強いと、大規模なデータセンターを建設し、高価なGPUを大量に購入したくなります。
しかし建物や電源設備は、一度つくれば簡単には移動できません。GPUも技術進化が速く、新しい世代が登場すれば既存設備の競争力が低下する可能性があります。
さらに、想定していたほど顧客が集まらなければ、巨大な設備を持っていても十分な利用料を得られません。
つまり、
需要予測
→ 大規模投資
→ 顧客獲得
→ 高い稼働率
→ 投資回収
までつながって初めて、データセンターへの投資は企業の利益になります。
ここは前に見た「大きな設備投資=必ず成長ではない」という考え方と同じです。
むしろAIブームでデータセンター投資が急増しているときほど、どれくらいの顧客需要がすでに確保されているのか、設備がどれくらい利用されるのか、何年で投資を回収する計画なのかを見る必要があります。
データセンターの課題は「次に必要になるもの」を教えてくれる
むしろ投資家にとって面白いのは、課題があるからこそ、それを解決する商品やサービスへの需要が生まれることです。
電力が足りないなら、発電・送電・変電設備が必要になります。GPUの熱が増えるなら、液冷など新しい冷却技術が必要になります。都市部へ集中しすぎているなら、地方へ分散させるための光通信や新しい土地開発が必要になります。そして大量の電力を使うなら、省エネ技術や脱炭素電源の価値も高まります。
つまり、
課題
↓
解決する設備・技術
↓
企業への需要
という流れでもデータセンター関連銘柄を探せるわけです。
私はこの記事を書く前まで、「成長市場を探す」というのは需要が増えている産業を見つけることだと思っていました。
しかし実際には、成長することで何が足りなくなるのかを見ることも、企業を探す重要な方法なのだと思います。
データセンター市場がこれからさらに大きくなるなら、どの会社が施設を増やすかだけではなく、その成長を可能にするために、誰がボトルネックを解消するのかまで見ていきたいところです。

データセンターの課題は、成長を邪魔するものだけではないんですね。
何が足りなくなるのかを見ると、新しい企業需要も見えてきますね。
データセンターは今後どうなる?|AI時代の成長性を考える
しかし投資家として考えたいのは、「データセンター市場が伸びるらしい」で終わることではありません。
なぜこれからも必要になるのか。
どんなデータセンターが増えるのか。
必要になる設備はどう変わるのか。
そして、その変化によってどんな企業に需要が流れるのか。
ここまで考えて初めて、データセンターの「今後」が投資につながってくると思います。
2026年に入ってからも、日本ではAI向けデータセンターへの具体的な投資が続いています。NTTは国内のIT電力容量を現在の約300MWから2033年度に約1GWへ3倍超に拡大する計画を示し、さくらインターネットも石狩データセンターでBlackwell GPU約1,100基を搭載したAIインフラを稼働させています。単なる構想ではなく、すでに設備そのものが増え始めている段階です。
ただ、私はこれからの変化で特に重要なのは、データセンターが単純に「大きくなる」だけではないことだと思っています。
AIが研究や開発だけでなく、企業や行政、私たちの日常へ入り込んでいけば、計算する場所、電力を使う場所、データを保存する場所、そして利用者の近くで素早く処理する場所まで、データセンターの役割そのものが広がっていく可能性があります。
AIは「つくる」だけでなく「使う」時代へ
前に見たように、AIには大きく「学習」と「推論」があります。
これまでは巨大なAIモデルをつくるために大量のGPUを使う「学習」が注目されてきました。しかしAIが企業や社会へ普及すると、完成したAIを日常的に使う「推論」が増えていきます。
NTTも2026年4月、AIワークロードは学習中心から推論中心へ移行し、今後は企業活動や社会インフラへAIが組み込まれることで、推論需要の大幅な拡大が見込まれるとしています。
例えば、
企業が社内文書をAIで検索する。
工場がAIで設備異常を検知する。
金融機関がAIで大量のデータを分析する。
自治体がAIを業務へ利用する。
スマートフォンやサービスの中でAIが動く。
こうした利用が増えれば、AIモデルを一度つくって終わりではありません。
誰かがAIを使うたびに計算が発生するからです。
さくらインターネットも、生成AI活用の本格化によって大規模モデルの学習・推論を行う企業からの問い合わせが増加しているとしています。
私はここが、データセンターの長期的な需要を見るうえでかなり重要だと思っています。
AIブームが続くかどうかだけではなく、AIが社会の中でどれくらい日常的に使われるようになるのかを見る必要があるわけです。
データセンターは「巨大化」と「分散」が同時に進む
実際、大規模なAI学習では大量のGPUを一カ所へ集め、高速なネットワークでつなぐことが重要です。そのため大規模なデータセンターキャンパスは今後も必要になると考えられます。
一方で、すべてのAI処理を巨大データセンターへ集める必要があるわけではありません。
例えば利用者へ素早く回答したいAIや、機密性の高い企業データを扱うAIでは、利用場所に近いデータセンターや国内の計算基盤を使う方が適している場合があります。
NTTも今後、都市型・遠隔地型のデータセンターを組み合わせ、AIの学習から推論まで幅広い用途へ対応する多層的な基盤を構築する方針です。
さらに2026年6月には、北海道・石狩のデータセンターと東京を高速・大容量の光通信でつなぎ、AIの学習や推論を分散して処理できるかを検証する取り組みも発表されました。
つまり将来は、
巨大なデータセンターへ全部集める
だけではなく、
大規模計算は電力を確保しやすい場所
+
利用者に近い場所で必要な計算
+
それらを高速な光通信でつなぐ
という形へ広がっていく可能性があります。
データセンターの未来は「集中か分散か」の二択ではなく、用途に合わせて計算する場所を使い分ける方向なのだと思います。
「国内でAIを動かせること」の価値も高まる
少し難しい言葉ですが、簡単にいえば「自分たちの重要なデータを、どこの国・どの環境で保管し、処理するのか」という考え方です。
個人がAIで文章をつくるだけなら、普段はあまり意識しないかもしれません。
しかし金融、製造、行政、防衛などの重要なデータをAIへ使う場合、「機密情報をどこで処理するのか」は大きな問題になります。
2026年6月には、さくらインターネットとAcompanyが、国内データセンターのGPU環境でデータを秘匿したままAIの推論処理を行う検証に成功しています。両社は、金融・製造・公共などでも国内にデータを保持したままAIを利用できる可能性を示しています。
つまりデータセンターの価値は、
安い計算能力を提供できるか
だけではなく、
安全に使えるか
国内でデータを管理できるか
重要なシステムを任せられるか
まで広がっていく可能性があります。
私はここから、国内にデータセンターやAI基盤を持つこと自体が、企業だけではなく国にとっても重要なインフラになっていくのだと思います。
データセンターは「施設」から産業集積の核になる?
しかし今後は、電力・通信・土地をまとめて整備し、データセンターやAI関連産業を一つの地域へ集めるという考え方も進んでいます。
経済産業省はGX戦略地域制度で「データセンター集積型」を設け、電力と通信インフラを一体で整備しながらデータセンターを集積させ、それを核とした新しい産業クラスターをつくる方針です。2026年4月には北海道、秋田、宮城、栃木、茨城、富山、香川、福岡、鹿児島の9地域が有望地域として一次審査を通過しています。
ここで重要なのは、データセンターが単独で建つわけではないことです。
周囲には、
電力設備。
光通信。
道路。
建設。
冷却設備。
AI企業。
研究機関。
そこで働く人たち。
などが必要になります。
つまり将来、データセンターは一つの巨大な建物ではなく、新しい産業が集まる中心になる可能性もあるわけです。
これは不動産会社を見るときにも面白い視点です。データセンターを単独施設ではなく、AI時代の街や産業インフラの一部として考える視点については、三井不動産の強みでも詳しくまとめています。
高性能化するほど「周辺設備」の価値も上がる
高性能GPUを導入すれば、より多くの電力が必要になり、より多くの熱を処理し、より大量のデータを高速に運ぶ必要があります。
つまり将来のAIデータセンターでは、
GPUだけが進化しても意味がありません。
電源設備、液冷、光通信、サーバー、制御システムなど、施設全体が高性能化して初めてGPUの能力を生かせます。
NTTはAI向けGPUの高性能化を背景に液冷対応を拡大しており、ネットワーク・GPU・電力を統合して最適化するAI基盤への転換も進めています。
古河電工でもCPU・GPUの高発熱化を背景にデータセンター向け放熱・冷却システムの売上が2022年度比で約3.5倍へ拡大し、水冷製品の量産も計画されています。
これは、この記事で繰り返し見てきた
AI
→ GPU
→ 電力
→ 冷却
→ 通信
という需要の連鎖が、今後さらに重要になるということだと思います。
光通信から電力インフラまで幅広く支える企業については、住友電工の強みでも詳しくまとめています。
日本企業にもチャンスはある。ただし「どこで稼ぐか」を見る
GPUそのものでは海外企業の存在感が非常に大きいですが、実際にAIデータセンターを日本で増やそうとすると、日本企業が得意とする分野も数多くあります。
例えば、
光ファイバー・光デバイス
電線・送配電設備
UPS・電源設備
空調・液冷
建設・設備工事
不動産開発
データセンター運営
通信ネットワーク
です。
さらに2026年時点では、国も脱炭素電源と通信インフラを組み合わせたデータセンター集積地づくりを進めています。つまりデータセンター投資は、一社だけの成長ではなく、複数の産業へ資金が流れる可能性があります。
ただし、ここまで読んできたからこそ注意したいこともあります。
「日本企業だから恩恵を受ける」
「データセンター関連だから伸びる」
というわけではありません。
その会社がどの設備を提供しているのか。データセンター向け売上はどれくらいあるのか。受注は伸びているのか。利益率は高いのか。競争力を維持できるのか。
最後はやはり、需要がその会社の利益へ届く道を見る必要があります。
データセンターの未来は「もっと大きく」だけではない
これからAIが社会へ広がれば、大規模な学習用データセンターだけでなく、企業や利用者の近くで推論を行う設備、地方の電力を活用するデータセンター、安全に国内データを処理する基盤など、用途に応じてデータセンターそのものが多様化していく可能性があります。
そして、それらを支えるためには電力、冷却、光通信、土地、省エネ、セキュリティなども進化し続けなければなりません。
つまり、
AIが成長する
↓
計算する場所が増える
↓
データセンターの役割が広がる
↓
必要なインフラも変わる
↓
新しい企業需要が生まれる
ということです。
投資家として私がこれから見ていきたいのは、「データセンターが何棟増えるか」だけではありません。
AIがどのように社会へ広がり、その結果として次に何が必要になるのか。
ここまで追いかけることで、まだ「データセンター関連銘柄」と呼ばれていない企業にも、将来の成長につながる変化を見つけられるかもしれません。

AIが広がるほど、データセンターも一つの形ではなくなっていくんですね。
建物の数だけでなく、AIの使われ方から次に必要になるものを見ることが大切ですね。
まとめ|データセンター関連銘柄は「需要の流れ」から考える
私も調べる前は、データセンターと聞くと「たくさんのサーバーが並んでいる大きな建物」というくらいのイメージしかありませんでした。
しかし実際には、その建物を動かすために大量の電力が必要で、停電させない電源設備があり、サーバーから出る熱を逃がす冷却設備があり、大量のデータを運ぶ光通信があります。さらに、その施設を建てる土地や建設会社、24時間365日運営する企業まで関わっています。
そして生成AIが広がったことで、この一つひとつの重要性がさらに高まっています。
この記事を通して私が一番伝えたかったのは、「データセンター関連銘柄○選」という企業名を覚えることではありません。
AIやデータセンターの成長によって、
何が必要になるのか。
その需要がどの商品・サービスへ流れるのか。
その商品をどの企業が提供しているのか。
そして、それが本当に売上や利益につながるのか。
この順番で自分で考えられるようになることです。
データセンターは「サーバーを置く建物」ではない
しかし、それだけでは動きません。
サーバーへ電気を届ける。停電が起きても止めない。大量に発生する熱を冷やす。データを高速で外へ届ける。そして設備に異常がないか24時間365日監視する。
ここまでそろって初めて、私たちが普段使っているクラウドやAI、動画、EC、金融サービスなどを支えることができます。
つまり、
サーバー=計算する機械
データセンター=その機械を安全に動かし続ける場所
クラウド=その計算能力をインターネット経由で利用する仕組み
という関係です。
この違いを理解したことで、私は「クラウド化が進めば物理的な設備はいらなくなる」という考え方がむしろ逆だと分かりました。
利用者から設備が見えなくなっているだけで、その裏側では巨大な物理インフラが動いています。
AIが伸びると「必要なもの」が連鎖して増えていく
計算量が増えればGPUやサーバーが必要になります。GPUが増えれば大量の電力を使い、熱も増えます。熱が増えれば冷却能力が必要になり、多数のGPUを協調して動かすためには高速な光通信も必要になります。
そしてデータセンターそのものが増えれば、土地、建設、送電、変電、非常用電源、運営まで需要が広がっていきます。
つまり、
AI
→ GPU・サーバー
→ データセンター
→ 電力・冷却・光通信
→ 建設・土地・周辺インフラ
という流れです。
この構造を知っていれば、「AIが伸びそうだから半導体株を探そう」だけで終わらなくなります。
AIの成長によって次に足りなくなるものは何かまで考えられるようになるからです。
「データセンター関連」ではなく利益までたどる
例えばデータセンターが増えれば電力需要は増えます。
しかし、それだけで電力会社の利益が大きく増えるとは限りません。発電所や送電網への設備投資が必要になれば、同時にコストも増えるからです。
光ファイバー需要が増えても、その会社全体の中でデータセンター向け事業が小さければ、業績への影響は限定的かもしれません。
反対に、データセンター向け製品の受注が増え、その製品の利益率が高く、生産能力まで増強している企業なら、市場の成長が会社の利益へ届きやすい可能性があります。
だから見るべきなのは、
データセンター投資が増える
↓
必要な商品・サービスが増える
↓
企業の受注が増える
↓
売上が増える
↓
利益が増える
↓
その成長を今の株価がどう評価しているか
という流れです。
「この会社はデータセンター関連銘柄ですか?」ではなく、「この会社はデータセンターのどこで稼ぎ、その需要をどう利益へ変えるのか?」まで考える。
これができれば、テーマだけを追いかける投資から少し離れられると思います。
成長市場では「何が足りなくなるか」を見る
以前の私は成長企業を探すとき、
「これから何が伸びるのか?」
を中心に考えていました。
もちろんそれも重要です。
しかしデータセンターを調べていると、もう一つの見方があることに気付きました。
「成長した結果、何が足りなくなるのか?」
です。
AIが伸びたことでGPUが必要になりました。
GPUが増えたことで電力が問題になりました。
電力を使えば熱が増え、液冷が必要になりました。
データ量が増えれば光通信が必要になります。
都市部へデータセンターが集中すれば、送電網や土地が不足し、地方分散やワット・ビット連携という新しい考え方が生まれます。
つまり、
成長
→ ボトルネックが生まれる
→ 解決する技術が必要になる
→ 新しい市場が生まれる
ということです。
まだ市場から「データセンター関連銘柄」と強く認識されていない企業でも、そのボトルネックを解消する技術を持っていれば、将来大きな需要を取り込む可能性があります。
これから企業研究をするとき、私自身も「何が伸びるのか」だけではなく、「その成長によって次に何が足りなくなるのか」まで考えていきたいと思います。
データセンター関連銘柄を、自分で考えられるようになる
「AIが伸びているからデータセンターも増えるらしい」
「電線株や電力株がデータセンター関連らしい」
そのくらいの理解でした。
しかし一つずつ仕組みをたどってみると、なぜ電線会社がAIと関係するのか、なぜ重工業メーカーがデータセンター関連になるのか、なぜ不動産会社や電力会社までAIインフラへ踏み込むのかがつながって見えるようになりました。
企業名を先に覚えるのではなく、
AIは何を必要とするのか。
データセンターは何を必要とするのか。
その設備を誰がつくっているのか。
需要は本当にその企業の利益へ届くのか。
この順番で考えれば、自分でデータセンター関連銘柄を探せます。
そして今後、新しい冷却方式や通信技術、電源設備、データセンター計画がニュースになったときにも、「これはどの会社に関係するんだろう?」と一段深く考えられるようになります。
私にとって企業研究の面白さは、まさにここです。
株価が上がりそうな会社の名前を覚えるのではなく、社会がどう変わり、その変化によってどの企業が必要とされるのかを考える。
データセンターは、その考え方を学ぶのにとても分かりやすいテーマだったと思います。

データセンターを知ると、AIの裏側で電力や冷却、通信、建設など多くの企業がつながっていることが見えてきますね。
企業名だけを覚えるのではなく、「なぜ必要になるのか」「その需要がどう利益につながるのか」を考えることが、企業研究の面白さなのだと思います。
\ 2026年の資産公開はこちら /
\ なぜ私は「企業を応援する投資」を続けているのか /



































































































































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